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【読書記録 #41】『オルタネート』(加藤シゲアキ 著)を読みました

※本記事にはネタバレが含まれます。

あらすじ

高校生だけが利用できるスマホアプリ「オルタネート」。

オルタネートを強く信じる、波津。オルタネートを利用しない、蓉。そして高校を中退したことでオルタネートを使えなくなってしまった、尚志。

円明学園高校を舞台に、10代の波乱に満ちた1年間を描く物語。

感想

意外と面白かった、というのがまず初めの感想です。

いつものように、本の内容を知らずに読み始めた私。すぐに「自分好みの物語ではない」と感じました。それは、物語の舞台が高校であること。そして、物語がスマホアプリを中心に回っていること。この2つが理由でした。私は高校を10年以上前に卒業しているし、スマホが嫌い。そんな自分とはかけ離れた境遇の人々の話だと感じ、まったく期待をせずに、途中で読むのを止めることも考えながら読み進めました。

ところが、あるところから急に物語に引き込まれました。それは、主人公の1人である蓉(いるる)が、料理の腕を競う大会「ワンポーション」へのエントリーを考え始めたところです。その理由は、私の趣味が料理であることが1つ。そして、そこで登場する料理の美しさに惹かれたことです。

自分が料理の面白さや奥深さをわずかながらも知っているから、蓉の登場するシーンは毎回物語に没頭して読み進めました。

一方、もう2人の登場人物の境遇や思考は私とはかけ離れていました。直観を信じず、データだけを信じる女子。高校を中退して仕事もロクにしていない男子。この2人の登場するシーンは、本の中盤くらいまでは全く面白くないと感じていました。でも、やはり途中からどちらもあっと驚く展開になり、先が気になって読み進めるスピードが加速しました。

また、この本では「これってどういうこと?」と疑問に思うシーンが何度かあり、読み進めるとそれがわかる、という部分が何度かありました。それが面白いと感じさせる要因の1つであったと思います。

そして最後、締めくくりの文章が文学的でとても素敵でした。

おそらく、この物語を最も楽しめる層は、高校生だと思います。でも、大人が読んでも十分面白い内容でした。

個人的な変化としては、この本を読んで「もっとよく考えながら料理をしよう」と思うようになりました。

・読んだ時期 :2021年6月下旬~7月上旬
・かかった時間:5日×2時間
・おすすめ度 :★★★☆☆


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