北国リラ

東京在住のどさんこ!ど素人がお送りするイラストつきエッセイ!

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最近の記事

ひとり旅 〜負けいくさの紫外線(戦)〜

ゲロ船から救出された私は宿屋に着くと、まだ昼過ぎだというのに早速布団を敷いて横になった。薄い敷布団と6畳の和室にぽつんと置かれた扇風機が妙に安心感を与えてくれる。結局その日は体調が優れなかったためどこへも行けず、近くの売店でお弁当と泡波を購入し、部屋でゴロゴロしていた。そしていつの間にか眠りについた。 次の日、前日の具合の悪さが嘘だったかのように気分良く目覚めた。天気も快晴だ。女将さんが日本最南端の碑がある高那崎、それからニシ浜への行き方や、島民以外が足を踏み入れてはいけな

    • コーヒーが飲みたくなる

      小綺麗なこの街が好き。 札幌から離れてもう15年くらい経つだろうか。冬が近づいてくると帰りたくなる。厳しい寒さが続くあの日々が今は恋しい。 自分の背丈よりも高く積もった真白い雪が、人気のない夜の市電通りを明るくしてくれる。まるで細かいラメが散りばめられたような新雪の表面を薄く、そっと手のひらで掬ってみる。白い息、ひんやりと冷たい空気。だけれどなぜか温かさを感じるあの家路。 だが、静かで幻想的な雪道も時には過酷である。 小学生の頃、ザリガニの赤ちゃんを小さな水槽に何匹か

      • 1990年代 香港 -衝撃編

        小学一年生の夏休みだっただろうか。父の仕事の関係で一ヶ月ほど香港に滞在したことがある。それはまだ香港がイギリス領だった頃。今にも崩れそうなアパートと香辛料が混ざったような独特な空気の匂い。あいまいで断片的な記憶しかないが、その中でも衝撃的だった出来事をテーマごとにまとめてここに記録する。 <豚と鶏と蛙> ある日両親と街中を歩いていると、たくさんの豚の逆さ吊りを目撃した。あまりの衝撃に私はその場に立ち止まり、時が止まったかのように動けなくなった。だが両親は固まっている私を気

        • Sexy茶摘みZone静岡

          私はSexy Zoneが好きである。2014年〜2016年頃はイベント当選率8割というまぁまぁ強運の持ち主であったため、大変ありがたいことに直接セクゾに会える機会が多かった。これは2016年2月、ファンミーティングに参加するために静岡まで遠征したときの話である。 イベント当日、交通費をケチり朝早くから鈍行列車で向かい、ちょうど正午頃静岡駅に到着。とりあえず会場である静岡市民文化会館へバスで向かった。おそらくいつもはお年寄りで半数以上占めているであろうバスが、この日はパステル

        ひとり旅 〜負けいくさの紫外線(戦)〜

          きのこカレーでケンカ勃発

          私は中・高・大とバレーボール部に所属していたのだが、高校のときの砂川での3泊4日の合宿は今でも鮮明に思い出される。 合宿では、出された食事は残してはいけないという暗黙のルールがある。私も普段から食べ物は残さない人なのだが、尋常じゃない量を食べきるのは合宿中の一つの試練であり、何よりも苦痛なのは食事の時間だった。それでもなんとか毎回完食し、お腹いっぱいの状態でランニングをはじめ毎回脇腹を抑えながら走っていた。 合宿3日目の午前、私は練習試合中に足首の靭帯を損傷してしまった。

          きのこカレーでケンカ勃発

          ひとり旅 〜長時間のゲロ船(戦)で敗北〜

          朝目覚めると激しい雨と風の音が聞こえた。これから船で波照間島へ向かうというのにだ。 私は折りたたみ傘を開き、旅客ターミナルへ向かった。しかし傘をさす意味がないくらい、風の勢いが凄まじかった。あんなにずぶ濡れになったのは人生初だろう。いっそのこと “ショーシャンクの空” のように両手を広げて思う存分雨を浴びてみたかったが、周りの目線を気にしてやめた。 旅客ターミナルに到着し、船の運航情報を確認したところ、案の定欠航だった。そりゃそうだろうと思いながら、事前に調べていた貨客カ

          ひとり旅 〜長時間のゲロ船(戦)で敗北〜

          ひとり旅 〜島時間の流れに身をまかせ〜

          ついに出発日。通勤ラッシュを横目にいつもとは反対方向の電車に乗り、バックパックに半袖半ズボン、tevaのサンダルという出立でまるで自由人になった気分で成田に向かった。成田第3ターミナルはよく利用する。なぜなら私は交通費をケチるため、札幌へ帰省するときもLCCを利用するからだ。アクセスが不便な上に、天井板がなく配管がむき出しの倉庫みたいな成田第3ターミナルだが、安さを重視するのであれば文句は言えまい。 成田空港から約4時間かけて、石垣島空港に到着。移動中の記憶がないのはほぼ寝

          ひとり旅 〜島時間の流れに身をまかせ〜

          ひとり旅 〜金田一少年と南十字星〜

          昨年、夏休をとって念願の波照間島へ一人旅に出た。この話をすると、なぜ波照間島なのかと聞かれることもある。 「金田一少年を見て波照間島の存在を知ってからというものずっと行きたくてー」 と、説明するのが面倒なのもあり、なかなか積極的には言えなかった。唯一、高校時代からの友人であるトモミにはそのまま話した。トモミは心許せる友人のうちの一人で、20代の頃は鮮やかなオレンジに真っ黒な文字で”亀”と書かれたドラゴンボールの巾着袋(ヴィレッジバンガードで購入したらしい)に生理用ナプキン

          ひとり旅 〜金田一少年と南十字星〜

          徒然なるままに

          近未来感とノスタルジックさを合わせ持つ東京。私は東京23区内の、とある下町に住んでいる。 といっても、私が住んでいるところは団地だらけの風情のない下町である。どちらかというと住民は単身よりも家族が多いため、治安は良い(と思う)。 私は下町散歩が好きだ。浅草や人形町、月島なんかにロマンを感じ、強く惹かれるのだ。繁華街とオフィス街と住宅街で成り立っている小綺麗な街札幌に住んでいた私にとって、人情味があふれ、昭和の残り香がする下町こそ最高にワクワクする場所なのである。 東京に

          徒然なるままに