ことでんは、自由をはこぶ。前編
ふと、「電車ってなんでこんなに楽しいんだろう？」と帰宅途中の電車の中で思いました。
小さい頃、親に連れられて初めて乗り込んだあの頃から、毎日の通勤に使うようになった今でも、不思議と電車だけは飽きずに好きなままなんです。
先頭車両の、車掌さんの肩越しに見る「運転手目線の風景」とか、ガタゴト揺れるやさしめのジェットコースターみたいなアトラクション感とか。
好きなポイントは数えだしたらきりがないけど、幼い頃はこんなに小さな箱型の乗り物に、名前も素性もわからない赤の他人が、はないちもんめより近い距離感でみっちり肩を並べて座っている光景自体に「ふしぎだなあ～」「おもしろいなあ～」と感じていました。
今回は、そんな電車についてのお話。
香川県を縦横に走ることでん、そのポスターデザインの裏話を聞いてきました！
ことでんは、自由をはこぶ。前編
「ことでん」とは、高松琴平電気鉄道の通称です。
もしかしたら香川県民の方は、「ことでん」の方に慣れすぎて逆に正式名称にびっくりしているかもしれませんね。
ことでん。
座席に大人2人分くらい幅のあることちゃんのぬいぐるみを座らせたり、踏切をオークションにかけたり、落札した人の敷地内にそれを設置したり、電車をウクライナカラーに染め上げたり……鉄道会社とは思えないほど自由にあれこれやっている、あのことでんです。
「運休って言葉を知らないのかな？」って思うくらい、とにかく災害に強くて”止まらない”ことでも有名ですね。
ことでん公式Twitter
https://twitter.com/irucakoto
今回上々(※弊社です)がデザインを担当したのは、このことでんの企業メッセージポスター。
事の発端は、ことでん前社長の真鍋さんが支援していたとある写真展でした。
その写真展というのが、こちら。
「OUT IN JAPAN SETOUCHI」
セクシャルマイノリティーの方々を被写体としたポートレート写真展なのですが、この写真展の撮影をしていたのが、あの世界的にも有名な写真家、レスリー・キーさんです。
レスリー・キーInstagram
https://www.instagram.com/lesliekeesuper/?hl=ja
「彼に企業メッセージポスターの写真を撮ってもらいたい！」
写真展を見た真鍋社長の一声に、上々は動きだしました。
まず考えたのは、「そもそもことでんってどんな会社？」という根本的なところでした。
ことでんとは、電車とは、良くも悪くも誰でも運んでしまうものです。
年齢、性別、身分も国籍も、LGBTも障がい者も外国人も、もっと言えば犯罪者であっても関係ない。
わけ隔てなく、電車に乗り込むすべての人を運びます。
「公共交通の目的は、乗客たちを目的地に届けること、ひいてはその先の人や出来事との出会いを運ぶことです。だからことでんは自由な会社じゃないといけない。僕はずっとそう思っています。」
真鍋社長の言葉にハッとしました。
誰かが誰かに出会うこと。
誰かがどこかで何かをすること。
そうした出会いや行動の間を繋ぐのが公共交通なら、ことでんはその人たちの自由を運んでいるんじゃないか？
そんな思いから決まったタグラインが、こちら！
ポスターのテーマは「自由」。
すべての人を運ぶ「人の自由」と、それらの人々が「電車に乗った先で出会うさまざまな人や出来事の自由」。
ことでんは、そのすべての自由を乗せてゆく。
くしくもこのテーマとレスリーさんの写真展は合致していました。
これはぜひとも、レスリーさんに撮ってもらわなければ……！
多忙を極めるレスリーさんのスケジュールの合間を狙って、「自由」を詰め込んだ３枚ばかしの企画書を脇に抱え、我々はイタリア大使館へと飛び立ちました。
To be continued……
「デザインがさらにおいしくなる話」とは？
㈱人生は上々だのデザイン制作の裏話をもぐもぐ噛み砕いてご紹介していくシリーズです。
意外と知らないデザインの裏側。そこには一体どんなこだわりが隠されているのか？
CREDIT
Creative Direction：村上モリロー
Art Direction：村上モリロー
Graphic Design：村上モリロー／久利優実
Copywriting：一村征吾
Photograph：レスリー・キー
Movie：ホリヒロユキ
Creative Produce：柳田梨絵
高松琴平電気鉄道(ことでん)
（本 社）
〒760-0073
香川県高松市栗林町2丁目19番20号
コーポレートサイト
Googleマップ
https://www.instagram.com/kotoden.official/
レスリー・キー
Twitter
株式会社Quintetto