見出し画像

2023年東京都心部の不動産市況予測

2023年の東京都心部の住宅不動産マーケットは果たしてどのように変化していくのか?

今回の記事では、私なりの見解で2023年東京都心部住宅不動産マーケットを予測していきます。

まず、住宅不動産マーケットは…

  • 二極化加速

  • 踊り場相場

となっていくと思います。

そして、特に注目したいポイントは3つ。

  1. 金利

  2. 建築費高騰

  3. 新築マンション価格

この3つが住宅価格相場に影響を与えるのではないかと考えています。
では、それぞれ掘り下げいってみましょう。

2023年の住宅不動産マーケット注目ポイント

①金利の動向

昨年12月20日の日銀政策会合で長期金利誘導幅の修正が発表されましたよね。

0.25%⇒0。5%への変更でした。

昨年は世界各国が高インフレに苦しむ状態となり、各国の中央銀行が利上げを行ってきました。

しかし、日銀だけは異次元の金融緩和を続け、超低金利政策を固持していたため、昨年12月20日の発表はサプライズでした。

では、こうした流れがあったことを考慮した上で2023年の住宅ローン金利はどうなるのでしょうか。

私の見解としては、恐らく長期金利の誘導指標は今後も緩和される方向かと思います。

もしくは、2016年からの10年国債の利回り誘導(日銀による国債の大量購入)を打ち止めにする可能性が高いと思われます。

実際に年明けから10年国債の利回りの金利は0.5%を軽々と超えており、1月12日~13日の2日間だけで日銀の国債買い取り額は10兆円という恐ろしい額となってしまいました。

すでに、日本国債の日銀比率は5割を超えている状況です。

いくらでも日本円を発行できる日銀でもこれ以上保有比率を加速させることは世界経済からの信用を失ってしまう可能性が高く、非常に危険な状態だと思われます。

そして、こうした現状から住宅ローンの固定金利型は上昇する方向になるのは間違いないと考えています。

ただし、この金利上昇による不動産マーケットへの影響は軽微だとも考えています。

その理由は2つ。

  1. 固定金利は上昇するが変動金利は変更なし

  2.  長期金利は上昇するがその幅は狭い

まず1つ目の「固定金利は上昇するが変動金利は変更なし」に関して、こちらは以前にもNOTEで解説していますが、変動金利と固定金利は金利決定プロセスが違います。

A:変動金利=日銀の政策金利
B:固定金利=10年国債の利回り

今回の長期固定金利誘導幅の修正は「B:固定金利=10年国債の利回り」です。

つまり、今のところ「A:変動金利=日銀の政策金利」の変更予定はなく、不動産マーケットへの影響は軽微だと言えるのです。

ちなみに、欧米並みの高インフレ経済に陥るか経済回復により安定的な賃上げが実現できるといった状況でない現在、「A:変動金利=日銀の政策金利」を変更することはないと思われます。

現在のフラット35の住宅ローン利用者は約2割程度とかなり少ない状態なのですが、その多くは「一般的な都市銀行などで借り入れが出来ない」という理由でフラット35を利用しています。

フラット35は法人の決算書提出不要や単年のみの年収でOKなどと審査基準が緩いためです。

「固定金利を選択したいから」という理由ではないのです。

こうしたことから今後は、
長期金利上昇 ⇒ フラット35金利上昇 ⇒ 変動金利利用者増加
という展開になるのではないかと考えています。

出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査 住宅ローン利用者調査2022年4月調査」
出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査 住宅ローン利用者調査2022年4月調査」

次に2つ目の理由である「長期金利は上昇するがその幅は狭い」に関してですが、なぜ上昇幅が狭いと言えるのかというと、日銀が国債買い入れを中止した場合、この政策が開始する前の金利水準に戻ると思われるからです。

2023年1月時点において、フラット35の金利は1.68%
日銀の異次元金融緩和政策開始時の金利が2%~3%

つまり、今後日銀が国債買い入れを中止すると、恐らく金利は2~3%まで上昇すると考えられるのです。

2023年中にはフラット35の金利が2%前後になることも覚悟しておいた方が宜しいかと思います。

しかし、欧米の固定金利6%前後と比べると2%であれば激安な状況で上昇幅は狭いので不動産マーケットへの影響は軽微だと考えられます。
日本人であることに感謝ですね。

リニュアル仲介株式会社「フラット35最低金利の推移」

②建築費の動向

コロナ禍の影響によるウッドショックやロシアのウクライナ侵攻における高インフレ、さらに日本においては急激な円安というトリプルパンチで建築費が高騰し続けておりますよね。

