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ないのなら つくってしまえ 前例を(詠み人 あいみ)

お元気ですか!あいみです。
産業看護職として、皆さんはどのように学びを深めていらっしゃいますか?

雑誌「産業保健と看護」2023 Vol.15刊に特集された
「産業看護職の教育体制」を読みました。
その中で、産業医科大学の中谷先生の記事に現任教育としての人材育成の方法が以下のように載っています。

①OJT 
現場における教育、指導で、実践を通して能力を身につける
例)社内の教育ラダーに沿った研修など
②Off-JT 
集合研修やセミナーなどの形式を用いて業務外で行われる研修
例)学会やさんぽセンターなどによる研修
③SD 
書籍や勉強会での学びのほか、資格取得への挑戦などによる自己啓発

産業保健と看護 2023 Vol.15(一部改変)

産業保健師の活動Q&A」にも日本産業保健師会の標準的なキャリアラダーが掲載されています。こちらも参考になります。

話は戻り、私は産業看護職2名体制ではありますが指導や教育体制は整っていません。
業務は見て覚えるスタイル、これまでの業務や産業保健活動をまとめた資料などもほぼない状態(先輩が1人で立ち上げからやってきたことも大きいかと)。
先輩保健師から助言やサポートをいただきますがOJTとは言い難い。

臨床看護師として教育ラダーが整っている環境にいたため、産業看護職となってからのこの状況に余計にカルチャーショックを受けました。

このままではいかん!どうやって成長していこう!と思い「自分から学びにいかないと!」と1年目から②&③を積極的に行うようになりました。特に③が多いかと自分では思います。
産業保健未経験、ということも外での学びに更に拍車をかけていました。
外で学んだことを内(職場)の実務につなげる、ということの多い3年間だったと振り返っております。

取得した資格についてはこちらのnoteを。

産業保健について体系的に学ぶために、2年目から通い始めた大学院プログラムについてはこちらのnoteを(こちらのプログラムは以降OHPGと記載)。

この3年間自分がどのように学んできたのか、まだまだ学習中のものもありますが3年目までのまとめとして今回noteの記事にしました。
以下注意点です。

※あくまで私の場合です。
個人の置かれている状況などにより学び方や学ぶ内容は異なります。
※身バレを防ぐため、具体的な実務などについて私のnoteでは言及しておりません。
※看護師資格のみで産業保健の世界に入った個人の記録です。参考にならない人もいるかと思います。ご了承ください。
※とにかくボリュームありすぎな記事となりますのでお時間のある時にお読みください。

あくまでn=1

はじめに

私の学びの指針となるのは日本産業看護学会がまとめている「産業看護職のための卒前教育カリキュラム」。
こちらは産業看護活動に沿って、産業看護職として就労前に知っておきたい知識や技術項目をまとめたもの。
※学会では更に改良されたカリキュラム案を基にした研修も今後提供する予定らしいです(HPより)。

就労前、とありますが就労してからも必要な知識•項目のベースは同じと考えてこちらを参考にしています。

大項目•中項目と分かれているのでそこに沿ってどのように勉強をしたか(どんな本を読んだり、どんなサイトを参考にしたのかなど)を書いていきます。
小項目については各自HPでご確認ください。

産業保健看護専門家制度の登録者に必要な基礎研修のカリキュラムも参考になります。

↑こちらではなく、私が日本産業看護学会のカリキュラムを学びの指針に選んだ理由は
①産業看護の考え方が自分には馴染むこと
②項目がより詳細であること

という理由です。

大項目Ⅰ 職場に産業保健活動を組織する

【中項目1 産業保健の目的と産業保健•産業看護の理念】

こちらの書籍とOHPGで勉強。

【中項目2 労働安全衛生関連法規】

OHPGと第Ⅰ種衛生管理者受験対策で勉強。
就職をしてすぐに受験をしたのがこの資格。
第Ⅰ種衛生管理者の試験科目と試験範囲は以下の通りとなっており、産業保健の基礎となる関係法令や労働衛生3管理などが試験範囲となっています。

関係法令
労働基準法 労働安全衛生法 
作業環境測定法及びじん肺法並びにこれらに基づく命令中の関係条項
労働衛生
衛生管理体制 作業環境要素 職業性疾病 作業環境管理 作業管理 
健康管理 健康の保持増進対策 労働衛生教育 労働衛生管理統計 
救急処置
労働生理
人体組織及び機能 環境条件による人体の機能の変化 
労働による人体の機能の変化 疲労及びその予防 職業適性

法令遵守ありきの産業保健、未経験の自分にとって関係法令をこの資格で一気に学べた経験は大きかった!

