どうやったってシステム導入は失敗する。登っている山はエベレストよりも高かった…
「なんでこんなに費用が増えてんだ」
「す、すみません…」
社内システムを導入する時に必ずといって良いほど出てくるシーンなんです(笑)
特に基幹系システムともなると何十億から何百億円と金額規模もハンパないから、経営陣の気合いも段違いに入りまくっています。
しかし、どの企業も最近はみんなでIT投資ばかりやるものだから世の中深刻なIT人材不足に陥っている状況。特にSIer(システムインテグレーター)を中心にここ1年間ほどは過去最悪レベルの人材不足の状態が続いているのです。
直近のITエンジニアの転職求人倍率は10倍を超えてしまいました。これは求職者1人当たり、10件の求人がある計算になり、全職種で最も高い倍率ともいえます。
そうなるとエンジニアの人月単価は200万円とか300万円っていうのは当たり前の世界になってしまっている。高いだけならまだしも、質が全く伴わないのです。
こんな環境下でシステム導入は可能なのか?
もちろん「システム導入が失敗する理由」というのは、要件定義がちゃんとできない、アドオンしまくる、担当者を巻き込めていない…など山ほどあります。
でも、それ以上に致命的な問題は、まともなスキルを持った人材をベンダーやSIerが集められないということです。システム開発は、どれだけ人材の量を集めても、質には敵わないということなんです。
簡単にいうと「凡人と天才のプログラマーでは生産性が10倍にも100倍にもなる」というものです。もちろん実際の現場ではミドルウェアとかフレームワークがいろいろと使われていますのでそこまでの差は出ませんが、でも重要すぎる問題です。
一方で、ユーザー側は一時期のようにシステムに「夢の箱」を求めることは少なくなってきたので要件はそれなりに収束していくんです。でも相変わらず全てを網羅しているスーパーマンなんかいるわけないので、全く要件定義はできません…
そんなこんなでシステム導入責任者の顔色は徐々にくすんできて、気がつけば開発費3倍、納期半年遅れ、でもパッケージのアドオンはほぼゼロみたいなことになっているのです。結果、QCDどれをとっても目標未達。
当然こんな状態になると保守にまで頭が回っていないので、あわよくカットオーバーしたとしても完全にベンダーロックインが完了していて、用意周到な保守費用の増額にひたすら耐え忍ぶしかない…泣。
そして、工期(13.9%)× 予算(17.1%)× 品質(10.6%)=QCDともに達成「0.25%」という高い壁に誰もが阻まれてしまうのです…
エベレストの登頂成功率は今や約60%。でも実は登っている山は、それよりもずっと低くて1,977mしかないけど遭難者数世界一の魔の山「谷川岳」だったのです。
まあ、失敗してもいいんじゃないですか?会社でたくさん失敗してみんなに迷惑かけておいたほうが、長い人生にとってはプラスになったりもします。でも立ち止まってしまうとそこで全てがストップしてしまうので、1mmづつでもいいので前に進んでいればきっと将来また高く飛べると思います。
今日も最後まで読んでいただいてありがとうございます。