見出し画像

23歳でAdecco Group JapanのSDGs総合責任者になった、小杉山浩太朗が挑む「SDGsの実現」

Adecco Group Japanでは「『人財躍動化』を通じて、社会を変える。」というビジョンを掲げ、事業を通してSDGsを実現しようとしています。
SDGsを推進する立場として、23歳の若さで日本におけるSDGs総合責任者に抜擢されたのが、小杉山浩太朗さんです。小杉山さんに「なぜSDGsに本気で取り組むのか」、「取り組みによって会社や社会がどう変化するのか」についてうかがいました。

4割の社員の「働くモチベーションが変化」。Adecco Group JapanのSDGs戦略とは

—Adecco GroupがSDGsに注力する理由を教えてください。

Adecco Groupは、人財を軸に世界60の国と地域で多様なサービスを展開しています。SDGsの最終的な目標は「誰ひとり取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現です。Adecco Groupは自社の利益のみを追求するのではなく、事業を通して、社会的な課題を解決し持続可能な社会を創っていきたいと考えています。

日本においても、人財の躍動化を促すことで社会を変革し、ひいてはSDGsの実現にもつなげることができると考え、2021年からの中期経営計画の根幹にSDGsを据えています。

Adecco Group Japanの2025年に向けての中期経営計画


——具体的にどんな取り組みをおこなっているのでしょうか。

まずは、全社員に対し、SDGsについての理解浸透を図るための対話やワークショップなどを行いました。
「SDGsダイアログ」と題して、
①SDGsを理解する
②SDGsと経営戦略がどのように繋がっているのかを理解する
③SDGsが一人ひとりの業務とどう繋がっているかを理解する
という三段階のアプローチで、1年間かけて約2,500名の社員にこの内容を伝えていきました。

また、各部署から「SDGsアンバサダー」となってくれる有志の社員を募り、より発展的な内容をレクチャーしました。彼らは今、それを自部門に持ち帰り、SDGsの浸透を図るプロジェクトをリードしてくれています。おかげで社内全体にSDGsが浸透してきつつあると思います。

——SDGsの取り組みは、現状、どのくらいの社員に浸透しているのでしょうか。

2021年末に行った社内アンケートでは、SDGsを事業の根幹に位置づけた中期経営計画がスタートしたことによって、4割の社員が「働くモチベーションや働く理由が変わった」と回答しました。1年目でここまでの結果につながるとは思っていなかったため、大変驚いています。

アンケートの回答の中には「求職者の方に仕事を紹介するという業務に日々取り組んでいるが、単に目の前のタスクとして取り組むのではなく、彼らの人生がどう変わるかまでをも見据えられるようになった」といった回答のほか、20年間当社で働いている社員からは「私たちの事業の意義をより鮮明に理解することができ、今が一番働いていて良かったと思える」といった声も寄せられました。予想より早い段階で多くの社員の働くモチベーションを変化させることができたのは大きいですね。

社会変革企業としてSDGsを軸にした行動を起こしていくことを目指し、その実現に向けて動いていく第一歩の過程で、結果として40%の社員の働く意義が変化したといえます。おそらく「1年間で40%の社員の働くモチベーションを変える」というミッションだったら、この結果にはたどり着いていないと思います。一人ひとりがSDGsと当社のビジョンを理解し、実現に向けて取り組んでいくことで「なぜAdecco Groupで働いているのか」という働く意義に影響を与え、自身の存在意義も変化していった社員も多いのではないでしょうか。

そして、社員だけでなく、求職者の方々や働くすべての人々そしてお客様の組織にも、その変化が波及しつつあると思います。

——どういったアクションをおこなっていくのでしょうか。

世界経済フォーラムの2020年年次総会では、第4次産業革命によって新たなスキルを習得するために、2030年までに、より良い教育、スキル、仕事を10億人に提供できるようにするというイニシアチブが発表されました。

Adecco Groupとしても、2030年までに世界500万人の人々のリスキリングとアップスキリングを行うことに取り組んでおり、日本においても、2025年までに30万人への教育の提供を行っていきます。

さらには、働く人の内発的動機を促し、一人ひとりにライフビジョンとキャリアビジョンを発見できる転機を提供できるよう取り組んでいきます。

お客様においては、お客様の組織のビジョン・ミッション・バリューや組織風土を私たちが理解し、ビジネスの飛躍を支えるパートナーとして、組織で働く方々が組織のビジョンに向かって躍動できる環境の実現に貢献できるように取り組んでいきます。

環境サステナビリティについても、社内にワーキンググループを発足し、社用車の削減およびハイブリッド化やオフィス使用紙の削減、環境適応製品への変更、オフィスビルにおける消費電力削減などを効果的に行っています。