【中項目3 企業及び組織の理解】

【中項目4 産業保健体制と産業看護職の役割】

【中項目5 産業保健・産業看護の歴史と将来展望】


中項目3~5はまとめて。
先述した産業看護学とともにこの「産業看護マネジメント」で勉強。

産業看護×経営学的視点での産業看護活動についての本。
社内での施策を進めるにあたり悩んでいた最近、こちらを読んでとても納得できることが多く、付箋だらけとなって現在職場で活躍中です。

【中項目1 企業及び組織の理解】には「産業看護アセスメントツール」も自社の理解に役立ちました。
OHPGの授業や勉強会でこちらを用いて実際にアセスメントを行いました。実際にやってみた者として、この本を読んだだけでは難しいかと思います。
フォローがあると理解が早いというか。
グループワークをするのもいいかと。
日本産業看護学会で研修なども行っているので機会があればぜひ受講をしてみることをオススメします。

大項目Ⅱ 職場の健康リスクを総合評価(アセスメント)する

【中項目1 3管理5分野】

衛生管理者の試験、OHPG、「職場の健康がみえる」で勉強。
産業保健の基本中の基本であり、いつでも確認して遺伝子レベルで自分の身に落としこんでおきたいものです(まだ自分もしょっちゅう確認してるので偉そうなこと言えない)。

【中項目2 産業保健の動向・現状】

厚生労働省のホームページや各種統計が参考になります。
また、「産業保健のあり方に関する検討会」第1回資料の資料2「産業保健に関する現状と課題」もまとまっていて読みやすいです。

産業保健情報の情報誌「産業保健21」も無料で閲覧可能です。


以下中項目3~6はOHPGで学習。

【中項目3 職業性疾病】

授業で学び始めた当初、それぞれの違いが分からず調べました。
もし解釈の間違いがありましたら教えてくださいませ。

あいみ作成

【中項目4 作業関連疾患】

【中項目5 労働災害】

厚生労働省による「労働災害防止計画」も参考に。令和5年度から第14次が始まります。

【中項目6 人間工学】

OHPGで学びました。
作業管理と密接に関わるこの分野。
下記HPの「出版」から「労働の科学」バックナンバーVol.74 NO.1「安全・健康な働き方をつくるエルゴノミクス」にて人間工学の特集が組まれています。
(こちら、最新分12号以外はバックナンバーとして全て閲覧可能なのです)

【中項目7 労働生理学】

第Ⅰ種衛生管理者試験範囲。「産業看護学」にも掲載。

【中項目8 労働者と労働生活】

「産業看護学」に掲載。
こちらの冊子も分かりやすい。

東京労働局

【中項目9 産業看護職の職場診断】

【中項目10 産業看護診断(個人)】

中項目8・9はともに「産業看護アセスメントツール」にて行う
アセスメント=看護診断となります。

大項目Ⅲ 職場の産業保健計画を立案及び評価する

こちらの中項目は厚労省の下記ページに情報がまとまっています。
実務については産業看護学や、産業保健師の活動Q&Aも参考にしています。
その他参考にしているものを、中項目に記載します。

【中項目1 産業保健企画立案方法(評価をふくむ)】

【中項目2 健康づくり対策】

【中項目3 メンタルヘルス対策】

THPの心理相談担当者・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を取得。

【中項目4 過重労働対策】

【中項目5 受動喫煙対策】

【中項目6 高齢労働者支援対策】

【中項目7 女性労働者支援対策】

産業保健における女性の健康などについてはきりん🦒さんのnoteを参考にしています。

↓こちらの本は薬剤師向け雑誌ですが、女性ホルモンについて分かりやすくまとまっており、ピルなどについても記載されています。
女性社員向けの講話を行う資料を作成する際にもよく使います。

