『とまった先に』:春ピリカ1200文字
紫がかった空を真っすぐにさすその指を
放っておくことが出来なかった。
無言の助けを求めているようで。
子供達のはしゃぐ声の響く公園に、その青年はいつもいた。ただぼっと遠くを見つめる彼は、微動だにせずに隅の木陰に座る。走り回る子供達は誰一人として、彼の事を気に留めてはいないのだろう、それほどに彼の周りだけの時間が止まっているように思えた。毎日毎日同じ場所に座り続けている彼は、時にそっと地面に咲く花に触れたり、ふと揺れる木の葉に目を向ける。
いつから彼がこの公園に来ているのかも