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出奔旅行記4(ギリシャ/テサロニケ編)

前作はこちら。

てかさ、旅行記のボリュームがありすぎる。ちっとも書き終わらない。
旅行中にも書いていたつもりだったが、もっとがっつり書いておけばよかった。
ということでテサロニケ編。

ギリシャでは、この夏、洪水があり、陸路が難しそうだったのでアテネからテサロニケへは飛行機を使った。チケットは日本で確か1週間前くらいに取ったけど、一人12000円くらいだったはず。ただ格安便なので手荷物を15キロ程度に抑える必要があり、アテネでは重めのお土産が買えなかった。

飛行機を取る前に、後輩が電車を予約しようとして、詐欺系サイトにぶつかったので啓発のためにもRail Ninjaがやばいということをここで強く述べておきたい。洪水で電車公式サイトがチケットを販売していないにも関わらず、Rail  Ninjaは「チケットを取ったので金を払ってくれ」と言ったし、電車公式がチケット売ってないということを指摘したら「キャンセルしたいなら手数料10パーでキャンセルしてあげる」と返ってきた。チケット取ってないくせに手数料って意味がわからない。詳しくは「Rail Ninja scam」で検索すれば、詐欺に引っかかった世界中みんなの怒りコメントがたくさん出てくる。あたりまえの話だけれど、チケットの購入は公式サイトから購入するのが一番安い。仲介サイトは手数料がかかる代わりに簡単に予約できるというメリットもあるが、このRail  Ninjaに関して言えば手数料30パーくらい取るしキャンセルにも難ありだから、とにかく使わない方がいいと思う。

なお、アテネから空港までは、シンタグマ広場付近から出ているバスを利用。

テサロニケ空港はずいぶん新しい空港だった。飛行機からちょっと歩かされて、雨の日だったら泣いてた。

テサロニケ上陸

バスターミナルからのバスは夜もちゃんと運行しているので安心。チケット売り場の人にバスの番号を伝えれば買える。言いそびれたけれど、ギリシャはほとんどカード決済ができるので、こういうバスや電車のチケットで現金を使う必要はなかった。むしろカードが使えない場所はなかった。タクシーの運転手だけは現金だったかも。(タクシーでもカード使えるとは思うが未検証)

市内行きのバス。ローカルなので人がかなり乗ってくる

テッサロニキの初期キリスト教とビザンティン様式の建造物群

テサロニケに来たのは、世界遺産の教会たちを見に来たといっても過言ではなかった。ビザンツ様式で建てられた教会は、テサロニケの中心部にかなりかたまっているので、文字通り建造物群である。
ちなみに、テサロニケと呼んでいるが実際の日本語表記はテッサロニキ。聖書の影響が強すぎて、私がテサロニケのことをテッサロニキと呼べない病気なので、ご容赦いただきたい。(聖書には「テサロニケの信徒への手紙一・二」が収録されていて、パウロが書いたとされている)

さて、テサロニケは一日しか観光する時間を取れなかったにも関わらず、アホほど色々なところを回った。朝9時前にホテルを出たくらいだ。後輩の愛読書である旅行指南書に、テサロニケの歩き方が書いてあり、それに従って一日歩きまくるというプランだった。老体には少々きついが、可愛い後輩についていく。

教会は、誰でも受け入れてくれる場所なので、入場料などは全くかからないで見学ができる。献金ができるようになっているので、その建物の維持のためとかに投げ銭は可能だ。気をつけるべきなのは、あまり露出の多い格好をしないこと。これはギリシャの教会にかかわらず、大抵の宗教施設を訪れる時に気をつけるべきことだが、肩や膝上を出すようなファッションはしない方が良い。輪郭もNGなのでミニスカにタイツとかも気をつけた方がいい。

ホシオス・ダヴィッド教会(Church of Hosios David)

早速、世界遺産に登録されている「ホシオス・ダヴィッド教会」を訪問。この教会、日本では有名じゃなさすぎて、日本語表記がわからないからこれであっているのかわからない。
朝にも関わらず、信徒の方がお掃除をされていた。素敵な教会じゃん。

