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「広告事業者の広告適正化に向けた取り組み」 Case:株式会社スタイル・エッジ

当協会の事務局より「広告事業者の広告適正化に向けた取り組み」をテーマとしたコラムをお届けします。
コラムを通じて、広告適正化のさらなる促進ならびに士業広告業界に適正な競争を生み出すこと、そして、広く利用者の方々に良質かつ適正な情報を提供することを目指します。
今回は当協会の正会員企業である広告事業者・株式会社スタイル・エッジのご担当者にお話を伺いました。

株式会社スタイル・エッジ 会社概要

代表取締役社長 島田雄左
設立年月日 2008年6月19日
資本金 3,000万円(2021年6月1日現在)
従業員数 324名(2022年6月1日現在、アルバイト含む)※グループ全体
事業内容 士業・医業などにむけたハンズオン型総合コンサルティング事業
公式サイト https://styleedge.co.jp/

士業・医業に特化した広告事業を展開

「弊社は弁護士、司法書士、税理士、医師といった『士業』・『医業』に特化した広告事業を展開しています。『士業』に関しては、弁護士や司法書士といったクライアントの『債務整理』『交通事故』『離婚』『相続放棄』『アスベスト』等といったリーガルサービスに関する広告を自社で制作・運用しています。

また、自社での制作以外にも他の広告代理店やアフィリエイターの方々がつくられた広告の出稿も弊社経由で行っています。扱っている広告の種類としては、インターネット広告が大半を占めまして、GoogleやYahooのリスティング広告やディスプレイ広告をはじめ、Facebook、Instagram、LINE、Twitter、TikTok、YouTube等のSNS広告の制作・運用も行っています」

社内に別組織として広告審査チームを設置

「ご存じの通り、2000年に弁護士の業務広告が解禁され、それを機に各士業の広告に対する規制緩和がなされました。ただ、規制が緩和されたからといってなんでも自由に広告できるわけではありません。市民が広告を見て適切な判断ができるような適正な広告であるために、そこには数多くの『ルール』があります。

たとえば、弁護士広告ひとつとっても『弁護士等の業務広告に関する規定』『業務広告に関する指針』『弁護士情報提供ウェブサイトへの掲載に関する指針』などをはじめ、規制や規定、ガイドラインは多岐にわたります。

さらに士業側だけに限らず、広告を掲載する媒体側にも、各媒体ごとに様々な規定やポリシーがあります。したがって、制作の現場では、士業側、媒体側の両面からルールにのっとった広告づくりを常に意識しています。

弊社は広告制作における基本的な考え方として『嘘を伝えない』『制作物に責任を持つ』といった『誠実さ』を最も大切にしており、判断に迷ったら常にここに立ち返るようにしています。

ただ、あまりにも多くの規定や指針、ガイドライン、ポリシーといった『ルール』があり、さらに抽象的な文言も多用されているので、広告担当のメンバーがそれらを完全に把握することは実際問題として不可能だと思います。

たとえば一例として『弁護士の業務広告に関する規程』を見てみると、下記の禁止規定があります。

  • 事実に合わない広告

  • 誘導または誤認のおそれのある広告

  • 誇大または過度な期待を持たせる広告

  • 困惑させまたは過度な不安をあおるような広告

  • 特定の弁護士・外国法事務弁護士・法律事務所または外国法事務弁護士事務所と比較をおこなった広告

  • 法令に違反する広告または日弁連もしくは所属している弁護士会の会則や会規に違反する広告弁護士の品位または信用をそこなうおそれがある広告

どれもシンプルでわかりやすい言葉ではあるのですが、それがゆえに見方を変えれば範囲があまりにも広く抽象的で解釈が難しいとも言えます。そのため、弊社では広告制作のチームとは別に広告審査のための組織が存在しています。

判断に迷う広告物に限らず、広告物のリリース前には必ずすべての制作物において審査を依頼をしなければなりません。また、社内制作物に限らず、社外の広告制作物(アフィリエイターの方々や他の広告代理店が作成したもの)で弊社が出稿するものも同様です。

広告審査チームは『スタイル・エッジ・グループ広告規定』といった各種広告表現に関する疑問や注意点が詳細に記された社内規定に沿って、審査を行います。なお、前例がない案件、判断に迷う案件で審査チームの担当者が審査できない場合は、士業広告に精通した顧問弁護士の判断を仰ぐことができ、十全な体制が敷かれています。

さらに広告審査チームと顧問弁護士の間で週に一度、互いの認識のすりあわせを行い、常に最新の事例に対応できるように情報がアップデートされています。

ですので、弊社の手掛ける士業広告は審査の結果、『問題なし』となったものだけを出稿しています。もちろん中には審査の段階でNGが出されることもあります。その際には『何がどう問題なのか』、そして『その問題を解決するためにはどういった修正をすべきか』といった具体的な方策が示されます。制作担当者はそれらに基づき、広告を修正します。

このように弊社では広告適正化に向けた取り組みを行っており、未然にルール違反を防ぐことができています」

抜け道を規制する仕組みづくりを

「広告制作の現場においては、士業広告のルールに関する知識がまだまだ足りないと感じる時はあります。ただ、会社単位で見た場合、先程お伝えしたように審査チームが機能することで広告の適正化が図られているので特に問題はないと感じています。

ただ、士業広告の業界全体を俯瞰して見たときに、ルールを守らずに広告出稿しているケースも見受けられます。たとえば、とある媒体で『この文言はNG』『こういったバナーはNG』と言われていたにも関わらず、他社が出稿している広告ではOKだったりすることがあります。このように士業側のみならず媒体側の規制もまだ未整備であやふやなところがあったりします。

規制や規定、ガイドライン、ポリシーと言ったルールはありますが、守らなかった場合に広告事業者のみならずクライアントである士業側にも本来は罰則があるべきだと思うのですが、実際のところどうなっているのかが見えてきません。

広告出稿の一番の目的はより多くの集客を図ることですが、どうしてもルールを逸脱した広告の方が目を引き、集客に強いといった面があることは否めません。広告事業者同士が集客を図るうえで競争が生じることは市場原理として当たり前のことですが、ルールを遵守していない広告の出稿がなされていることに、士業広告業界の規制の在り方についてまだまだ課題があると感じています。

ルール違反してもお咎めなしで集客がうまくいくのであれば、ルールを守っている事業者にとって不公平ですし、何よりも広告を通じて司法にアクセスされる市民の方々への不利益につながりかねません。

広告解禁から20年以上が過ぎた今、このような抜け道が許されない士業広告業界の規制のありかたを期待しています。そのことが士業広告業界の適正な競争を生み出し、広く利用者の方々に良質かつ適正な情報を提供することができると感じています」

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