28 打ち明けるはずだったものがもう殺されてない

 全く違う。
 仕方がない。
 ああ、嘘。子どもを抱いて。一緒に、泣いて、ごめんね、こんな場所にいて、嘘ばかりついていて、ごめんね。ごめんね。勇気がなかった。言葉はもういらないはずだったのに、
 ああどうして、どうして殺さなきゃいけなかったの、あの人を好きな気持ち、
 胸が苦しい、生きることが苦しくて、平板で、嘘をついて、本当は死にたいのに死にたいとさえ言えなくて、
 胸がえぐられるように悲しい、苦しい、痛い、痛い、痛いことばかり、痛い、
 嘘をつかないでよ、頭で考えないでよ、どうして、もう嘘をつかないで、
 ごめんね、怯えていてごめんね、痛がっていてごめんね、ごめんね、胸に穴が空いたようで、ごめん、もう嘘付かない、怯えていてごめんね、一番痛いのは君で、
 怖い、頭が透き通って、嘘をつくから、冷え切って、何も感じない、
 痛い、
 凍りついて、熱く、のぼせて、焦って、空白で、一刻も早く死んでしまいたい、
 もう、嫌、
 ああ、殺してしまった、あの気持ち、
 打ち明けるはずだったものがもう殺されて、ない、
 もう嘘付かないでよ、じゃあどうやって生きればいいのよ、ただ君を抱いて眠り続けたい、
 上手な嘘をつくために、身体にさえ嘘をつかせて、
 感じられない、
 ああこんな、
 こんな空白であの人にお会いしたくない、怖い、空白になることが、また人生が、一人になることが、怖い、ああつらい、助けて、助けてほしい、
 ああ全く違う世界が、開けていてください、

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