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就活のタイミングを3度も逃した人間の就職活動|その2:就職活動について学ぶ編

博士課程を満期退学して22卒の就職活動をしているあごひげ20cmです。

この記事およびマガジンでは、博士課程卒の就職活動について自分の体験談を紹介しようと思っています。境遇の近い方や興味のある方はお付き合いください。全4回+αになる予定です。

前回のテーマは『自己紹介&これまでの遍歴』でした▼。

第2回のテーマは『就職活動のための情報収集』です。

1. いつ頃、どんな感じで動き出した?

 前回、「博士課程3年目の5~6月頃にぼんやりと就職を意識し始めた」と書きました。しかし実際に動き出したのは10月からでした。(その間、何をしてたんでしょう?……推しVTuberの切り抜き動画とか作ってた気がします。)

 その頃、大学のキャリアセンター主催の博士課程向けオンライン合同企業説明会が開かれ、なんとなく覗いてみようという気分で自分は参加しました。理系博士課程向けということで、製薬や製造業の参加が多かったです。

 10年近く「就職」のことを考えて来なかった自分にとって、チンプンカンプンな情報が飛び交う場でした。ただ、BtoC企業の商品をイメージしながら理念や経営ビジョンを聴くのは存外楽しめました。

 そして、冬インターンというものがあることをこのとき初めて知ります。冬インターンをまだ募集していた企業にエントリーシートを慌てて提出しましたが、そんな付け焼き刃では1社も通過しませんでした。ここで少し焦り始めます。


2. マ〇ナビで就職活動の準備

 自分は「就職」のことを10年近く考えて来なかった人間なので、就職活動についての知識が圧倒的に不足していました。そこで駆け込み寺のように頼りにしたのが、マ〇ナビ2022です。

 マ〇ナビは、有益な情報をたくさん提供してくれました。自分はさっそくオンラインのWEBセミナーを片っ端から受講しました。20年12月~21年2月のことです。3月に採用情報が公開される前の、就職活動の準備期間とも言える時期ですね。

 で、無知な自分は就活準備において2つの活動が重要だと知ります。業界研究(企業研究・職種研究)自己分析です。社会人であれば実践された方も多いと思いますが、これから就職活動をされる方向けに簡単に解説しますね▼。

 業界研究は、ビジネスの仕組みや商流、社会での立ち位置や動向を研究することです。より解像度を上げていくと、企業研究や職種研究といったものになります。要するに就職先を調べ上げる行為です。
 自己分析は、読んで字のごとく、自分の実績や内面を掘り下げて言語化していく行為です。幼少期の原体験から大学での活動までの半生を振り返って、自分というものがどんな性格・思考なのかを言語化します。
 この2つの結果を突き合わせることで自分にマッチした仕事を見つけやすくなるという寸法です。敵を知り己を知れば百戦危うからずってやつですね。

 もう、目から鱗でした。世の社会人は、あの頃の同級生たちは、こういったことをちゃんと経験して社会に出ているのか……!という衝撃。自分だけ蚊帳の外だったという感覚に襲われました。で、少しでも遅れを取り戻そうと必死になりました。

 まず業界研究。主にマ〇ナビ出版の「業界&職種研究ガイド」という本で世の中の様々なビジネスについてざっくり勉強しました。世間知らずだった自分は、金融業界の細かい区分や、コンサルティングの実態などを始めて知りました。BtoBって普段は見えてないだけですごくデカい存在ですね。

 そして自己分析。マ〇ナビセミナーの見よう見まねで、これまでの経験をざっと書き出しました。リストアップした事項の共通点を考察したり、過去の言動の動機を深掘りしたりもしました。既に自覚していた「怒りの感情がない」「新しいもの好き」みたいな性格以外にも、色々な自分の内面が見えてきて楽しめました。(ちなみに、怒りの感情がなくなった経緯については以下の記事で紹介しています▼。)

 一連の活動を通して、「食品業界で開発研究職をしたい」と意思を固めたのが21年1月のことでした。この頃からマ〇ナビで開かれていたオンライン個社説明会に参加しまくりました。業界研究から企業研究へとシフトしていったわけです。


3. 留年する?退学する?

