【#NIKKEI】スマートロックで本格的なDXの序章が始まる

 引用する記事の内容としては、スマートロックがDXの一端を担うというもの。具体的は、スマートロック自体はSuicaなどのICカードで開錠が可能、開閉記録を労務管理に活用、レンタカーの支払い延滞に対し開錠しない、など様々な運用ができるという。

DXについての所感

 まず、私の考えるDXの所感を述べたい。DXとは、単にデジタル技術を活用して何かより良くする、ではなく、デジタル技術を活用して我々の生活を前進させるもの、と考えている。つまり、ビジネスっぽい言い方をするのならば、デジタル技術による価値創造プロセスの変革や生活者に対する文化の変革、となる。
 より具体的には、リクルートのホットペッパービューティ、を先進的なDX事例として考えている。従来は紙媒体に広告を載せるメディアであった。その後、スマートフォン向けアプリによって成果型広告が導入された。さらに、これに予約枠が設けられた。結果、そこはネット予約じゃないかしら?、とう文化を醸成し、美容院業界における広告モデルも大きく変革されることとなった。

スマートロックによるDXのKSFは、エコシステム

 スマートロックによる利点は主に、データの取得やデジタル的な動き(AIによる自律的な開閉)、一時キーの発行、にある。ただし、これらの機能的価値に目を奪われてはいけない。こうした特徴をバリュー・プロポジション(提供価値)としてしまうと、最終的に好みの問題へと帰着し、競争力の醸成に繋がらないからだ。消費者が個人的に採用する、デジタル技術の好きな事業者が採用する、という次元におさまってしまう。
 では、スマートロックによるDXの主要成功要因(KSF:Key Success Facctor)は何であろうか。それは、エコシステム(ビジネス・エコシステム)である。どこに採用すべきが良いのか。車のキーと一言で言っても、自家用車とレンタカーで使い道は大きく異なるだろう。データの活用はどうすべきか。もし、小売店と連携するなら、買い物をしてから車の開閉までに至る時間をデータとして蓄積し、消費者の移動経路を改善することができる。アナログな体験価値の向上へ大きく貢献することになるだろう。
 誰とどのように連携するのかによって、スマートロックは大きく価値が変わるだろう。スマートロック自体は便利で素晴らしいものだが、単体で終わらせるには非常に勿体ない。様々な連携を行うことで可能性を秘めているものであると思う。

まとめ

 昨今のデジタルブームに乗っかり、大手企業のDX人材登用に関するニュースを目にする機会は多い。また、M&Aも頻繁に実施されており、内生的なDX対応を行う日本企業は多い。
 DXにおける戦略においてクローズかオープンか、は重要である。シンプルにイメージするのなら、インテルのようにそれ自体がなければ最終製品が商品として成立しないのならクローズ、データを集積・解析することで価値を発揮するのならオープン、であると思う。特に後者は一度覇権を取ってしまえば、保有するデータ量が競争力となり、独占力が強まる(ネットワーク外部性)。
 今回のスマートロックの導入量が増えれば、それだけデータ保有量も増え、競争力は増大する。そのデータをどのように使うのかで、スマートロックを核としたDXの明暗は分かれるだろう。

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