【中項目8 障害のある労働者への支援対策】

【中項目9 多様性のある労働者への支援対策】

「炎上CMで読み解くジェンダー論」の瀬地山角先生の本。
コンパクトにまとまって分かりやすかったです。
まずは基本を知ること大事。

【中項目10 救急対応】

職域での救急対応についてまとまっているサイトです。

産業看護職の救急対応能力向上のための研修プログラムの開発

急変対応のためBLSやハートセイバーの受講もしています。

赤十字による講習もあります

消防庁による救命講習

【中項目11 健康診断】

【中項目12 疾病管理】

両立支援コーディネーターを取得。
「労働と健康の調和」のためには「適正配置」の理解が必要。

【中項目13 リスクマネジメント】


大項目Ⅳ 産業看護活動を展開・評価する

【中項目1 産業保健チームとしての連携】

労働者健康安全機構「多職種連携とその実践」

厚生労働省「産業保健活動をチームで進めるための実践的事例集」

【中項目2 事業場外資源との連携】

【中項目3 地域との連携】

【中項目4 作業環境管理】

【中項目5 作業管理】

【中項目6 健康管理】

【中項目7 労働衛生教育】

【中項目8 職場巡視】

中項目4~8は産業看護学に記載、OHPGでも学習しました。
授業で使用したこちらの教科書は今も重宝してます。

職場巡視については下記書籍で勉強。

【中項目9 情報管理】

情報セキュリティマネジメント検定を受験。

産業保健の情報管理については下記も参考になりました。

【中項目10 保健指導】

こちらの書籍を使いながら、試行錯誤中。
保健指導はネットでも情報があるので、本に書き足しをしながらMYテキストを作成して業務で使っています。

【中項目11 健康教育】

健康教育といえばこちら。
産業医科大学プレミアムセミナーやその他セミナーなどで、ぜひ柴田先生のリアルレクチャーを受けるとヨシ!
私もまた受講したいです。

こちらの本もセミナーの組み立て方や参加者とのコミュニケーションなど、実践で使えるネタ満載です。

【中項目12 行動科学】

OHPGで学びましたが、来年以降進学するSPHで更に学びを深めたい分野。

↓こちら、分かりやすく読みやすいです。

大項目Ⅴ 産業看護職として求められる基本的な資質・能力

【中項目1 コミュニケーション】

【中項目2 コーディネイト】

【中項目3 看護管理】

【中項目4 労働者としての役割】

【中項目5 生涯にわたって研鑽し続ける姿勢】

日本看護協会による「看護職の倫理綱領」には「8 看護職は、常に、個人の責任として継続学習による能力の開発・維持・向上に努める。」とされています。
これが自己研鑽であり、産業看護職もこちらに準ずるのだと解釈しています。

【中項目6 プレゼンテーション】

資料作成を学ぶためにこちらの本を読みました。
他に、研修やセミナーなどでの講師のプレゼンテーションや作成する資料も勉強になります。良いと思ったことを真似することも大切。

大項目Ⅴに関してまとまった書籍はありません。
柴田先生のこちらの本は、基本的な資質・能力の更なるスキルアップ!について勉強になります。

産業看護職に求められる資質として「コンピテンシー」といわれることも。
コンピテンシーとはハイパフォーマー(優れた成果を出す人)に共通してみられる個人の能力・行動特性
コンピテンシーにはついては後述します。

以上、あくまで1つのカリキュラムをベースに己の学びの整理をしました。
まだ項目に沿って学べていないものも多く、これからも学習を進めていきます。

私の学びのベースは日本産業看護学会によるものなので、産業看護に偏りがちです。

こちらの本で森晃爾先生は「産業看護職は、産業保健の専門職であり看護の専門職であるという、2つの専門性を同時に持つことになる」(P13参照)と述べており、双方のスキルアップを図ることが大切としています。

また「産業看護学」の著者、河野啓子先生は、産業看護の独自性(他の看護分野との違い)として看護専門職の知識•技術に加えて「ビジネスパーソンとしての知識•技術」を備えていることだとお話されています。

下記インタビューでそのことを話しているわけではありませんが、
「Who is 河野先生?」という方のために。

産業という分野なので「企業人」としてのスキルも求められるということだと私は思います。
まとめるとこういうことかと。

「看護職のための産業保健入門」(P13)より一部改変 

これらをバランス良く学んでいくことが大切。
産業保健はOHPGで体系的に学びました。
とはいえそこで満足せずに、知識のアップデートは必要。

産業保健を学びたい時にはガチ🐯先生のnoteを読めば大体のことは解決します、いや本当に。

こちら ↓ の全体像から知りたいトピックスにYOU、飛んじゃいなYO!!!

