海日
★は気に入っているものです
私が彼女のことを愛していなかったんだ。彼女の幸福を祈っていなかったんだ。自分のことしか考えていなかった。 なんて愚かだったんだろう。みんな彼女の言う通りだったのに。考えてくださっていたのに。 好きです、って言って、はい、って、微笑んで、頷いて。受け取ってくださった。 夢を見ているようだった。夢が現実になったような。現実で夢を見ていた。 好きだったらずっと一緒にいたら良かったのに。 問題なんて、何もなかったのに。何もかもが上手く行っていたのに。どうして。みんな、暖か
私は十五歳から二十六歳まで自室から出ずに過ごした。私が生まれる前から、母は私を身ごもっている腹を父に蹴られていた。私は乳児の頃からアレルギーがあり、七歳の時喘息で意識を失い、手足が冷たくなっていて救急搬送された。十歳の時、母は顔が原型を留めなくなるほど父に殴られ、肋を折られ、胃液の嘔吐が止まらなくなり、救急車で運ばれ、離婚した。前頭側頭型認知症の祖母がいる母の実家に戻ると、その頃から私はアトピーが悪化し、ステロイド外用薬を常用するようになった。十四歳の時、林間学校で忙しく薬
憧れ続けてきた海は、これまで夢みてきたものを打ち壊すほど広かった。快晴、40℃近い蒸す熱気の中、潮の香り、絶え間ない波音や人の高い声に、広大な海面がきらめいて眩しかった。思い描いていたものよりずっと海には憂いがなかった。 それでも二度目の逗子はほとんど灰色の風景でしかなかった。 胸に焦りが込み上げて、さびしくて、空白で、スニーカーの中が細かい砂でいっぱいになり、なぜわたしがここにいるのかが分からなかった。 海に触れて、海に浸かり、泳いだあと、浅瀬に立ち、泳ぐ友人や海の
アリス・ミラーなんて全く読んでいなければよかった。 愛している。 本なんて読まなければよかった。そうしていれば、彼女と別れなくて済んだ。胸が苦しい。これからどうやって生きていけばいいのか、まったくわからない。頭が痛い。怖い。こんな、こんな、孤独、ずっと、いつまでも、あなたに、ゆるやかに、繋がり続けていることが、生きるよすが、命綱になっていたことが、わかっていたのに、 わかっていたのに。あなたとお別れしたら、もう生きていけないって、この空虚と孤独に、絶対に耐えられないと
身体を感じて。これからこの世で一番好きな人に会いに行ってきます。今日で最後にする。迷っていたら坐骨で座れない。本当は、この身体的転移があの人のところで扱えたら、って思うけれど。未練を残さない。なぜやめようとしているの。苦しいから。トラウマの再演。あの人と母はぜんぜん違う人なのに、母に対して感じていたことと同じことをあの人に感じていたこと。そして、母に対してしたことをあの人にもしようとしていること。孤独が怖い。あの孤独だけはもう耐えられない。あの人は敵じゃないのに。怖い。打ち
全く違う。 仕方がない。 ああ、嘘。子どもを抱いて。一緒に、泣いて、ごめんね、こんな場所にいて、嘘ばかりついていて、ごめんね。ごめんね。勇気がなかった。言葉はもういらないはずだったのに、 ああどうして、どうして殺さなきゃいけなかったの、あの人を好きな気持ち、 胸が苦しい、生きることが苦しくて、平板で、嘘をついて、本当は死にたいのに死にたいとさえ言えなくて、 胸がえぐられるように悲しい、苦しい、痛い、痛い、痛いことばかり、痛い、 嘘をつかないでよ、頭で考えないでよ
助けを求める。 その時本当に悩んでいることをね。 身体と切り離されてた。 身体が本当に言いたいことをね。 身体とのつながりを取り戻す。 私自身のために。
だって震えるほど孤独だったんだよ。 告白できなかったのは孤独だったからだ。 なぜサポートを捨てようとするの。もう二度とにへらにへら笑って生きていきたくないからだ。 心理的にも物理的にも孤独だった。教会に行ったりビッグイシューに行ったり福祉協議会に一人でいったり。 サポートを失う。正直に告白する。正直に告白して現実に敗北してばかりだったじゃないか。無力感がすべての理由だった、本当に孤独だったことが理由だった。 自分がやりたいと思ってやったことって、人からやれと言われ
