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#11 雪隠と留学 [第2部 ドイツ編] ep.III 「石畳」

 今までの人生では観光旅行を含めて日本より発展している国、いわゆる「日本より上」の国はお目にかかったことはなかった。

しかし、この、ドイツ。

 技術的にはそれほど差はないようには見えるが、それよりもドイツ人の思想や考え方、生き方が日本のそれを世紀単位で上回っている。当然ドイツが全てにおいて正しい道を歩んできたわけではない。ベルリンに行けば東西分断当時の名残が色濃く残っている。負の遺産を後世に引き継ぎ、戒めとする。その上で今の自分たちはどう生きるべきか、そんなことを教えられている気がした。

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 ドイツにあって日本にない物、技術的には可能なのに日本にはない物、強いて言うなら「プファンド(Pfand)」だろうか。無理やり日本語に訳すと「リサイクル」になるだろう。大きめのスーパーに行くと入り口に入ってすぐの所、カートなどが置いてある辺りに見慣れない穴がある。胸の高さくらいにあり、中にはベルトコンベアが見える。そこに対象のペットボトルや空き瓶などを入れると、そのスーパーで使えるクーポン(割引券)が発行される。投入した本数や種類に応じて金額が変わる。

似たようなシステムがショッピングモールなどのトイレでも適用されている。トイレの入り口に券売機のようなものがあり、料金を投入すると、同様にクーポンが発行され、トイレに入ることができる。このクーポンはトイレの使用料と同額なので、買い物をするのであれば実質無料だ。

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 ホストファミリーと拙いドイツ語で話し、道端のアコーディオンを聴き、世界遺産に遭遇する。この街の調和を作り上げている石畳や中世の街並み、そして人を見れば嫌というほど思い知らされる。

そうか、これがヨーロッパか、日本をもう飛び出したい、石畳で足をくじかないことだけを考えて歩きたい、と。

―― 第2部 ドイツ編・――

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次回予告『雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.I 「晩餐」』

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