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インター校の宿題【エネルギーの選択肢によって変わる未来の車のデザイン】

いつも書くことだけど、インター校の宿題の醍醐味は、一つの教科では収まり切らない、総合的な知識やデザイン思考を求める宿題だということだとやっぱり思う。特にプロジェクトワークと言われる数週間かけて提出する宿題は特に、だ。

今回もらってきたプロジェクトのお題は下記。

●テーマ:「Climate Control/ Full power!/ Champions for Change」直訳は難しいけれど、気候温暖化問題をみんなで全力でゲームチェンジするぞ!みたいなことだと思う。
●学びの目的:「To be able to gather evidence from a variety of sources」様々な情報から本質的なエビデンス(証拠、事実など)を集められるようにする。

そしてやはり今回も宿題には選択肢がいくつかあって、自分で一番やってみたいものを選ぶ。今回の選択肢は4つ。一か月後に提出。

(1) エネルギー日記をつけてみよう。1週間、家で使ったエネルギーを記録につけてみよう。コンセントからの分も電池で使っているものも含んでOK。どのくらい何に使っているだろう。家のエネルギーはどうしたら減らせるだろう。お家の人達にできる提案をまとめる。
(2) 学校以外のイベントやアクティビティを考えてみよう。(買い物に行く、映画を見に行く、など。)そこで、どんなエネルギーを使ったか、何か無駄なものを作り出してはいないかリストを作ってみよう。その出来事の前、間、その後のことを考えてみよう。そして次に同じような機会があったら、エネルギー使用を減らしたり浪費を産まないために、何か違う行動が取れるかを考えてみよう。
(3)未来の車をリサーチしてデザインしてみよう。どんな種類のエネルギーが使われるだろう?そのエネルギーはどのように貯められるのだろう?エネルギーの使用やタイプの選択肢によって、それは車のデザインを変えるかもしれないという点を考えてみよう。
(4) エイグ島*について調べてみよう。この島の居住者が作り出している島内の電力はすべて太陽、風、水による再生可能エネルギーのミックス。このことが、島の住民にどんなユニークなことをもたらしたか、どんな良いことを生み出したか、我々がこの島から何を学ぶことができるかを考えてみよう。(*エイグ島は「エイグ島ヘリテージ・トラスト」が所有し管理している。この自然豊かなエッグ島、島を管理する「ヘリテージ・トラスト」は電気の供給も出がけ、島内の電力はすべて太陽、風、水による再生可能エネルギーだそうだ。)
※提出方法は自由。ポスター制作、パワーポイントスライド、模型製作、ビデオ編集、どのような方法でも構いません。

小5(Year-6)の息子は(3) Research and design the car of the future、を選んだ。下記がだいたいのステップ。

1.まず自分がどんなことを調べたい・知りたいか(Input)と、最終的にどんなものを提出物にしたいか(Output)を、自分の好奇心をベースにディスカッションして考えてみる。
2.アウトプットの最終イメージを描く。自分が発表する大きなプレゼンテーションの項目、流れ、を決める。PPTのスライド、ビデオを盛り込む、デザインは自分の手描きスケッチ+マインクラフトでやるなどの手法も決定。
3. 未来のエネルギーの選択肢は何があるか、既に研究が始まっているコンセプトカーなど世の中で生まれつつある未来の車を研究する。特にエネルギーの選択肢がデザインに大きく影響を与えること、良い点・難しい点を学ぶ。
4. 自分のオリジナルの未来の車に使用するエネルギーを選択し、特徴を考えデザインする。(手描きスケッチとマインクラフト)。
5. スライドの仕上げ、模型のビデオ撮りと入れ込み、参考にしたリンクの情報の列挙、デザインイメージの紹介を入れて完成。
6. プレゼンテーションの練習。

ここで今回の学びの目的をもう一度振り返ってみる。
●学びの目的:「To be able to gather evidence from a variety of sources」様々な情報から本質的なエビデンス(証拠、事実など)を集められるようにする。」

つまり、未来の車と聞いて好きなようにただ絵を描くことは求められていない。エネルギーについて調べ、そのエネルギーの取り込み方や貯め方の仕組みを調べ、どのような素材が必要か、そのエネルギーが上手く機能するためのデザインのキーポイントを自分で調べて発見していく。その過程で、地球環境にやさしい未来のエネルギーを学び、それぞれの強みや弱みを学んでいく。エネルギーがプロダクトデザインに影響を与えるということも学ぶ。太陽光パネルはなぜ何層にもレイヤーが重なっているのか。食塩水がなぜエネルギーを作り出せるのか。風が無いとき、曇っているとき、自然の環境がそれを許さないときの代替案は何か。複合的に考え、知識が身についてくると、それは彼が考えていた当初のぼんやりとしていた未来の車のデザイン1をも変えていく。

選ぶテーマもバラバラだし、提出物のフォーマットもバラバラだから、先生も毎回大変だと思う。(それぞれ選んだ項目の)クラス全員の発表が終わったあと、先生が言ったらしい。「ちゃちゃっとやった人と、じっくりやった人の差は歴然です。」先生はきちんとアセスメントをしている。見抜いた上で、次に向けて、どのようにプロジェクトに取り組んだらいいかの姿勢やアドバイスをくれる。答えは一つではないしそもそも答えなんてないのがプロジェクトのお題だ。自分で何を学ぶかを選び、決める。先生はそれをベースにアドバイスをくれたり、学ぶ姿勢を教えてくれる人たちなのだ。

一学期の二つ目、次のプロジェクトの締め切りは12月の初旬。またじっくり時間をかけて、広く深く学んでいって欲しいと思う。