デザインがさらにおいしくなる話vol.13【hacomo株式会社】
「ロゴマークって、世界規模の企業になればなるほどシンプルになっていくよなあ……。」
昼食のてりやきマックバーガーをかじりながら、ふとそんなことを考えました。
(※ちなみに私はデザイナーではありません。)
AmazonはAmazonの文字と矢印だけだし、GoogleはカラフルなGoogleだし、天下のAppleさんにいたってはただのリンゴだし。(Appleさんごめんなさい。)
今食べているマックだって、黄色のM。とってもシンプルです。
「じゃあ、なんで世界規模の企業はロゴがシンプルなんだろう?」
今回はそんなロゴマークのお話。
2017年に制作した、ダンボール商品での世界進出を狙うhacomo株式会社のロゴマーク制作の裏話を聞いてきました!
企業と世界をつなぐロゴマークが持つやさしさの話。
hacomo株式会社さんは、主に工作用のダンボール商品を製作している企業です。
小学生の頃、夏休みの工作課題で一学年に一人は絶対にダンボールでできた恐竜(化石ver)を持ってくる男の子っていませんでした?
hacomo通販サイト
そう、あれです。
あれを作っている会社さんです。
株式会社FUJIDANの子会社として生まれたhacomoさん。
今回は、その新社屋建設にともなって、ロゴマークをリューアルしたい、というご依頼でした。
「ダンボール模型シリーズのPUSUPUSUで、世界シェアを増やしていきたいんです。」
PUSUPUSUとは、小さなダンボールパーツを”ぷすぷす”と差し込むことで、東京タワーや大阪城などの模型を作ることができるダンボール工作キットのことです。
くわえて、「今は子ども向けの商品が多いけど、今後は大人向けの商品も展開していきたい」とリニューアルを機にビジネスの視野自体も大きく広げていこうと、hacomoの岡村社長は野心を燃やしていました。
であれば、作るロゴマークも世界に通用するものでないといけません。
考えた末できあがったロゴマークがこちら!
社名の「hacomo」は、実は「ハッピーコミュニケーション」の略。
世界中に「hacomo(=ハッピーコミュニケーション)」が伝わる、共通のアクションはなにか?
そう考えたとき、注目したのが「音」でした。
世界各国、言語は違えど「はこも」という発音は誰が聞いても「はこも」なはず。
「ミソスープ」の意味は「味噌汁」ですが、発音は誰が聞いても「ミソスープ」なのと同じです。
このアイデアから、人種も性別も年齢もバラバラの人たちが「はこも」と発音する口の形からロゴマークを作りました。
また、ロゴマーク制作にあたってコンセプトに据えた言葉は
「設計する。」
hacomoさんは「ダンボール設計でなんでもつくる会社」なので、ロゴマーク自体も「設計」しています。
「設計する。」というコンセプトから、ロゴマークは黄金比にピッタリはまるように制作しました。
それから、本来ロゴタイポでは目の錯視に配慮して微妙に文字の線の太さを変えるところを、今回は太さを変えず均等なまま制作しています。
錯視が起こらない絶妙な太さを探して探して……シンプルですが、デザイナーに「もう二度とやりたくない」と言わしめた渾身の作品です。
さて、冒頭で「ロゴマークって、世界規模の企業になればなるほどシンプルになっていくよなあ……。」と呟きました。
てりやきとポテトに夢中でそのときは気がつきませんでしたが、あとになって、
「もしかして世界中の誰にでも伝わる形を探した結果、シンプルになっていったのかな?」
とハッとしました。
言語も生活環境も価値観も違う人とコミュニケーションをとるとき、大切になってくるのはきっと、「どれだけ違うか」より「何が同じか」。
Appleさんのロゴなんて一口かじっちゃってるから、あれは誰が見ても「食べられるリンゴ」の形なのです。
きらびやかな街を見ていると、デザインって「個性的なもの」「奇抜なもの」と勘違いしてしまいそうになるけれど、本質的には人や物の間をつなぐコミュニケーションツールのひとつなんだなあと思います。
違いより共通点に目を向けるやさしさが、デザインをシンプルにしていくのかもしれませんね。
「デザインがさらにおいしくなる話」とは?
CREDIT
Creative Direction:村上モリロー
Art Direction:村上モリロー
Graphic Design:村上モリロー
Creative Produce:村上モリロー
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