ホシオス・ダヴィッド教会の外観

初期キリスト教の教会として、重要な教会らしい。とてもそうは思えないローカルな感じの教会だった。

ホシオス・ダヴィッド教会の内部

内部のアプスには座っているキリストのモザイク画がある。アプスとは、この奥の円球状になってる部分のこと。
キリストの下には、エゼキエルとハバククが描かれているらしいのだけれど、ちょっとわかりにくい。このモザイク画、教会がモスクとして使われていたときにはおそらく隠されていて、1920年代に教会に戻った時に発見されたみたいだった。ここまで見てきたギリシャの遺跡は、キリスト教がそれ以前のポリスの神殿を奪って教会にしてしまった遺跡ばかりだったが、以降見ていくのは、キリスト教の教会ががイスラム教に奪われてモスク化されていた遺跡や教会やモスクである。ちなみに、ビザンツ帝国大好きオタクの後輩は、モスク化された教会を見てウンウン唸っていた。可愛い。

オシオス・ダヴィット聖堂の内部

この教会、結構狭い。入り口にあった解説を読んだ感じだと、もっと違う形をしていたらしい。内接十字型っていう形だったけれど、その東の部分だけが残り、他はmissing(失われた)と書いてあった。十字架の形の教会だったけど、片腕を止める部分だけ残ったってことだろうか。壁にはフレスコ画もあって、マジでびっくりするほどすごい遺産だった。それがこんなテサロニケの住宅街にひっそりと佇んでいるとは。
ちなみにフレスコ画っていうのは、生乾きの漆喰に絵を描いて定着させる技法のことで、失敗が効かない代わりに、めちゃくちゃ後世に残せる。保存に適した技法ってわけだ。なお、英語ではフレッシュ(新鮮)という言葉があるけれど、そのイタリア語であるフレスコ(新鮮)から、フレスコ画と言われている。
モザイク画とは、絵というか、色のついた小さな破片を並べて絵にしていくやつで、これはこれで保存されやすい。フレスコ画の技術が発展するまでは、壁を装飾するときはモザイク画が主流だった。けれど、フレスコ画だからこれは新しいとか、モザイク画だからこれは古いとかはいえない。20,000年前のラスコーの絵画とかもある意味でフレスコ画なので。

献金でできる蝋燭


せっかくなので、教会の入り口に蝋燭を立ててから次の場所へと移動。こっちの教会は、献金をすると蝋燭を立ててよくて、それが結構楽しい。かなり色々な教会に行って、色々な蝋燭を立ててきたけれど、何回やってもワクワクする。うちの教会でも導入してくれ。

ブラタデス修道院(Vlatades Monastery)

ちょっとこれも、日本語名が見つからなくてこの表記でいいのかわからない。Vlatades Monasteryだから、ヴラタデスかもしれないが、ギリシャ語だと頭文字はBからだったので、マジでよくわからん。

Vlatades Monasteryの入り口

今日も、この地区の唯一の修道院として機能しているらしく、朝早くに訪れたけれど中には人がいた。礼拝堂は14世紀ごろに建てられたらしいが、どうやらこの場所でパウロが説教したことがあるという眉唾情報もある。伝統的に、パウロが説教した場所に修道院を立てていたらしいし、この教会自体が、元々古い教会があった場所に建設されたらしいから、もしかしたらそうかもしれないけれど、うーん。どうだろう。

礼拝堂入り口の外観

中では修道士が朝礼拝をしていたので、写真が憚られた。中には14世紀のフレスコ画が残っていた。重要な壁画だと言われているものの、フレスコ画やらモザイク画の見過ぎでありがたみが感じられない身体になってしまっていて、へえ〜で終わってしまった。壮大な絵ではあった。

この二つの教会はテサロニケの中でも小高いところにあった。

最近まで監獄だったエプタピルジオ要塞

エプタピルジオ要塞からの景色

エプタピルジオ要塞は、かつては要塞だった場所だが、その後に牢獄として使われていた。牢獄として、かなり最近まで(聞いたところ1989年)使用していたので、要塞というよりも牢獄の雰囲気が強い。

要塞の内部の様子

おそらく刑務所としての側面が強すぎて、観光スポットとして見せられるところがほとんど無いらしい。景色はよかったが、わざわざ訪れるほどではなさそう。一部、牢獄が公開されていたが、いくつかの牢は倉庫扱いされていて、雰囲気がなかった。

