見出し画像

11歳の自分に伝えたい、恋が教えてくれたこと

幼少期

ある日の深夜。それは小学5年の夏だった。
両親が1階のリビングでケンカしているのを、
2階の吹き抜けから聞いていた。

いつも19時には寝ている2歳上の兄も、
ただ事じゃない雰囲気に気づき、起きてきた。

兄と私は、言葉を交わすこともなく、
静かに下の階の音を聞いていた。
こんなときに兄がいてよかった、と思った。

いつもは穏やかな父の、怒鳴り声。
グラスが投げられ、ぱりん、と床で割れる音。

家族が終わる、そんな暗い予感がした。

「部屋、戻るぞ」という兄の声。

きっと兄も何かに気付いたのだろう。
私の心の傷が大きくならないようにと、彼なりの配慮だったのかもしれない。
私たち兄妹は、自分たちの部屋に戻った。

部屋に戻ってから、私はひとり泣いた。
そして小さな脳みそで、2人のケンカの原因を考えた。

「私が何かしてしまったんだろうか。」

幼い頭では、両親のケンカの原因を、そんな風にしか考えられなかった。

明け方、気づくと祖母の腕の中にいた。
祖母は私と兄を車に乗せ、遠く離れた祖母の家に、私たちを連れて帰った。

起きてしまったら全てが終わってしまいそうで。
私は車の中でずっと、寝たふりをしていた。

祖母の家に着き、昼になっても、私は寝たふりを続けた。
どんな顔をしたらいいのか分からなかったし、
大好きな祖母の、悲しそうな顔も見たくなかった。
だから、何も気づいていないふりをした。

そして数時間後、母がやってきた。
母は泣きながら、「ごめんね」と言い、眠る私を抱きしめた。
私はまた、何も気づいていないふりをした。
これ以上、母が謝る姿を見たくなかった。

この日から私は、自分の気持ちに蓋をするようになった。


彼との生活

付き合って5年が経つ彼は、とにかく私に甘い。

何考えてるのー?と彼に聞かれて、
自分が何かを考えていたことに気づく。

抱きしめられて初めて、
本当は抱きしめられたかった、ということに気づいた。

ずっと寂しかった。

自分の気持ちに気づく度に、私は泣いた。

彼からすると、喜ばせようとしたら泣きだす私に、初めのうちは混乱したことだろう。
5年の間に私は何度も、彼に泣かされた。

子供のように泣きじゃくる私が泣き止むまで、
彼はいつも抱きしめてくれた。

そんな彼にある日、両親が離婚していることを話すと、
「それでもご両親、幸せじゃん。
こんな娘がいるんだから」と言った。

両親が幸せだという発想が私には無かった。

いつもケンカばかりしていたから。
そして幼い私はずっと、私たち子供が生まれてきたことが、彼らを不仲にさせた原因だと思っていた。

でも今ならわかる。
両親の不仲の原因は、自分ではないということ。
そして、離婚をすることが必ずしも、悪ではないということ。

大人には大人の事情があって、
恋もするし、結婚もする。
子供だって産むし、離婚もする。

現在両親は、それぞれ再婚して、幸せそうにやっている。
ずいぶん勝手だな、と思った時もあったけど。

人は勝手に幸せになる。そういうことだと思う。

だから自分も、自分で幸せにならなきゃ。

もう、自分を責めなくていい。
許していい。本当の気持ちをさらけだして、いいんだよ。

11歳の私に伝えたい。

25歳の私は、自分の気持ちをさらけ出せるパートナーが横にいる。
彼は、私がありのままでいることを、喜んでくれている。

その幸せに気付けるのも、
11歳のあなたが、今日まで頑張ってきたからだということ。

25歳の私は、あなたのおかげで、今日も幸せに生きています。

無駄だったことなんて、何もないよ




この記事が参加している募集

自己紹介

よろしければ、サポートお願いします🤝いただいたサポートは、たまにの自分のご褒美を買ったり、企画を立てたり、記事にさせていただきます!