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人事業務を理解する-人事制度編(報酬体系の構築)

さて、人事制度も終盤になってきました。
ここでは、報酬体系の整理から設計までの手順とその重要性について詳しく紹介します。
報酬がすべてではありませんが、従業員が気にするポイントだと思うので、しっかりと設計していく必要があります。
それでは見ていきましょう。

1. 会社業務の棚卸

まず、給与体系の構築においては、会社の業務全体を理解し、各職務の重要性と役割を洗い出すことが必要です。どんな業務がどの程度の難易度や責任の重さであるかを理解しておくことが重要です。

【手順】

  • 業務内容のヒアリング:会社の業務内容を明確に整理し、各職務の特徴や要件を把握するために、各部署にヒアリングをかけてみることをオススメしています。それをすることで、関係構築や納得感の醸成にもつながります。

2. 職務分析の実施

職務分析を通じて、各職務の責任、スキル、難易度などを詳細に評価します。これにより、報酬の公平性を保つための基準が整備されます。

3. 報酬実態調査/分析

現行の報酬体系や業界標準の報酬実態を調査し、市場動向との整合性を確認します。ここで市場との乖離が大きくある場合は、従業員の離職や採用競争力の低下が引き起こされるので注意してリサーチを進めていきましょう。

【手順】

  • 報酬データの収集:現行の報酬体系や業界標準の報酬データを収集し、分析のためのベースとします。各社いろいろな分析レポートを出していますが、下記が参考になります。

【調査レポート】日本企業のトータルリワード調査2023 - Korn Ferry Focus
圧倒的な市場データで人事課題を可視化 (mercer.com)

4. 報酬体系運用方針の決定

報酬体系の運用方針を策定し、給与改定の基本方針や報酬の考え方を定めます。ここはしっかりと経営側とすり合わせをし、明確に方針を持っておくと良いでしょう。ここを曖昧にしてしまうと制度自体が形骸化してしまいます。

【手順】

  • 経営とのディスカッション:色んな観点や中長期的な人件費等から報酬の基本方針や給与改定のプロセス、評価基準などを定めます。

5. 報酬体系の設計

職務分析や報酬実態調査の情報を基に、報酬体系を具体的に設計します。給与の等級や階層、昇給の基準などを決定します。

【手順】

  • 報酬体系の設計:職務の重要度や難易度に基づいて、給与の等級や階層を設計します。等級要件を明確にしてあるはずなので、それに基づいて給与のレンジや昇給額を決定していきましょう。

6. 新報酬体系のシュミレーション/修正

新たな報酬体系を導入する前に、実際の給与にどのような影響を及ぼすかをシュミレーションし、必要に応じて修正します。期待値計算を行い、仮に全社員が最上位評価を取った場合に、許容できる金額かを見てみると良いでしょう。

7. 支給形態・算定式の決定

給与の支給形態や算定式(基本給、賞与、インセンティブなど)を決定し、報酬体系の最終的な形を整えます。

【なぜ重要なのか】

  • タレントの獲得と留任:競争力のある報酬体系は、優れた人材の獲得と留任に寄与します。

  • 業績向上の促進:報酬体系が成果と結びつくことで、従業員のパフォーマンスが向上し、組織の業績も向上します。

報酬体系の構築は、従業員のモチベーションと組織の成功に大きく影響を与える重要な要素です。
公平性、透明性、成果を上手くリンクさせ、報酬体系を設計しましょう。

Actors,Inc
代表 井田
mail:chihiro.ida@actors-inc.com
会社概要 | コンサルティング・アウトソーシングならActors (actors-inc.com)

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