今後は物価高もピークを過ぎ、沈静化の方向に進むかと思われます。

しかし、一度上がった建築コストはなかなか元に戻らないのは過去の経験からも明らかなので、2023年の建築費は「上がることはあっても下がることは無い」というのが結論かと思われます。

2023年は日銀の金利政策の修正に伴い円高方向に戻ると思いますが、建築費下がらずという残念な1年になるのではないでしょうか。

出典:ニッセイ基礎研究所「建築費高騰と不動産開発プロジェクト(後編)~建築費の高騰と建物の躯体別・用途別の影響」

③新築マンション価格の動向

2023年不動産市況における注目ポイントの最後は新築マンション価格動向。

東京都心部の住宅購入希望者の大半の考え方は
新築マンション購入検討⇒割安な中古マンション探す⇒戸建も検討してみる
となっています。

このことから、ここ数年の中古マンションや戸建、土地は新築マンションと比較して値段決定されるようになっていました。

では、2023年の新築マンションの価格はどうなっていくのでしょうか。
これは明らかにもうひと相場上昇すると考えています。

昨年は港区白金・武蔵小山・千代田区番町などが専有坪単価800万円超で売り出されましたが、即完売の勢いでした。

2023年はさらにワンランク価格上昇し、専有坪単価1000万円超の企画が続々と市場放出されます。

さらに、麻布台では高級リゾートAMANが20億~数100億円クラスの超高級レジデンスを発表します。

このように東京都心部は、新築マンションのビックプロジェクトや再開発がらみの企画が目白押しとなっており、ワンランク上の商品と今までにない専有単価市場になります。

その影響を受けて以下のような流れになると思われます。

しかし、注意しなければいけないのが、値崩れの可能性です。

ここ10年で東京都心部のマンション価格は1.7倍程度値上がりし過熱感がありますが、消費者に受け入れられない物件などは値崩れを起こす場合もあるのです。

事実としてここ数か月の中で、新築マンションの成約率は好調とされる70%を3か月連続下回ったという変調の兆しも見えます。

出典:不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向2022年11月度」

こうした状況の中でもこの成約率70%をうまくコントロールするように新築マンションの供給会社であるメジャー7が第1次分譲、第2次分譲、第3次分譲などと小出しにしてくることかと思います。

そして、この新築マンションの成約率によって2023年以降の不動産価格相場が変調する可能性があるので今後注視していきたいと思います。

2023年展望結論

  1. 固定金利上がるが変動金利は変わらず

  2.  物価高収まるが建築費は下がらず

  3. 新築マンション価格に牽引される

2023年は上記のような展望だと考えておりますが、売買のリアルな現場では高止まりの一服感がすでに現れており、一般的な消費者世帯はこの上がり相場についていけてないのが現況です。

首都圏のマンション価格は年収の13倍以上まで上昇しています。

ここ30年間、平均所得が上昇していない日本においてはこの一方的な価格上昇は消費者世帯が享受できる範囲を逸脱してきている状況です。

今の相場におけるメインプレイヤーは、共稼ぎ世帯超富裕層世帯となっています。

そのような背景から2023年はエリアと顧客層の【二極化】が起こる年になるのではないでしょうか。

また、2022年で成約件数が減少しているにも関わらず価格上昇するという市場から、成約件数減少に伴う在庫過多により価格下落調整していく方向へ潮目が変わるのでは、とも考えております。

東京カンテイ「新築・中古マンションの市場動向レポート(2022年第3四半期)
東京カンテイ「新築・中古マンションの市場動向レポート(2022年第3四半期)」

『下落調整はあるが暴落はなし』これが2023年の相場予想になるかと思います。

当たるも八卦当たらぬも八卦ですが(笑)

YouTube解説もアップロードしました!

今回ご紹介した内容について、YouTubeでも詳しく解説しています。

動画でも解説を見たい
記事を読む時間が無いけど内容を知りたい
音声付きの方が分かりやすい など

そんな方はぜひご視聴ください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?