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【2023年10月まとめ】SF百科全書への道①#9

早いもので、10月ももう終わり。2023年もあと2ヶ月少し。
だがしかし、振り返ってみると1月から全く成長していない。
仕事面でも生活面でも何も進歩がなさすぎてタイヘンである。

ただ、唯一、今のところ、今年の自分を評価できるのは、SF百科全書を作ろうと思い立ち、ひとまず、毎週投稿しようという個人的な目標を1ヶ月達成できたことだと思う。

そもそも、このNoteを始めた理由は、SFの百科全書を作りたかったからだ。

本の感想ばかり書いていて、肝心の目的が進んでいなかった。
ということで、毎月紹介した本をもとに、そこに登場した用語やガジェットをまとめていく。百科全書を作るにあたり、どうまとめればいいのかわからないが、手探りながらも進めていきたい。

そして、ゆくゆくは、SFの百科全書とならんことを望む。
譬如爲山。未成一簣、止吾止也。譬如平地。雖覆一簣、進吾往也。


『第四間氷期』

  • 予言機械(よげんきかい)

未来を予言するコンピュータ。世界初は「モスクワ1号」。更に改良された「モスクワ2号」は、最大値予言(最終的な未来)として、共産主義社会を予言した。

  • KEIGI-1(けいぎ-わん)

日本の中央計算技術研究所の勝見博士が作った予言機械。予言だけでなく、人の脳波を読み取り、人格や記憶も再現できる。

  • 水棲人間(すいせいにんげん)

水没した未来で人類が生き残るため、堕胎されるはずだった胎児たちを利用して、胎児の発生的段階で手を加えることで系統発生から引き離し、人為的に進化させ、水中に適応させた人間。

  • イリリ

水棲人間の第一号。発生のプロセスで消失するはずの外分泌腺が完全には消失していない。

(参考記事)

短編集『たったひとつの冴えたやりかた』(原題:The Starry Rift)

(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア/浅倉久志訳,ハヤカワ文庫,1987年)

『たったひとつの冴えたやりかた』(原題:The Only Neat Thing to Do)

  • リフト

他の宇宙空間と比べて星の数が少ない空間。大星溝。現実の宇宙でも超空洞(ボイド)という同様の空間がある。

  • コーティー・キャス

人間種族。黄色い髪、だんご鼻にソバカス、人の顔を穴のあくほど見つめる緑のひとみ、金持ちの跳ねっ返り娘。まるで発生場所を探しているトラブルのようだと言われた。

  • イーア

脳に寄生するエイリアンの種族の名前。宿主に対しては、脳から幸福感を与えたり、身体を操作したりなどの操作が可能。大人のイーアが幼生のイーアに訓練をして、抑制の仕方を教えるが、それができないと幼生が暴走して、宿主を殺してしまう。

  • シロベーン

コーティーに帰省したイーアの個体。

  • ハン・ルー・ハン

最後に「これがたったひとつの冴えたやりかた」という言葉を残し、琴座91番星ベータでの救出任務に出かけ命を落とした16歳の少年英雄。

『グッドナイト、スイートハーツ』(原題:Good Night, Sweethearts)

  • 服剥がし(ふくはがし)

激しい痒みで相手の宇宙服を脱がせるスプレー。別名「キン剥がし」。

  • ドレンチ

服剥がしの治療薬。

『衝突』(原題:Collision)

  • スペーサー

宇宙船乗りのこと。

  • 暗黒界(あんこくかい)

ブラック・ワールズ。最終戦争の後に連邦加入を拒んだ、人間が大半を占める惑星グループ。

  • ジーロ

見た目が一つ目のカンガルーのような宇宙人の種族。

  • 銀河ピジン(ぎんがぴじん)

銀河で使われているピジン。

(参考記事)

『ユートピア』(原題:Libellus vere aureus, nec minus salutaris quam festivus, de optimo rei publicae statu deque nova insula Utopia)

(トマス・モア/平井正穂 訳,岩波文庫,1957年)

  • ユートピア

「どこにもない国」(ギリシア語の「οὐ(not)」と「τόπος(place)」)という意味の、トマス・モアの造語。⇄対義語:ディストピア

(参考記事)

短編集『夜来たる』

『夜来たる』(原題:Nightfall)

