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「システム」という視点(第二期:第8回②)

1.「システム」とは

 特に人の心や人間関係を捉える場合、「秩序(コスモス)」は、カップのように固定的なものではなく、柔軟で動的な「システム」と捉えることができます。「システム」とは「相互に影響しあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体」のことで、「カオス」と同様に、物事の理解に役に立つ発想です。
 
「システム」を理解するためのポイントは、以下の4つです。

①ひとまとまりであること
②他のシステムと影響し合うこと
③全体が意志をもっているかのように動く(働く)こと
④生まれいずれは死んでいくこと

宇宙全体から細胞、形のない私たちの心まで、多くのものをシステムとして捉えることができます。

 「アメーバ」のようなイメージで理解し易くなるはずです。膜や壁を「境界」として内外が区別され、さらにその中にも同様に「境界」のある要素があり、それも含めて「ひとかたまり」として存在し、内外と相互に影響し合いながら、意志(のようなもの)をもっているようにはたらき、いずれ死に絶えます。

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 中に含まれる要素もシステムとして捉えることができ、それを含む環境もまた「ひとかたまり」とすればシステムと捉えることができます。前者を「下位システム」、後者を「上位システム」と呼びます。人の「臓器」をシステムとした場合、「細胞」が下位システム、「人間全体」が上位システムと言えます。

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2.カオスを含むコスモスとしての「システム」

 「カオス」や「コスモス」の発想に関連づければ、「システム」はすべて秩序(コスモス)、その内部や間を為す「スペース」や「流れているもの」は固定的ではなく流動的で「カオス」と捉えることができます。人体や地球環境が好例ですが、「システム」にはカオスを方向づけ循環させる働きがあります。

3.これまでの記述と関連して

 これまでの虐待やいじめ、ハラスメントに関する記述は、システムという言葉こそ用いませんでしたが、この観点からの説明です。「家族」にとって「地域社会」等が上位システムであり、「夫婦」や「母子(父子)」、「きょうだい」等は下位システム、子どもの「脳」や「心」はさらにその下位のものです。

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 また第6回のトピックであった「脳」は臓器であり、間違いなくシステムと言えます。また、「心」もシステムであることは、「交流分析」や「元型」という発想(第3回や第7回)から捉え易くなるはずです。さらに、発達障害や愛着障害、他の精神疾患についても、この視点から多くの示唆が得られます。

4.朝の散歩が世界を救う⁉

 第7回では、「熟年離婚が虐待死に繋がる」あるいは逆に「子どものいない家庭での思いやりが虐待を防ぐ」という旨を書きました。社会、家庭、個人という「システム」の構造や機能を考えれば、荒唐無稽の論理ではないはずです。「朝の散歩」や「ゴミ拾い」でさえその可能性を持つと私は考えています。

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