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海峡ロマンに誘われて 〜関門海峡〜

境界が好きだ

と、言う人は結構いると思う。
何の境界かわからないと答えようがないかもしれないが、今回は「県境」だ。

車を運転していたり、旅をしていると出会すのが「県境」であるわけだが、この境界がちょっと変わったところにあると、どうも「特別感」を感じてしまう。

関東に住んでいると、イメージとして県境は河川で区切られているイメージが強い
しかし日本地図を見てみると、山間部であったり今回のテーマで言えば海にあったりする。

すると、この境界を通過する際の景色は普段通過するときと一風変わったものとなる。

それは、「トンネル」の中であったり「大きめの橋」の上であったり、はたまた山道を登った先にある最果てのような地の「酷道」上であったりするのだ。
すると、不思議と人が集まってきたりする。

九州と本州の境界は海の上

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山口県と福岡県の県境は、「関門海峡」上に存在する。
この「関門」とは何も通過するのが困難な”関門”と言うわけではなく、「下関」(かつては馬関)と「門司」の間にある海峡だから「関門海峡」なのだそうだ。

海峡や、トンネルの名前にはこんな由来が多い気がする。

そんな「関門海峡」にやってきたのには訳がある。
冒頭に書いた「境界」を求めてやってきたのだ。

海を渡る3つのルート

この関門海峡を渡るのには、3つのルートがあるという。

一つは昔からの船
二つ目はトンネル
三つ目は橋

今回は二つ目のトンネルを渡ってみようと思う。

一口に「トンネル」と言っても、関門海峡には3つのトンネルが通っているらしい。
鉄道・道路・新幹線
これらが順に開通したそうだ。

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いち早く開通したのが鉄道の関門トンネル
関門橋の麓にある和布刈公園には、EF30形電気機関車が誇らしげに展示されている。
こちらは防錆のためにステンレスボディを採用された関門トンネルを走るために作られた機関車(専用というわけでは無いらしい)で、ナンバー1が示す通り試作形でその後作られた形とは見た目が異なる。

鉄道に続いて国道の「関門トンネル」が開通。さらに関門橋が開通する流れとなっている。

今回「境界」求めて訪れたのは、国道の「関門トンネル」だ

歩行者は無料!関門トンネルを歩く。

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自動車が走る国道トンネルの下に、「関門トンネル人道」と呼ばれる人が歩けるトンネルが共用されている。
この写真は門司側の入り口で、和布刈神社の脇に建っている。
トンネルに入るのはスロープではなく、「エレベーター」で進入する。
歩行者は無料で、自転車等の軽車両は多少の通行量が発生する。

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エレベーターは大きいものと小さいものの2種類が用意されている。
まずは小さいエレベーターで地下へと降りる。

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エレベーターを降りると少し広場が用意されており、横を向くと細長いトンネルが緩やかな勾配を伴って奥へと続いている。
脇には「国道2号」の「おにぎり」も用意されており、道路マニアには必要な要素が用意されていると言ったところか?

さて、足下の「下関」の文字に誘われるがまま、歩みを進めていく。

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脇の壁に距離が示されている。
どうやらこの人道トンネルの長さは「780m」ほどらしい。

壁には水中であるかのように、可愛い絵が施されている。

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さて、少しワープしてちょうどトンネルの中央部分に到着

「境界感」を演出する県境表示が特別な気分にさせる!

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遂に、山口県と福岡県の県境に到着したようだ。
ここは水面下58m地点
トンネルを歩く観光客は皆、この境界で足を止めて記念撮影に勤しむ。
私も例外ではない・・・

一通り境界を味わい、写真を撮り終えたらそそくさと下関側へ向かう。
到着したエレベーターホールは、門司側とほとんど変わらない景色が広がる。
違いは足元に書かれた「門司」という表示と、壁に掲げられた国道「おにぎり」の表示と言ったところか。

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さて、地上へと向かおう。
ここで気が付く、エレベーターのメーカーが門司側と違う気がする。
そう思って、両方のエレベーターの写真を撮ったのだが、どちらがどちらの写真かを失念してしまった。
現場を訪れた際に見てみてほしい。

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下関側は駐車場が隣接。開けた地形に観光地感を感じる。

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こちら側は駐車場が隣接されている他、資料館も用意されており関門海峡の歴史に触れることができる。

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紙芝居屋さんも居り、観光客で賑わっていた。

福岡県と山口県の違いを感じたところで満足し、再び地下へと潜り「境界」を味わいつつ門司を後にした。

どうして無料で渡れるのだろう?

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これだけのトンネルを維持するのに、どうして無料で歩くことができるのか?
帰り側に少々気になった。
調べたわけでは無いのだが、人道トンネルの上を国道トンネルが通っていることを考えると、恐らく避難路としてのトンネルということなのだろう。

そんな理由を考えるよりも是非、県境という「境界」を海の下、海底トンネルで渡るという特別感を持って味わってほしいと思う。

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