また、契約書類の電子化により、ペーパレスを実践し業務の負荷軽減・効率化を図るなど、脱炭素社会の実現へ向け、活動しています。

各部門がSDGsの指標を業務目標に組み込むことによって、Adecco Group Japanでは、SDGsに本気で取り組んでいます。

「生きた証として社会へ良い影響を与えたい」。幼い頃から抱く思いを実現へ

Adecco Group Japan Head of SDGs 小杉山 浩太朗

——ところで、小杉山さんは23歳でSDGs総合責任者に抜擢されたとうかがいました。これまでのご経歴を教えてください。

ニューヨーク大学を卒業後、現在、Adecco Group Japanにて、SDGs総合責任者として、SDGsの推進に取り組んでいます。

もともと小さい頃からインターナショナルな環境にあり、「社会課題を解決したい」という思いがありました。特に大きなきっかけとなったのは、小学生の時に生死をさまようほどの大病をした時ですね。病気になって「生きた証として社会へ何らかの良い影響を与えたい」と思うようになったのです。

病気を克服後、高校時には80カ国から生徒が集まる全寮制国際学校UWC(ユナイテッドワールドカレッジ)カナダ校へ留学、そして、ニューヨーク大学へ進学し、多種多様なバックボーンを持つクラスメイトたちと過ごしたことが今の自分に大きな影響を与えています。彼らは多様な価値観や考え方を持っていて、一緒に何かをしようとすると必ず議論するのです。その議論を通して、共に一つのものを作り上げていくプロセスからの学びが大きかったですね。

また、大学時代は国連本部でのインターンを通じて、人権や環境に関わるさまざまな取り組みにも参画しました。ユースリーダーとして、大企業の経営者や国連大使の方々との意見交換なども行うようにもなりました。国連大使の皆さんは若者の意見にも熱心に耳を傾けてくれました。それが分かったのは大きな発見でしたね。「若い自分たちも社会に対し意見を反映できる可能性がある」と思えました。

国連本部でのインターン中に国連のユース会合に参加した際の一幕

——Adecco Groupと出会ったきっかけは、どんなことだったのでしょうか?

学生時代にいろいろな経験を積んだものの、実際に企業で働いたことがあるわけではないので「あるべき論」を振りかざすだけになってしまい、それを現実にするために何が必要なのかという理解や経験が不足していると感じていたのです。

そんななかで出会ったのが、Adecco Groupが全世界で展開をしている「CEO for One Month」というグローバルインターンシッププログラムでした。名前の通り「1カ月間、Adecco GroupのCEOとして働いてみてください」というテーマで実施されるインターンシップで、私はAdecco Group Japan代表の川崎健一郎と共に1カ月を過ごしました。

前例がないことにもしっかり取り組んでいく姿勢や、事業を通して社会を変えられると本気で考えているパッションにすごく魅了されましたね。「例え一社の企業だとしても社会に対してインパクトをもたらすことができる」という大きな発見を得ることができたのも、この時です。

小杉山さんは、2018年にAdecco Groupのグローバルインターンシップ”CEO for One Month"の日本代表として活躍しました。

——そのままAdecco Groupに就職したのでしょうか?

いえ、大学卒業後は、より多くの企業に対して影響力をもたらしていく仕事に就きたいと考えていました。

しかし、卒業目前で新型コロナウイルスが世界的に感染拡大しました。特にニューヨークの状況は非常に厳しく、大学も閉鎖になり、一時帰国を余儀なくされました。海外で仕事をする選択肢もありましたが、「もしかしたらこれは日本で自分のビジョンを行動に移しなさいという啓示かもしれない」とふと思ったのです。

そんな折、日本法人代表の川崎 に声をかけてもらいました。当時、次年度からのAdecco Group Japanの5カ年の中期経営計画を策定している最中でした。社会変革企業を目指し、社会を変えることを通して持続可能な企業活動を展開していきたいという想いから、SDGsを経営戦略にも組み込むという話を聞いたのです。「君の社会全体を良くしたいという気持ちはわかるが、実際に実例を作り上げてこそ、君の発言や提案にインパクトが生まれるんじゃないか」といったアドバイスがあり、2020年7月からAdecco Groupの一員となったのです。

 ——若くしてリーダーとして働くことは、不利になることはないのでしょうか。

当社においては、年齢という一面的なラベルで有利になることも不利になることもないですね。年月で重ねた経験が足りないことを指摘されることも時にはありますが、逆に他の人が経験していないことを私が経験しているということも少なくありません。それはお互いの違いとして共有すると良いのではないでしょうか。

——今後、小杉山さんご自身はどのような取り組みをおこなっていこうと考えていますか。

今のところ、このSDGsの取り組みは日本法人のみで実施しているのですが、各国で同様の取り組みをどう広げていくか、今後はその支援も行っていく予定です。

また、Adecco Group JapanでのSDGsの取り組みを認知してくださったお客様から、相談を受けることも増えてきました。私たちの取り組みがさまざまな企業や組織に波及するよう努め、最終的には社会変革につなげていきたいです。

これからもAdecco Groupのさまざまな取り組みをご紹介します。次回もお楽しみに!