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ジリジリと鳴り響く蝉の声を聞くたびに、胸がしめつけられている

7月半ば、蝉の声が鳴り響く。娘にとって人生初の夏休みが始まろうとしている。幼稚園の先生からのアナウンスも、学期末らしい内容になってきた。

「あと2日だけなので、週末のお持ち帰りはありません。」

あー、そうか。あと2日行ったら、夏休みなのか。

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ジリジリと鳴り響く蝉の声を聞くたびに、胸がしめつけられている。ここで過ごす日々の終わりを告げられているようで。

秋に引越を控えている。それに伴い、娘は幼稚園を転園する。引越の理由については、まだあまり大きな声で話せない(時期が来たら書く)。

ただ、プレ幼稚園にほとんど通えなかった1年を乗りこえ、やっと入園できたのに、たった半年で転園するなんて……そう感じずにはいられなかった。


娘はとても敏感なタイプで、周りの空気に飲み込まれてしまうところがある。そのため、幼稚園は慎重に選んだつもりだ。

例えば同じ公立でも園によって方針が異なり、醸し出される空気もさまざま。説明会や園庭開放に足を運び、比較検討した。

「どの園が合っているのかな?」

あれこれと考えてみたけれど、結局のところ、園で遊ぶ娘の様子を見れば一目瞭然だった。

困ったときは、率先して助けてくれるお友達がいる。どうして泣いているのかお話できるまで、じっくりと待ってくれる先生がいる。

そんな体制が整っている園を選んだ。


娘が入園してから3ヵ月。今のところ、心配していた登園しぶりもなく、元気に通っている。

先生やお友達の名前も少しずつ覚えてきたし、6月にお腹を壊して休んだときには「幼稚園に行きたかった」と泣いたぐらいだ。

登園する度に幼稚園を大好きになっていく娘の姿は、本当にキラキラしていて……その瞬間全てが宝物になった。

けれども、その輝きがまぶしいほどに、転園するという事実が重くのしかかってくる。


ちなみに肝心の娘だが、今のお友達と離ればなれになることを伝えても、やはりまだよくわかっていない。

「車で会いに来ようね」

引越の話をする度に伝えているけれど、娘ではなく、私自身に言い聞かせているようだ。

新しい幼稚園でも、今みたいにお友達ができるだろうか?それよりも、娘が新しい環境で困っているとき、じっくり話を聞いてくれる先生がいるだろうか?そんな体制があるだろうか?

今からできることは何なのか、考えてはいるけれど、明確な答えは見つかっていない。

頭に浮かぶのは、ここでの思い出を増やしてあげることくらいだ。下を向いてしまっても、振り返ればあたたかな気持ちになれる、そんな思い出を。

成長を重ねるにつれて、親にできることは少なくなっていくのだろう。心配は尽きないけれど、娘のことを信頼しつつ、できることをしてあげたい。

いつでもあなたの味方だということは、これからもずっと変わらないのだから。

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