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旅の記録と記憶

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ヌエバ行きのフェリーの上で

ヌエバ行きのフェリーの上で

 アカバ湾の満点の空の下、ヌエバ行きのフェリーのデッキで、拓郎は東京のJUNから届いたメールを読んでいた。ヨルダン唯一の海岸の町アカバは、政府の後押しもあり、リゾート化された街だった。免税店に洋酒が並んでいるのはいいが、他の地域に比べ物価が高かった。このメールをインターネットカフェで、一枚プリントアウトするのに1ディナールは、ふざけてやがると思いつつ、丁寧に四つ折にしてこの紙を手帳に挟んでおいた。

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