  • ラガシュ

舞台となる惑星。太陽が6個で、いつも空に太陽があり夜が来ない。しかし、2049年ごとの周期で、最も暗い太陽がひとつだけ空に存在する時に日蝕がおき、半日の間は、その惑星は暗闇に包まれることになる。

(参考記事)

『すばらしい新世界』

  • 共同性、同一性、安定性(きょうどうせい、どういつせい、あんていせい)

作中の世界国家のモットー。作品の世界観が、韻を踏んで端的に示されている。原文では、コミュニティ、アインデンティティ、スタビリティと韻を踏んでいる。

  • 世界統制官(せかいとうせいかん)

世界は世界統制官と呼ばれる10人の統治者から成る『世界統制官評議会』によって支配されている。

  • 蛮人保存地区(ばんじんほぞんちく)

ニューメキシコにある野蛮人が居留している地域で、高圧の電気柵で囲われており、脱出ができない。

  • フォード紀元(ふぉーどきげん)

T型フォードが発売された西暦1908年を元年とする作中の暦。作中の現在は、AF(フォード紀元)632年(西暦2540年)となっている。

  • 孵化・条件付けセンター(ふか・じょうけんづけせんたー)

受精卵を孵化させ、条件づけを行う施設。 ・孵化 人間は、孵化機となる壜の中で培養され誕生(壜出し)する。なお、受精卵の作成には、科的手術により取り出された卵巣が使用される。(志願者にこの手術が施され、特別手当も支給される) ・条件づけ 胎児や出壜後も社会化された人間にするため、各階級にあった思考や特性を持つように暗示等を用いて条件付けが行われる。ネオ・パヴロフ式条件反射教育室。

  • 社会階級(しゃかいかいきゅう)

上から順にアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン(更にそれぞれの階級にプラス、マイナスの区分もある)に分けられる。培養している時にそれぞれの階級によって孵化のさせ方が異なり、知能や見た目にも差がある。また、服装も異なり一目で階級がわかるようになっている。支配階級となるのは、アルファとベータ。

  • ボカノフスキー法(ぼかのふすきーほう)

壜の中の受精卵に行われる成長阻害措置。X線を卵に当てることで、1つの卵から数十人(最大96人、平均72人)の胎児(一卵性双生児)を作ることができる。

  • タクシコプター

ヘリコプターのタクシー。現在、国で空飛ぶ車が検討されているが、どちらかというとこちらのイメージの方が近いのでは。

  • ソーマ

多幸作用、麻酔作用、心地よい幻覚作用。”うらむより一グラム”。 半グラムで半日休暇をとったような効果、一グラムで週末を愉しんだような効果、二グラムで豪華東洋の旅を満喫したような効果、三グラムで永遠の闇に浮かぶ月世界に遊んできたような効果。

  • 触感映画(しょっかんえいが)

フィーリー。さわれたり、匂いをかげたりできる4DX映画のようなもの。

  • バーナード・マルクス

孵化・条件づけセンター心理課の職員。名前の由来はカール・マルクス。アルファプラス。アルファプラスにしては背が低く、壜に誤ってアルコールを入れられたため、発育不全になったのだと言われている。

  • ジョン・サヴェジ

野蛮人保存地区に住んでいた青年。シェイクスピアを愛読。孵化・条件付けセンターの所長と恋人だったリンダの間にできた子。

  • ムスタファ・モンド

10人いる世界統括官のひとり。
名前の由来は、アルフレッド・M・モンド(1868-1930)から。
(英国の工業家,政治家。元・厚生大臣,元・大英化学コンツェルンI.C.I.初代社長。ハクスリーは同社の工場を見学し、その高度な計画性を称えた。)

(参考記事)

短編集『しあわせの理由』

『ボーダーガード』

  • 量子サッカー

ルールとしては、波動関数やら振動やら位置エネルギーをどうたらこうたらして、ボールがゴールに入る確率を設定した閾値以上にするものらしい。

  • 宝石

エンドーリが開発した人の脳の代わりとなる装置。英語ではthe jewel。イーガンの様々な作品で登場する。これにより、肉体が滅びてもバックアップの宝石を使うことで不死が実現した。宝石は思春期から成人までの間にニューロン単位で徐々に脳と入れ替わって、途切れなく移行していく。

  • 新世界(しんせかい)

数学者のマルジットとグレイスがつくった仮想現実。英語ではNew Territories。

(参考記事)

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