監獄の入り口

この中で個人ガイドが英語を喋っているのを盗み聞いたんだけど、「小部屋にはトイレがないので、トイレのたびに看守を呼ばなきゃいけなかったんですよ」と言っていた。いやいや、そんなことあるかよと思ってチケット売り場にいたスタッフに聞いてみたら、「トイレは牢屋の中の穴でさせていたが、穴は塞いである」とのことで、ガイドの闇を見てしまった。

トリゴニオ塔(Trigonion Tower)

この監獄要塞と同じチケットで、タワーに登れるとのことで、タワーにも登ってきた。一般6€で、学生は半額。コレも日本語表記がわからない、通称はトリゴニオン塔かもしれない。適当に呼ぶことにする。
要塞はテサロニケのアクロポリスというべき場所にあって、その周りを壁が取り囲んでいた。(壁も4、5世紀ごろに作られた世界遺産らしい。現存しているのは14世紀ごろのものだと思われる。)
そして、その壁の外を監視するために建てられたのがこのトリゴニオンタワーだと思う。
チケットのお姉さんからは「ライター持ってない?」と聞かれ、手荷物検査とかあるんだって思いながら咄嗟にNOと答えたら、普通にタバコ吸いたいのにライターを忘れただけらしかった。遺跡内部でタバコ吸っていいの面白いけど、思えば今まで数えきれない人がタバコを吸いながら監視をしていただろうし今更だった。

エプタピルジオ要塞と共通のチケットで入れた

塔のスタッフのおじさんが、私の首につけている十字架に目ざとく気づき、クリスチャンかと聞かれた。人の宗教にいきなり踏み込める感じが、日本じゃなくて面白い。
正直に「プロテスタントっす〜」と答えると、日本の宗教の話で盛り上がった。日本の宗教に興味を持っている外国人は(私調べだと)結構いて、そういう人たちは日本人で宗教持ってる人いるとめちゃいろんなこと聞いてくる。中高生の頃は、外国人に日本の説明をさせる教材がいっぱいあって、あんなのいつ使うんだよって思っていたけれど、案外「日本人のことなら日本人に聞けばわかる」と思っている外国人は多くて、こういう機会を想定しているんだなとわかる。反対に彼ら(外国人)は自分たちの国の説明をしっかりできる人が多い。おそらく日本は島国だから自国と他国の違いとかをはっきり自覚しないけれど、陸続きだとそういった違いが自覚されるから自分で説明できるし、他の国にも興味も持つのだろう。おじさんはかなり宗教を重んじているようで、熱く語ってくれた後、タワーの巡り方を教えてくれた。

タワーはかなり凝った展示で可愛かったし、監視する人たちの待機部屋なども見れてよかった。どうやらこのタワー、「テサロニケのバルコニー」とも言われているらしい。確かに街並みも一望できたし、この時は奇跡的に雲が少なかったので遠くにはオリンポス山が見えた。

元気にやってるよの家族への報告写真を供養

中世の漫画を見ていると城の上がこうやってギザギザになっているのをよく見るけど、実際にギザギザしてるのを見るのは初めてだったのでちょっとテンションあがってた。今後もし中世の同人誌出す時は頑張ってギザギザを描こうと思う。

これも一応世界遺産「ビザンティンの浴場」

保存状態が最も良いビザンツ時代からの浴場

街歩きをしていると突然出くわすのがこのByzantine Bathである。正式名称がこれ。14世紀ごろに作られたらしく、大衆に愛されてきたらしい。身体を綺麗にする目的というよりも、どちらかというとスパみたいな娯楽目的の浴場だったとのこと。
面白いことに、作られた当初から男女ともに利用されてきたし(日付で男女を分けて使っていたとの情報もある)、イスラム化した後も男女でどうにか分けて使われていたらしい。女性が排除されてもおかしくないのに、男女両方によって使われてきたのは、娯楽施設だからだろうか。
内部にも入ることができたが、何もない空間が広がっていて、どのような使用がされていたのかを想像するのは難しかった。一応世界遺産なので、男性が一人スタッフとして常駐していた。後輩はギリシャ語で彼から話を聞いていたので、ギリシャ語さえわかれば内部施設に関するさらなる説明を得られるかもしれない。

アケイロポイエトス教会(Church of the Acheiropoietos)