嘘をつかない。謎が解けたから行動しなくては。 初めて落ち着いた気持ちで生きるためには。 謎を解きたくなかったのかな、情動がぐちゃぐちゃになっていたのは。 傷ついていない人のことを大人だと思っているとすれば、大人としてあの人に会いたかったということ? あの人のことを母親だと思っていたんだ。 恋ではなかったの。 じゃあ恋を経験したことはないのかな。 じゃああれは何だったの。 自分はどうしたいの。前に進みたい。前に進むとは? 嘘をつかないこと。 あの人なし
嘘をつかないで。 あなたのせいじゃないんだけどねって、笑ってごまかしてしまったけど、どういう意味? はぐらかさずごまかさないくらいしかできないのだから。 自分は、どうしたいの、理想のお母さんと痛い別れをしても生きていけるの 子守唄を失って自分は眠れるのか。 どうしたいの、打ち明けたい、嘘を付きたくない、正直に生きたいと思っている、釈然としない気持ちを解消したい、終わりにしたい、ずるずる続けたくない、 転移を終わらせて、 子どもであることがたまらなく恥ずかしい気持ちと、 あの
傷ついていたら大人になれないから。 本当に果たしたかった自分だけの人生の目的。を果たさなければ大人になれない。誰をも愛せない、安らげない、穏やかに死ぬことができない。 あとは胸が虚無を感じないですめば良いだけ。身体に聞いてください。 鏡を見るとかおがしわしわで、もういい加減早く元気になろう。本当に、老いて、ただ死ぬ、 今は前に進みたいと思っています。胸が苦しい。ああ、抑うつだけで時間を使ってしまったことが本当に悲しい。人生は時間だって、 頭なんか一回も使わなけ
なんだかんだ言ったって、結局一言で済む、幼いときに、あるべき身体的な愛が欠如していただけなんだって。 喪は服していけば終わる、喪に服すことを急かさないで、 自分も露骨だった。他の人の目もあるのに、好意を隠そうともしなかった。皆も、あの人もあなたもわかっていただろうすべて。隠すのは自分は特に苦手で、自分の本当の情動反応を見せてしまうことばかりだし、それにそういうことって、皆何も言わないけれど、たちまちわかることなんだって。 怖かった。 胸が苦しい。 でも今は元気に
あの人に恋していたことを夢でまた体感した。 今まで泣きたかったときに泣けなかったから。このままいけば、そのままいけば、泣かないまま、いくらでも、時は過ぎて、胸は苦しいまま、私を傷つけて、誰かをも傷つけて、愛したい誰かも傷つけて、今すぐ全く違う人間になれば、この同じ環境でも、今すぐ全く違う人生があるはずだ、全く違う人間になりたいと、思っていない私になれれば、人は本当に死ぬ、地球も世界も救ってはくれない、やるだけやってみたいと思う。喪に服すこと、それには終わりがあると思うんで
今すぐここから抜け出さなくては。 ここから出ないと死んでしまう。 書くことが怖い。あなたと別れることが怖い。怖くて、痛くて、恐怖でいっぱいで、生きることがわからないわけじゃない。怖いことと痛いことがわかっていて、怯えているだけ、どうしてあなたと別れられないのか、 あなたのことがこんなに好きで、 あなたに傷つけられたことなんて一度だってないのに、どうして、こんなに悲しいのか、 わかる、胸が痛い、胸が痛いことはわかる、胸はなんと言っているのか、怖い、 この恐怖は、古
あなたのことを考えると頭の中がぐちゃぐちゃになってしまうことについて。 これから歴史を作るために喪に服すこと。 もう今日にも死ぬかもしれないのだから。 悲しい。悲しみと優しさがいっぱいで。 眠い、眠れない、悲しいから、楽しめないのは悲しいから、喪が終わっていないからだったのだと、あなたのおかげで知りました。 頭が痛い。あなたに出会っていなければ、どれだけ苦しい日々だったろうか。苦しかった。頭の中が、内から棘が飛び出しているようで、全身が痺れきっていた。あなたにまた