【連載小説】「青く、きらめく」Vol.29 第五章 波の章
きっと、カケルなら普通に答えるだろう。心のどこかでは、そう思っていた。でも、実際そう言われると、傷ついた。
「私とデートした後でも、もう一人の彼女と会ってたのね」
問い詰めるというより、つぶやくように口にした。
「でも、もう終わったんだ。その子とは」
「でも、もしも彼女からもう会うのをやめよう、って言われなかったら、続いてたんでしょう。この部屋で。私の知らないところで」
カケルの瞳孔が開いている。
「私の知らないところで……あなたの心のすき間に他の誰かがすべりこんでしま