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私のこと

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自分のこれまでのことを綴っています
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#思春期

チャーリィは私

チャーリィは私

 高校2年生の頃の話である。『アルジャーノンに花束を』を読み終えた母は私にこう言った。主人公のチャーリィ・ゴードンは私だ、と。私はこの物語を読んだことはなかったが、大方のあらすじは知っていたので母のこの発言に違和感をもった。チャーリィ・ゴードンは生まれつき脳に障害のある男性で、彼は知能を高める実験の被験者となる。実験は成功したようにみえたが、同じく実験をうけたアルジャーノンというねずみは急激な変化

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そっとレモンをおいてくる

そっとレモンをおいてくる

 高校生の頃、現国の時間に梶井基次郎という小説家が書いた『檸檬』という作品を習った。この作品を初めて読んだ時、こんなに面白い物語を書ける人がいるのかと感動したものである。主人公である「私」は、「得体の知れない不安」に終始押さえつけられていた。元気だった頃の「私」は、丸善で色々な商品をみることが好きだったのだが、この頃はどうにも足が遠のいている。好きなことといえば、みすぼらしい裏通りを眺めたり、おは

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傲慢の行方

 学生時代の私は、戦争と環境問題について常に考えているような子供だった。それぞれどうして関心をもつようになったのか。戦争については家の本棚にあった、手塚先生の『アドルフに告ぐ』をこっそり読んだからだった。小学4年生にとっては刺激が強すぎて読んだその日から眠れなくなってしまった。当たり前である。大勢の人が同じ思想に流されていくことの危険性、そして教育というものの恐ろしさについて思い巡らせた。環境問題

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