その後訪れたのがこの教会のはずなんだけど、外観を撮りそびれた。やはり日本語表記は不明だが、おそらくアケイロポイエトス教会/聖堂だと思う。

5世紀くらいに作られた教会で、オスマン帝国時代はモスク化したものの、古い建造物がかなり残っていた。

アプスの様子。もしかしたらここには壁画があったかもしれない

教会の向かって左側にはローマ時代の浴場の床が残っていて、説明も詳しく書かれていた。これが発掘されたことで、教会になる前は大きな浴場があったのだと発見されたらしい。発掘される前はアフロディーテの神殿があったのだと信じられていたらしいから、それはそれで面白い。

教会の一部の床がガラス張りになっており、下にあるモザイクの床が見えるようになっていた

柱の上のアーチにも、モザイクの装飾が施されていて、見応えがある。しかも、柱は二重にもなっていて、立派な教会だった。観光に来た時にはぜひ外さないでほしい。

柱の上の装飾が綺麗で、上を見ながら歩いて楽しい

ハギオス・ディメトリオス(アギオス・ディミトリオス)聖堂

ハギオス・ディミトリオス

ここもまた見どころのある教会だった。テサロニケ、とにかく浴場が大量にあったみたいで、この教会も最初は浴場の上に建てられたらしい。今更だが、ハギオスとアギオスはHの発音をするかどうかの表記ゆれで、どちらもセイント(聖なる)という意味。ハギオスは男性に対して、ハギアは女性に対して使われるので、ハギア・ソフィアなどのハギアも同様に「聖なる」という意味である。記事の中では、Hの発音をするかしないかで他にも表記ゆれがあるが、それは検索してくる人がいろんなワードで引っ掛かるようにあえて表記ゆれさせている(ということにする)。
さてここは、聖ディミトリオスがこの地で殉教したことを記念して建てられた教会だった。有名な教会らしく、中にはツアー観光客もいた。ようやくポピュラーな観光スポットに来た!

ハギオス・ディミトリオスの内部

中の建築はかなり新しい。というのもこの教会は可哀想なほど何度も火災に見舞われていて、今の教会も20世紀に建て直されたものらしい。
この教会、wikiを読んでみたら、どうやら地下にすごい遺跡があるらしいのだけど、訪問時には全く気づかなかった。入れるのかどうかもわからないのだが、もしまたテサロニケに行く機会があったら地下を攻めたい。

この名前の教会多すぎる。ハギア・ソフィア教会

続いて、8世紀の教会であるハギア・ソフィア教会を訪れた。庭がそもそも広くて、ここで子供たちが遊べたらそりゃあ楽しいだろうなと思う。

ハギア・ソフィア教会

一応この教会は、元はローマの浴場だったとかではなく、もともとあった初期キリスト教の教会の上に建てられたと言われている。例に漏れず一度モスク化している。

画像の下の絵は十字架を装飾したものだがシンプル

こういう内装で、シンプルな十字架のみが見られるときは「イコノクラスム」の影響があると考えていい(と後輩から教わった)。イコノクラスムとは、8、9世紀ごろの聖像破壊運動であり、偶像を崇拝するのが禁止されたことで、人物が描かれず、シンプルな装飾や十字架の模様が描かれるようになった。
この教会、献金しようかなって思ったら聖書の言葉が飾られていた。ギリシャ語は読めないけれどこのように(19, 17)と書かれているのを見れば聖書の一節だということはすぐにわかる。聖書は何語だろうが何章何節かで表されるからだ。

献金箱の上に聖書の言葉が飾られている

聖書箇所を調べてみると、箴言だった。

弱者を憐れむ人は主に貸す人。その行いは必ず報いられる。

箴言19:17 新共同訳

献金箱にぴったりの聖句が書かれててウケた。この聖句を読んでから、「旅先でぼったくられても、ぼったくりに憐れんだと思えば、必ず報いられるし、いっか〜」と前向きに捉えれるようになったが、それはそうとぼったくらないでほしい。

ガリレウスのロタンダ(円形建築物)

これはガレリウスのロタンダと言われ、ガレリウスが自身の霊廟にするために建てたものだと言われているが、(確か解説を読んだ感じでは)実際はガレリウスが変な場所で死んだために霊廟にはならなかった。その後、何かしらに使われたらしいが、本来のこの建物の用途はいまだに不明らしい。ロタンダという名前は固有名詞ではなくて(テサロニケにおいてはこの建物を指す固有名詞として使われているけれど)、実際には「円形建築物」の総称らしい。へえ〜。
作られたのち、4世紀からは教会として使われてきたが、その後オスマン帝国の支配下でやはりモスク化し、ミナレット(尖塔)も追加された。