産業看護職のコンピテンシー

大項目Vの【中項目5】は自己研鑽。
産業看護職のコンピテンシーがトピックとなることもありますし、下記のように「産業看護 コンピテンシー」で検索をすると論文もヒットします。

では、産業看護職に求められるコンピテンシーって何でしょう?
「産業保健と看護」2015 Vol.7 no.3に記事が掲載されていたものをまとめました。

産業保健と看護 2015 Vol.7 no.3 記事を一部改変
産業保健と看護 2015 Vol.7 no.3 記事を一部改変
産業保健と看護 2015 Vol.7 no.3 記事を一部改変
産業保健と看護 2015 Vol.7 no.3 記事を一部改変
産業保健と看護 2015 Vol.7 no.3 記事を一部改変
産業保健と看護 2015 Vol.7 no.3 記事を一部改変

日本産業看護学会は「経験知」を実践の科学として、「産業看護学」教育の体系化を活動の1つとしています。
産業看護学は実践の科学。
知識・技術を上手に活用し高い成果を上げるために、コンピテンシーを大切にしているのだと思います。

今年度の個人的な取り組みとして、このコンピテンシーに照らし合わせて現在の産業看護活動を分析し、具体的な行動まで書き出すことをまずはやってみるぞと計画中。
到達度などの評価はどうやってやるのか?は疑問なので、学会などで機会があれば質問してみます。

本について

産業保健に関する書籍はたくさんあります。

健康診断に関するもの、保健指導に関するもの、メンタルヘルスに関するものetc•••、まずは1冊自分の推し本を決めて読み込む。
そして更に知りたいことがあれば追加で購入する、というのがお財布には優しいです。
かくいう私は皆さんが感想でオススメされているとすぐに購入してしまうため、お財布に優しくありません(笑)
Twitterは情報の宝庫。
「◯◯について~こういう本を探しています」とつぶやくと皆さん快くオススメを紹介してくださり、欲しい本ばかりになります、感謝!

その他

事業場によって産業保健体制、研修体制や教育体制は異なります。
冒頭の雑誌に掲載されていた大企業のように教育体制が整っている場合は少ないのが現状。
社内になければ(内で業務から学ぶこともいっぱいあります)、自ら社外に飛び出して己で学びを狩りに行かないと自己研鑽•自己成長につながりません。
気分は研修ハンターです。
「面白いセミナーはねぇが」とネット徘徊をしているナマハゲ👹です。

求めよ さらば 与えられん
叩けよ さらば 開かれん

の精神です(ちなみにあいみは無宗教です)。

ひとりで出来ることには限りがある、だからこそコミュニティ加入や仲間づくり(ゆるくて全然OK)が大切です。
コミュニティについてはこちらのnoteをどうぞ。

COEDOHなどのオンラインコミュニティのセッション(毎回豪華講師陣が登場)も学びの場。
各セッションで得る知識は、書籍以上の価値があります(言い過ぎかしら)。

学会も貴重な学びの場です。
最新のトピックスや、一般演題などで知る他社の取り組み事例などインプットしまくりの学びの宝箱といえます。
学会についてはこちらのnoteをどうぞ。

今後について

同じ頃に産業看護職となったきりん🦒さんのnoteを読んで感動した私。

今回のまとめnoteは、きりん🦒さんの↑の記事を読んで刺激を受けたから。
産業保健仲間の取り組み・奮闘を知ることもまた学び。
まいつんさんの振り返りもぜひ😊

いつもありがとうございます!

冒頭でお伝えした①に関する社内でのキャリアラダーについては、まずは作ってみよう!と来年度の活動として取り組むことにしています。
産業看護職間の情報共有の効率化や業務の「見える化」も自分がまずは取り組んでみようと次年度の活動に向けてやる気スイッチON!!!

前例がなければ自分がつくれば良い。
ない → ある にするための動きに来年度はチャレンジします。

今後(がいつかは分からないけど)参加したい学びの場として
TOMH
産業医科大学プレミアムセミナー
を考えています。
そして新しい学びの場として、来春からSPHに進学します。

どんなことを学ぶか、今から楽しみ。

おわりに

今回まとめたカリキュラムに沿い学んだものは、一度やったから終わりということはなく、働き続ける限り、学びに学びを重ねていくどれもが大切な項目です。
産業保健&産業看護の楽しさ・やりがい、それは学びに終わりがないこと。
学びと実務をつなげる楽しみがあること。やっほぅ!

まだまだ未熟な3年目ではありますが、自分の学びの軌跡が誰かの一助となりましたら幸いです。


【おまけ】

参考までに🦓リピーターの各種情報まとめ

情報サイト

研修情報は、産業保健看護専門家制度の「認定済み研修会一覧」↓も便利。

厚生労働省 委託事業」で検索をするとセミナーがHITすることも。
※以下掲載しているものはあくまで例えです。開催終了しているものもありますのでご注意ください。


各種パンフレット&ガイドブック掲載のサイト


(長かったでしょう?ここまで読んでいただき、多謝!!!産業保健を愛する皆様に幸あれ!)思い出したものがあれば、追記します。

2022.12.29


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