見出し画像

心理的安全性以上に心理的柔軟性が重要

ラポトーク

はじめに

現代の職場環境において、心理的安全性が重要視されています。心理的安全性とは、チームメンバーが自分の意見やアイデアを自由に表現でき、間違いや失敗を恐れずに行動できる状態を指します。しかし、心理的安全性以上に重要な要素として、心理的柔軟性が挙げられます。心理的柔軟性とは、変化する状況に適応し、新しい考え方や行動を取り入れる能力です。この記事では、心理的安全性と心理的柔軟性の概念や違いを詳細に説明し、心理的柔軟性がないとどうなるのかを探ります。

心理的安全性とは？

心理的安全性は、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授によって提唱された概念です。彼女は、チームメンバーが恐怖や不安を感じずに、自分の考えや意見を率直に表現できる環境が、効果的なチームパフォーマンスの鍵であると指摘しました。心理的安全性が高いチームでは、以下のような特徴が見られます。

  1. 自由な意見交換：メンバーが自分の意見やアイデアを自由に表現し、他者の意見を尊重する。

  2. 失敗の許容：失敗やミスが批判されず、学習の機会として捉えられる。

  3. 協力とサポート：メンバー同士が協力し合い、助け合う環境が整っている。

心理的柔軟性とは？

一方、心理的柔軟性は、Acceptance and Commitment Therapy (ACT) で提唱された概念であり、スティーブン・C・ヘイズ教授が開発しました。心理的柔軟性は、変化する状況に適応し、自己の価値観に基づいた行動を取る能力を指します。具体的には、以下の要素を含みます。

  1. 受容：困難な感情や思考を否定せず、受け入れる姿勢。

  2. 価値観の明確化：自分の価値観や目標を明確にし、それに基づいて行動する。

  3. 現在への注意：現在の状況や経験に注意を向け、適応する能力。

  4. 行動の柔軟性：状況に応じて適切な行動を選択し、実行する力。

心理的柔軟性が高い個人や組織は、ストレスや変化に強く、長期的な成功を収めやすいのです。

心理的安全性と心理的柔軟性の違い

心理的安全性と心理的柔軟性は、どちらも重要な概念ですが、異なる側面を持っています。

  • 心理的安全性：主にチームや組織の環境に焦点を当てており、メンバーが安心して意見を述べられる状況を作り出します。これは、対人関係の信頼やサポートを強調します。

  • 心理的柔軟性：個人の適応力や行動の柔軟性に焦点を当てています。これには、個人が自分の内面と向き合い、変化に適応し、自分の価値観に沿った行動を取る能力が含まれます。

心理的柔軟性がないとどうなるのか

心理的柔軟性が欠如すると、個人や組織にさまざまな悪影響が生じます。

  1. 適応力の低下：変化に対して柔軟に対応できず、ストレスやプレッシャーに押しつぶされやすくなります。これにより、個人やチームのパフォーマンスが低下します。

  2. 固定観念の強化：新しいアイデアや視点を取り入れず、既存の方法に固執することで、イノベーションが停滞します。固定観念に囚われると、成長や進歩が阻害されます。

  3. ストレスと燃え尽き症候群：困難な状況や感情を受け入れられず、自己否定やストレスが蓄積しやすくなります。これにより、燃え尽き症候群や精神的な不調が生じるリスクが高まります。

  4. 信頼関係の崩壊：柔軟に対話できないことで、メンバー間の信頼関係が築かれにくくなります。信頼関係が欠如すると、チームの協力やサポートが減少し、全体のパフォーマンスが低下します。

心理的柔軟性を高めるための実践方法

心理的柔軟性を高めるためには、具体的な行動と意識的な取り組みが必要です。以下に、実践的な方法を紹介します。

  1. 自己の価値観を明確にする

    • 価値観カードソート：20～30枚のカードに異なる価値観（例：誠実、成長、協力）を書き、それを重要度に従って並べ替えます。上位の価値観を明確にすることで、行動の指針が見えてきます。

    • 日記を書く：毎日、自分がどんな価値観に基づいて行動したかを記録し、その価値観が自分にとってどれだけ重要かを振り返ります。

  2. マインドフルネスの実践

    • 呼吸法：毎日数分間、深呼吸をする時間を設け、呼吸に集中します。これは、現在に意識を集中させる効果があります。

    • ボディスキャン：横になって目を閉じ、自分の体の各部分に意識を向けることで、現在の体の状態に気づきを持ちます。

  3. 受容の姿勢を養う

    • 受容練習：困難な感情や思考が浮かんできたとき、それを否定せず、「これは今の私の感情だ」と認識します。これを繰り返すことで、感情や思考を自然なものとして受け入れることができます。

    • 感情のラベリング：感情が湧き上がったときに、それを具体的な言葉でラベリングします。例えば、「今、私は不安を感じている」と認識するだけでも、感情を受け入れる手助けになります。

  4. 新しい視点を取り入れる

    • デザイン思考：問題解決に取り組む際、異なる視点からのアイデアを積極的に取り入れます。例えば、ユーザーの視点、技術者の視点、経営者の視点など、多角的な視点で問題を分析します。

    • ロールプレイング：チームメンバーとロールプレイングを行い、他者の立場や視点を理解する練習をします。これにより、柔軟な思考と行動が促進されます。

結論

心理的安全性は、チームや組織の基盤として重要ですが、心理的柔軟性はそれ以上に重要な要素です。心理的柔軟性が高まることで、個人や組織は変化に適応し、長期的な成功を収めやすくなります。マネジメントにおいては、心理的安全性を確保しつつ、心理的柔軟性を高める取り組みを重視することが求められます。具体的な方法として、自己の価値観を明確にし、マインドフルネスを実践し、困難な感情を受容し、新しい視点を取り入れることが重要です。これにより、より強固で柔軟な組織文化が築かれ、持続可能な成長が実現できるのです。

【無料個別相談セッションを実施中！】
弊社専属カウンセラーが、個人もしくは組織の課題感の整理、課題解決に向けた具体的な手法など心理学のアカデミックな知見と、ビジネス現場でのリアルな事例を元にコーチングいたします。
ご興味のある方は、下記のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
https://rapotalk.studio.site/contact

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？