ロタンダ外観。左がミナレット

中の装飾も見事だっただろうに、今はそこまで綺麗に残っていない。それでも圧巻だった。ちなみに今は教会としては使われてないので、入場料が必要だった。

学割がうまく使えなかったので共通チケットを購入

この共通チケットは、本当は28€のところを15€で見れる優れもの。ここ、ロタンダと、テサロニケ考古学博物館、ビザンツ文化博物館、ホワイトタワーの全てに入場することができる。学割だと全て回って14€なので、ほぼ学割と同じのかなりお得なチケットだ。後輩が博物館どっちも行くって言ってたし、それならばと思い購入。(元々あんまり博物館に行く気が無くて後輩だけ行かせて自分は他の場所を観光しようとしていたのだが、これを買えば強制的に自分もいかなきゃないけなくなるのでセルフで縛りをかけたとも言う)

ロタンダの天井

ロタンダは、円柱の上にドームが乗っかった作りで、中には特に何もなかった。壁画は修復が施されていたものの、よく見えにくかった。

ロタンダ内部の様子

ところで、この内部の様子を見ていて、幾つもの穴があるのに気づいてほしい。

もっと矢印入れるべきなんだけど、この穴の多さ

なぜか、壁に穴がたくさんあいているのだ。キモいくらい。ちなみにこれ、今に始まった話ではなく、スパルタのミストラにある教会でも穴はあった。

ミストラの府主教座-アギオス・ディミトリオス聖堂 
ミストラのアギア・ソフィア聖堂 (おそらく)

どうしてボコボコ穴を開けてているのか、ずっと疑問に思ってきた。
それがこの度、ロタンダにいるスタッフのお姉さんに聞いたところ「足場」だということが判明。お姉さんはロッククライミングの身振りをして説明をしてくれたが、実際は足場を組むために使われた穴のようだった。
詳しくは友人の老頭が見つけてくれたWikipediaのページを貼っておくので参考にしてほしい。

そしてこのリンクをくれた老頭がさらに私の疑問を解決してくれたのでついでに紹介する。
ロタンダの中のアーチ構造の部分をまず見てほしい。

ロタンダの壁一面にあるアーチの天井

このアーチの天井、よくよく見ると不思議なレンガの組み方になっている。

真下から撮った天井の様子。

アーチのレンガは、細長いレンガが横に積んであるのが常なのに、この天井は真ん中の部分が長方形を描くようにレンガが積まれている。こういうふうにレンガを積むの、めちゃくちゃ難しそうだし、なんでこんな変な積み方をしているのか不思議だった。装飾的な意味でやってるんだろうか?
疑問に思っていると、友人がテキパキ調べてくれて、アーチの構造について理解が深まったので、この場を借りて共有しておく。

クラウンとキーストーンの説明図


この、アーチの半円の部分をクラウン(crown)と呼ぶのだけれど、ここが一番弱点というか、重力に対して一番難しい難しい部分だそうだ。考えてみれば、確かに両サイドはそんなに重力に対して問題がないけれど、クラウンの部分は意味わかんないもんな。自分が積み木で再現しろって言われても無理だし。
そしてクラウンの一番上のところをキーストーン(要石、楔石)と呼ぶんだけど、キーストーンはそのアーチを支える最も重要な部分だ。


アーチの構造にかかってる力の説明図

見るだけならなんともなさそうなアーチ構造だけれど、実際はすごい力のバランスがうまく保たれて成立している。ロタンダでは、四角くというか垂直にレンガの組み方をすることで、キーストーンの役割を果たさせようとしたのではないかっていう見解があった(ソース出してくるの大変だから、各自でbarrel vaults keystone masonryとかで検索して欲しい。すぐに見つかる)。確かに、頂点の部分を強く積みたいよな。
そういうわけで、どうやら装飾のためにこのような積み方をしているわけではなさそうだった。(や、装飾的にも綺麗だけど、どちらかというと機能性っぽい)
ビザンツ様式にこのような垂直な積み方はよく見られるらしい。そう言われるとここ以外でも見たことがある気がしてくる。

テサロニケ市内歩き

教会を大量に見たあとに、共通チケットの博物館を二つとも回ったのだが、新たな発見などは特になかったので(これまでの旅行で博物館で勉強しすぎて、復習みたいになった)割愛する軽い説明に止める。