 さて、就職活動の準備を順調に進めていたこの頃、一番大きな悩みが「博士課程4年目どうする?」でした。

 「博士」という学位を取るための要件はざっくり2つあります。1つは博士課程で3年間指導を受けること。もう1つは学位論文の審査を通過すること。(※大学によって規定の細かな違いはあります。論文の数とか学会発表の回数とか。)

 既に3年間の指導を受けて前者の要件をクリアした自分が、4年目に学位論文を執筆すると仮定したとき、選択肢は2つありました。留年するか、満期退学するか。どちらを選んでも学位審査は受けられます。悩んだポイントは3点。お金、研究、就職活動中の身分です。

 まずお金について。
 留年するということは、学費をもう1年分払うということです。大学4年間+大学院5年間も学費を払ってきて、さらにもう1年分というのはデカい。「学位論文の執筆が間に合わず博士課程4年目に突入した」という事例は、所属大学の学費免除を申請する理由としては一応認められました。しかし、申請すれば100%通るものではないのが悩みの種でした。不採択になれば学費を払う必要があります。
 その点、満期退学すれば大学にお金を払う必要がなくなります。学位取得のための要件はクリアしているので、出来ることなら払いたくないというのが正直な気持ちでした。

 次に研究について。
 留年するということは、学生という身分のままでいられるということです。よって、大学の施設を使うための大義名分が確保できます。
 一方、満期退学してしまうと、大学とは関係のない一般人になってしまいます。近年の大学機関はセキュリティや予算管理への意識が高まっており、部外者が侵入して研究するというのは到底許されません。部外者のために研究予算を使うのも大問題です。
 自分は、指導教官のはからいで、退学後もアルバイトとして雇ってもらうことで研究室に籍を置かせてもらう約束をしていただきました。週1日の雇用なので収入としては微々たるものですが、引き続き研究室に出入りするための大義名分としては十分でした。

 最後に就職活動中の身分
 留年した場合は、「22年3月修了見込み」ということになります。一方、満期退学した場合、履歴書には「21年3月退学」と書くことになり(定義によっては)既卒という身分になってしまいます。
 実は、応募を検討していた企業の中に、募集要項に「22年3月に卒業見込みの者」と書いている企業がちらほらありました。もし満期退学してしまうと、こういった企業の募集要項には合わない身分ということになります。

 ちなみに、内閣府のお達しでは新卒の定義は「卒業後3年以内」とされています。この定義であれば、もし21年3月に退学したとしても24卒までは新卒扱いということになります。実際、大多数の企業は「卒業後3年以内」と募集要項に書いていました。
 しかし、「22卒の募集では22年3月卒業の者しか認めない!」という厳格な企業も往々にしてあるそうです。

 この点は企業の採用方針次第なので、自分には判断材料がまったくない問題でした。一応、志望度が高いけれども卒業年を限定している企業には採用担当者に確認をとりました。ただ、上述した学位取得要件などを説明した上で、「満期退学した場合に御社の採用条件をクリアしていますか?」と訊くのは骨が折れました。企業からトンチンカンな答えが返ってきた時は泣きそうになりながら、改めて確認しました。

 上記の3点について悩み、指導教官や大学のキャリアセンターと相談した上で、自分は21年3月で満期退学という選択をとりました。この選択が、企業の選考でどのように評価されたのか自分には分かりません。ただ、結果としては、「22年3月卒業見込みのみ」と限定して募集していた6社のうち、3社の書類選考は通過、3社からはお祈りされました。学生の卒業年なんて案外と見ていないのかもしれません。

 もしも自分と同じような境遇の方(博士課程4年目を前にして留年か退学かで悩んでいる人)の参考になれたらと思い、少し熱を入れて語ってしまいました。見ず知らずの誰かの役に立てば幸いです。

 こうして晴れて博士課程を退学し、世間的にはフリーターという身分でありながら、企業には「退学したけれども学位論文を書くために大学に籍を置いている」と説明する人間の就職活動がいよいよ始まります。


次回予告

 第3回のテーマは『食品業界にアタック!』です。世間知らずな博士卒が本格的に就活を始動させ、まんまと打ちのめされます。お楽しみに。

※本編第3回の投稿は25日(金)の予定です。

▼本シリーズのマガジン▼(月・水・金の19時ごろ投稿予定)


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