見出し画像

ひとり旅 〜金田一少年と南十字星〜

昨年、夏休をとって念願の波照間島へ一人旅に出た。この話をすると、なぜ波照間島なのかと聞かれることもある。

「金田一少年を見て波照間島の存在を知ってからというものずっと行きたくてー」

と、説明するのが面倒なのもあり、なかなか積極的には言えなかった。唯一、高校時代からの友人であるトモミにはそのまま話した。トモミは心許せる友人のうちの一人で、20代の頃は鮮やかなオレンジに真っ黒な文字で”亀”と書かれたドラゴンボールの巾着袋(ヴィレッジバンガードで購入したらしい)に生理用ナプキンを入れていたような女性だ。一緒に柴又を観光した後、カラオケで“葛飾ラプソディー”を一緒に歌うくらいには仲が良い。

「この前一人旅で波照間島行ってきたさ」

「え!波照間島って金田一の怪盗紳士の殺人に出てくる島だよね?」

「さすが、わかってるね」

小学生の頃に読んだ”金田一少年の事件簿”で波照間島と南十字星の存在を知り、いつか訪れて星空を眺めたい、という密かな憧れがついに叶ったのだ。

さて、時系列で話すと私は出発日の約一ヶ月前に石垣島行きのチケットを購入した。波照間島へは、石垣島から船で行くのだ。なんとしてでも交通費を節約したくLCCの航空券を探していた私は、たまたまセールが始まったばかりのバニラエアの公式サイトで、石垣島まで片道6900円という素晴らしい価格を目にした。これは今すぐ予約しなければ…!すごい勢いで残席が減っていく中、スマホとパソコンを駆使し、時々F5を打ち何度も再読み込み。残席0で一瞬諦めかけるも、復活した残席を他の人に購入されませんようにと祈ったりしながら、なんとかチケットを確保することができた。ふぅ。まるで一仕事終えた後のような達成感。最高の夏休みになること間違いなし!私は希望で満ち溢れていた。

航空券の次は宿泊予約と船の確認だ。波照間島へ旅行した人のブログや宿のレビュー等を片っ端から見ていったのだが、宿を決めるのに異常なほど時間がかかった。宿選びを失敗したくないというムダな慎重さとレビューの見過ぎがゆえの宿の粗探しになってしまい、なかなか予約まで至らなかった。結局、私が宿選びで重視した点はこの3つ。

ゆんたくがない、まぁまぁきれい、放っておいてくれる

ゆんたくというのは沖縄の方言で“おしゃべり”という意味で、民宿でのゆんたくというと宿泊者同士で飲みながらおしゃべりをすることだ。ゆんたくも離島ひとり旅の醍醐味かも…とも思ったが、ゆんたくに参加している想像上の自分が少ししんどかったため、とことん一人を満喫できる宿を探すことにした。

そして出発日の約二週間前、悩みに悩んだ宿も予約し(予約は電話のみの受付だった)、石垣島から波照間島までの船の情報と例年の欠航率までしっかりと確認し、水着や防水スマホケース、虫除けスプレーなど必要なものをルンルン気分で買い揃え、私は準備万端で波照間島への旅を心待ちにした。 

つづく






 


   

                                  

この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?