テッサロニキ考古学博物館。共通チケットで入れた。

一応、テッサロニキ考古学博物館の方は、日本語のパンフレットもあって親切だった。全く読まなかったからどれくらい親切かはわからないが、展示もスッキリした展示がされてあった。新しい博物館らしく、空間の使い方が斬新。

酔っ払いシーレーノスSIlenus像が可愛かったので写真を撮っておいた。
屋外にも展示がいくつかある。後輩撮影。

ちなみに、このように右手を胸元、左手を裾にやっているポーズをとってる像は、人間の像である印らしい。後輩がそう言ってた。私も人間なので一緒にポーズをとって写真を撮ってきたが、なんか怖い感じになったな……。

この博物館の隣にビザンティン文化博物館があり、ほとんどビザンツ帝国の中でのクリスチャンの歩みをまとめた展示だった。初期クリスチャンが他の文化を取り入れながら埋葬の方法を発展させて行ったり、八世紀のイコノクラスムの中でデザインを模索したりする様子など面白いっちゃ面白い。ただ、もしアテネでビザンティン・クリスチャン博物館に行っているのであれば、ここは必ずしもいかなくていいと思われる。
二つの博物館とも、かなり綺麗だったので涼むのにはピッタリ。ロタンダから徒歩で移動可能だった。

海辺にあるアレキサンダー大帝の像。

後輩がアレキサンダー大帝の像があるから、と海辺へ連れてってくれた。確かにアレキサンダーの像があった。この場所にきた時、フランス人観光客20人くらいが記念撮影をしていて、ちょうど私がフランス語を喋れたのでなんとなく写真を撮ってあげることに。(私がチャリに轢かれそうで危ないのをフランス人が注意してくれて、ありがとうってフランス語で伝えたらなんとなくそうなった)
おじいちゃんのカメラを使って、大勢のフランス人を写真に収めると、フランス語を話せる日本人二人が余程珍しかったのか、俺の娘は日本にいてね……とおじいちゃんがお話しをしてくれた。ぺちゃくちゃと雑談をし、「君たち二人も撮ってあげるよ」というおじいちゃんに甘え、二人でアレキサンダー大帝と写真を撮ってもらって別れた。こういうとき、日本ってすごく通りがいいというか、日本から来たのねって言った時に日本エピソードを持っている人が比較的多くて助かる。

マケドニア出身のアリストテレスということで、同じマケドニア繋がりでか、テサロニケにはアリストテレス像があった。(アリストテレスはテサロニケから少し離れたスタゲイラ出身。)
私はアリストテレス(アンチ)ガチ勢なので、「お前さえいなければ哲学の歴史はもう少しゆっくり進んだんだよばかやろー!」のポーズで写真を撮ってきた。

みんなに触られて親指が金色のアリストテレス。後輩撮影。

テサロニケにある一番有名な大学は、「テッサロニキ・アリストテレス大学」だし、アリストテレスを愛している街なのかもしれない。

限界ホワイトタワー登り

テサロニケの夕暮れと夜景が見たいっ!
あとテサロニケの共通チケット買っちゃったからホワイトタワーのチケットも使いたい!
そういう気持ちで夕暮れ時にホワイトタワーへと向かう。ちなみに後輩は共通チケットではなく学割なのでホワイトタワーに登る必要がなく(あんまり興味もなかったっぽい)、私一人で参戦。一人で歩いているのは現地人だけなので、めちゃくちゃジャパニーズの私は浮いててウケる。テサロニケは治安が良いので怖くないが、場所によっては本当にこういうのやめたほうがいい。(自分への戒め)

ホワイトタワーへ向かいながら見る夕焼け

外国って言い方すると雑だけど、ヨーロッパの人たちってあんまり一人行動をしないから、一人で観光する人はバックパッカーくらいしかいない。日本は一人旅行って結構ポピュラーなので大きな違いだなと思う。日本が安全っていうのも大いに関係していると思うけれど。

ホワイトタワー、めっちゃ階段……。

共通チケットを使い終えて、中を登っていく。この日は朝から一日中歩いていたけれど、さほど疲れなかったのは、曇っていたおかげだった。晴れているギリシャはそれだけで暴力だから……。
なお、この共通チケットは1日で使い切る必要はないので、もし行く人は無理せずゆっくり観光してほしい。ホワイトタワーは、要塞同様かつては監獄だったらしく、ところどころの部屋にはその説明があったが、景色を見にきただけなので展示物はスルーした。内部の展示もかなり面白そうな感じだった。

