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子どもに「ダメ」を教える方法
子供に「ダメ」を教えること、特に自閉症スペクトラム障害(ASD)等の子どもたちとって、非常に難しい挑戦です。しかし、このスキルは子供達の成長と発達において非常に重要です。ここでは、子供に「ダメ」を受け入れる方法を教えるためのヒントとその重要性について解説します。
「ダメ」を受け入れる能力の重要性
私たち大人でも、望んでいたことが「ダメ」と言われるのは辛いものです。しかし、人生には失望がつきものです。失望に対処し、「ダメ」を受け入れる能力を育てることにより、子供達は現実的な期待を持ち、将来の困難に立ち向かう力を養うことができます。
親が「ダメ」と言うことを避ける理由
親は子供に「ダメ」と言うことを避けることがあります。これは、子供が感情的に爆発するのを恐れるためです。しかし、このような対処を続けてしまうと、子供は何でも手に入れられるという非現実的な世界観を持つようになり、境界や限界を理解せず、社会的なスキルを身につける機会を失ってしまいます。
特にASD傾向の子供たちに「ダメ」を納得させるのは至難の業です。そのため、保育者側が子供の要求に従ってしまうことが多くなります。しかし、このような対応を長期間続けると、子供が成長してからも「ダメ」を受け入れられず、そのたびに攻撃的になるなど、強度行動障害に陥るリスクが生じます。
「ダメ」と言われることを受け入れる能力を教える
子供はすぐに限界や失望の概念を理解できるわけではありまんので、そのための練習が必要です。この練習には応用行動分析(ABA)が役に立ちます。ここでは、具体的な方法を解説します。
子供が「ダメ」を受け入れることを学ぶ必要がある時の認識方法
Antecedent(先行条件):行動が発生する直前の状況や出来事を記録します。例えば、「おもちゃを要求したが断られた」、「おやつを求めたが与えられなかった」など。
Behavior(行動):子供の問題行動そのものを記録します。例えば、「泣き叫んだ」、「物を投げた」、「叩いた」など。
Consequence(結果):行動の後に続く出来事を記録します。例えば、「親が要求を受け入れた」、「別のおもちゃを与えた」など。
これにより、行動のきっかけとなる状況(先行条件)とその結果(Consequence)を明確にすることができ、子供が「ダメ」を受け入れられない原因やパターンを特定するのに役立ちます。
1. 具体的な対処法
データを取る:
ABCデータシートを使用して、問題行動のパターンを記録します。これにより、行動のきっかけを特定しやすくなります。
スキルの不足を特定する:
きっかけが「望むものが得られない」や「思い通りにならない」ことに関連している場合、子供が失望や拒否に対処するスキルが不足していることがわかります。
具体的な対処法を教える:
子供に「ダメ」と言われたときにどのように対応するかを具体的に教えます。例えば、深呼吸をする、別のアイテムを選ぶなどの対応方法です。
2. スキルの不足を特定する
行動のきっかけが「望むものが得られない」や「思い通りにならない」ことに関連している場合、子供が失望や拒否に対処するスキルが不足していることがわかります。
3. 具体的な対処法を教える
ダメと言われるショックが小さい状況で練習する: 最も望ましいアイテムや状況ではなく、断られてもショックではない状況で「ダメ」を教える練習を始めます。たとえば、普段それほど欲しがらないおもちゃやおやつを使います。
対応方法を教える: 子供に「ダメ」と言われたときにどのように対応するかを具体的に教えます。例えば、深呼吸をする、別のアイテムを選ぶなどの対応方法です。
4. 模擬的な練習を行う
事前に「ダメ」と言われる練習を設定し、その状況でどのように対処するかを教えます。
シナリオ設定: 「今日はこのおもちゃでは遊べないよ」と事前に伝える。
対応方法を教える: 子供が深呼吸する、別のアイテムを選ぶ、静かに待つなどの対応を示します。
5. モデルを示す
「ダメ」と言われた時に大人がどう反応するかを子供に見せることで、子供はどう反応すればいいかを学びます。例えば、家族や友人、職場の同僚に、事前にこの段取りを伝え、協力を依頼します。そして「ダメ」と言われた時に、「わかった、また今度ね」と冷静に反応する様子を見せましょう。
6. 一貫性を持つ
一貫して「ダメ」と言われる状況を練習し、成功した場合は必ず強化(褒める、報酬を与える)します。例えば、子供が「ダメ」と言われた時に適切な対応をしたら、「よくできたね!」と褒めたり、ハグしたり、「じゃあおやつにしようか?」などと報酬や楽しいイベントを与えたりします。
7. 予測不可能性を取り入れる
だんだん慣れてきたら、時には「ダメ」と言われ、時には望みが叶う状況を作ることで、子供が現実の不確実性に対処できるようにします。例えば、「今日はおもちゃで遊んでいいよ」と言う時もあれば、「今日は遊べないけど、明日は遊べるよ」とすることで予測不可能性を教えます。
8. 段階的に実生活に応用
練習を重ねるごとに、現実の生活状況でこのスキルを応用し、子供が自然に「ダメ」を受け入れることができるようにします。例えば、外出先でおもちゃを買って欲しいと言われた時、「今日は買えないけど、今度また来ようね」と事前に練習した対応を促します。そしてその通りにできたら、子供の行動を褒めたり称えたりして、強化します。
9. 強化を徐々に減らす
最初は、適切な行動をとるたびに頻繁に強化子を与えますが、子供がスキルを習得するにつれて徐々に強化を減らしていきます。例えば、子供が適切な反応を繰り返すようになったら、毎回ではなく、数回に1回強化子を与えます。
すべての強化を一度に止めることは避けてください。そのような対応は「消去」を引き起こし、これまで積み上げてきた適切な行動が起こらなくなる可能性があるからです。
まとめ
「ダメ」と言われることを受け入れる能力は、子供たちが現実的な期待を持ち、将来の困難に立ち向かう力を養うために必要です。私たち大人は、このスキルを教えるために忍耐と共感を持って接することが重要です。このブログが、皆さんの日常の育児や教育の参考になれば幸いです。
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