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【読書記録 #47】『お探し物は図書室まで』(青山美智子 著)を読みました

※本記事にはネタバレが含まれます。

あらすじ

会社員、一児の母、ニート、定年退職後の男性--。

何かに導かれるように図書室を訪れた彼らは、本を探してレファレンスコーナーへと向かう。

「何をお探し?」

司書さんのその問いかけに、彼らは自分自身と向き合い始める。探している本を伝え、司書さんに検索してもらうと、本のリストの最後に、明らかに関係のない一冊が加えられていた。そして「あなたには、これね」と、本の付録を手渡される。

司書さんから受け取ったリストにある一冊の本、そしてもらった付録から、彼らの人生が少しずつ動き始める。

感想

久しぶりに、一気読みしてしまいました。図書館好きな私としては、とても面白かったです。

司書の小町さんの存在はファンタジックであるにも関わらず、最後には彼女は魔法使いでもなんでもないということがわかります。その種明かしとも言える、小町さんのセリフがこちらです。

でもね、私が何かわかっているわけでも、与えているわけでもない。皆さん、私が差し上げた付録の意味をご自身で探し当てるんです。本も、そうなの。作り手の狙いとは関係のないところで、そこに書かれた幾ばくかの言葉を、読んだ人が自分自身に紐づけてその人だけの何かを得るんです。

この一文は、私にとって、この本の中で最も印象に残りました。本を読んでいると、「これ、今の私に必要な情報だ!」と驚くことがよくあります。何か不思議な力に導かれてその本に出会ったわけではなく、小町さんの言うとおり自分自身で紐づけているから、たびたびそういうことが起きるのでしょう。

ところで、私が本を読むことの素晴らしさを知ったのは、社会人1年目のときでした。それまでの私は、活字アレルギーで、読書なんて絶対にできない、と思っていました。ただ、そのときはものすごく人生に悩んでいた時期で、藁をも掴む気持ちで、救いを求めて本を読み始めたのです。本を読めば答えが得られるかもしれない、と。ところがそのときは、この物語の登場人物たちのように一発で人生を変える本に出会えたわけではありません。何冊も、何冊も本を読んで、自分に必要な言葉を少しずつ集めて、ある程度溜まったところでその言葉たちが私を新たな道へと導いてくれました。

実際には、この物語ほど簡単には導きを得られないかもしれません。それでも、本には人生を変える力がある。そのことを今一度認識させてくれた一冊でした。

・読んだ時期 :2021年11月23日(火)
・かかった時間:1日×3時間
・おすすめ度 :★★★★☆



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