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【読書記録 #24】『2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望』(落合 陽一 著)を読みました

内容まとめ

年代ごとに変わりゆく世界地図をもとに、様々な分野における2030年までの世界の動向がまとめられています。

・テクノロジー

2020年代から2030年代にかけて、テクノロジーの発展により人間の仕事がAIにとって代わられる。そして、人口の増減によって世界情勢は移り変わる。インドやナイジェリアなどの国々が人口増加とともに勢力を増していく。インドは2050年までに世界の経済を支える経済大国となる。

・貧困と格差

途上国における極度の貧困は減りつつあるも、先進国における格差は年々広がりを見せている。「相対的貧困」が課題となっている。

・環境

地球温暖化については、もはや疑いようのない事実となっている。各国が足並みを揃えて取り組んでいかなければならない。環境対策は、「CO2排出量削減」といった規制だけがすべてではない。アメリカは、CO2排出量の少ないシェールガスを採取し、エネルギー源の転換というイノベーションで環境問題解決を図ろうとしている。

・SDGs

最近では「SDGs」を知らない人は少ないであろう。しかし、SDGs成立の背景を考えたことがある人はごく少数ではないだろうか。SDGs達成状況の国別ランキングを見ると、上位10位はヨーロッパ諸国が独占している(2019年7月のデータ)。その理由は、もともとSDGsがヨーロッパに有利にできているからだ。歴史的にヨーロッパは「法と倫理」で社会を統制する文化である。SDGsがヨーロッパ主導で成立したものであり、前述のイノベーションで世界の問題を解決するスタンスのアメリカや中国の文化とは性質が異なるものである。日本はその中間に居場所を見つけることが、効果的な戦略になるであろう。

感想

この本の最大の魅力は、圧倒的な情報量なのではないでしょうか。世界の動向について、自力でこの本と同等の情報を調べようとしたら膨大な時間がかかることは間違いありません。それをこの1冊に集約していただけたことは、大変ありがたいことだと言えます。本を読み終えてから裏表紙を見て、「この情報量を、たったの1,500円で買えるのか!」と驚きました。

本を読み終えた際の私の感想としては、難しかったです。私にとっては「イデオロギー」や「レジリエンス」など、普段あまり耳にしない単語が多用されており、読むのにとても時間がかかりました。著者によると、わかりやすさを重視した内容になっているそうです。それでも私が理解できたのは、全体の6割程度だったのではないかと思います。

本の内容すべてを理解できなくても、これからの世界の在り方を学ぶ上で大変参考になる1冊であることは確かです。この本を読むことで、将来のビジョンを考えたり、ビジネスの方向性を検討したりする上でのヒントになるのではないでしょうか。これからの未来を担っていくすべての人にとって、一読の価値ある内容だと思います。

私は日頃、学校などの教育現場へ出向いてSDGs(主に国際協力関連)についての講演をする機会があります。私にとっては、SDGs関連の話のネタを増やすことができたことがこの本を読んだ収穫でした。

・読んだ時期 :2020年12月下旬
・かかった時間:20日×1時間
・おすすめ度 :★★★☆☆


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