タワーからの景色

街を見ていると、スタッフのおじさんが話し相手になってくれた。離島出身らしく、タワーでの仕事のために毎日島から船で出勤しているそうだ。大変そうだけど、本人はへっちゃらだと言っていた。

閉館ギリギリまで粘った夜景

ホワイトタワーは、閉館10分前まで屋上に滞在することができる。街の明かりが綺麗になってくると、スタッフのおじさんが街を自慢げに紹介してくれてよかった。
夜景ももちろん綺麗だったが、この日は月も綺麗で(この記事の一番上の写真がその時の写真)、えっちらおっちら登った甲斐があった。

絶品!テサロニケ飯

後輩のおすすめレストランがすごく美味しかった。お店の公式サイトはないのだが、テッサロニキでご飯を探しているのであればぜひおすすめなので、リンクを貼っておく。

量が多すぎて死ぬかと思ったけれど、サービスも良くて(例に漏れずデザートも出てきた)、また行きたい。というか日本に来て。

チーズとキノコのクリームリゾット

このリゾット美味しかったので、実際に家でも作って食べた。自分のメモがわりに書いたレシピはこちら。人が作ることをそこまで想定していないから読みにくいので悪しからず。

イタリア料理の料理学校の教本にあった「フンギのリゾット」みたいなやつを参考にして味の再現をしたが、とにかくポルチーニが高いので店で食べた方がいいと思う。日本だと生ポルチーニは家庭で手に入れられないけどお店なら出てくるし……。

ケッパーが美味しいトマトとチーズとラスクサラダ

サラダも美味しかった。

ΝΥΜΦΗ Beer!
さて、後輩は酒を飲まないので、私が一人で晩酌に飲んだギリシャビールも紹介。
ニンフ(nymph)と書かれたラガービールだが、これまた美味しかった。ご飯が進む味だった。このビールについての感想をどこかに執拗メモったはずだったが思い出せない。総じて言えるけれど、ギリシャのビールはご飯ととにかく合う。味がシンプルっていうか、こう、『ビールを飲んでください!』みたいな感じの味ではなくて、そっと共にいてくれる感じ。パケも可愛いし、日本でもコンビニで買えるようになって欲しい。
ちなみに、このビールのレビューをしている日本人全然いなくって、美味しいのかどうかわからず買うか迷った。美味しいからこれを読んだ日本人は迷わず飲んでくれ。(アルハラ)

ギリシャのビール「ニンフ」

あとこれ、スーパーに行ったら後輩がいい加減な感じで「買ったら?」と言ってきたので、私もいい加減な感じで「買ってみようか」と思って買ったドリンク。
ビタミンが入ってそうってことと、一つお得になってることくらいしかわからない。

motionという名の謎のビタミンドリンク

このサイズだから、ビタミンを無理やり詰めた味ではないだろうと予想し、事故ることはないだろうと思ったが、本当に無難な感じのビタミンドリンクだった。オレンジジュースとかそういう系の色々混ざってるジュースで、飲みにくさはないけれど、とにかく印象に残らない味。濃くないので、喉は渇かない。これがどれくらい私にビタミンを補給したかはわからない。

あと、ギリシャのコーヒースタンドで飲んだドリンクも記録しておく。

COFFEE ISLANDというチェーン店のアイスココア

https://www.coffeeisland.com/

スタバみたいにオシャレ扱いされていない、コーヒー屋さんで、イメージとしてはドトールとかベローチェみたいな店だった。お店の利用者は幅広い層で、観光地だったからというのもあるけれど、店員は英語をかなり理解してくれた。
ギリシャだから、ヨーロッパだし、SDGsだし、「紙ストローかー……って」思いながら店内設置の紙ストロー取ろうとしたら、お姉さんが「断然こっちっしょ」ってプラのストローをくれたのを覚えている。ありがとうお姉さん。

このあと、この日がギリシャ最後の日だったので、スーパーでウゾを爆買いしたら、スーパーの店員から「何この酒クズ観光客」って目で見られたのが印象的だった。

出奔旅行記5(トルコ/イスタンブール編)に続く。


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