ひなこ

美味しいものと空想がすき。

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【エッセイ】そっとレモンをおいてくる

 高校生の頃、現国の時間に梶井基次郎という小説家が書いた『檸檬』という作品を習った。この作品を初めて読んだ時、こんなに面白い物語を書ける人がいるのかと感動したものである。主人公である「私」の心は、「えたいの知れない不吉な塊」に終始圧えつけられていた。元気だった頃の「私」は丸善で色々な商品をみることが好きだったのだが、この頃はどうにも足が遠のいている。好きな事といえば、みすぼらしい裏通りを眺めたり、おはじきをなめることぐらいであった。そのように欝屈としている「私」は、偶然通りか

    • 掌編小説 コンビニ天使

       はぁー、裕也は盛大なため息をついた。というのも入社3年目にして手掛けたプロジェクトが特大の失敗に終わったからである。上司や同僚から期待されて臨んだだけあって、裕也は入念な準備と計画を怠らなかった。それなのにー。裕也はぎりっと歯ぎしりするとこんな日は酒でも飲まないとやってられないとばかりにコンビニに寄るとアサヒスーパードライを3本、乾き物を少々、ポテトチップス、冷凍のたこ焼き、ポテトなんかをかごに詰め込むとレジの店員に差し出した。「会計お願いします」「はい」大学生ぐらいの女の

      • 時夫 二 (短編小説)全七回

         予想通りというか、父親が船乗りにのくだりは嘘を書き並べておいたので誰の心にも響かなかったのだろう。クラスメート達からまばらの拍手を受け取った航は、それでも笑いものにされるよりはまだましだと無事着席したのだった。男子の発表が終われば、次は女子である。日葵ちゃんは苗字が町田なので、かなり待たないと発表をきくことができない。航は一仕事終えた人のような心持だった。だからクラスメートたちの発表を、どこか遠くの出来事のように楽しみながらきくことができたのである。中にはきいているこちらが

        • 時夫 一 (短編小説)全七回

          前に一度投稿したのですが再度投稿することにしました。  名前の由来についてか。井上航(わたる)は学校の宿題を前に頭を悩ませていた。今日の国語の時間に宿題がでた。それは自分の名前についての由来を書いてきなさいというものだった。学校の授業ではちょうど名前にまつわる物語を習ったところだった。せっかくだから、自分の名前がどのようにつけられたのかそれぞれ知っておこうと先生は考えたのだ。分からない場合はお父さんお母さんにきいてきてもよいからと。明日の国語の時間に発表してもらうと先生が伝

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        【エッセイ】そっとレモンをおいてくる

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          掌編小説 麻雀酔夢譚

          「きたーみてこれすごくない?」 「やっぱ陽翔がいると調子いいなぁ俺!」 「桜井さんこれで満足ですか?」 「いや、すまんな出来れば4人でと思って君を呼んだんだが」 「俺は運ゲーとことん弱いんですよ!」 「よーしもう半ちゃんやろうぜ!」 「よっしゃ。いいな 次はデカピンにしようぜ」 「聞けよぉ」 「藤堂、桑野あまりいじめてやるな」 「いや俺はほんとにもうここまで。この後予定あるし。これ吸ったら帰る」  陽翔がそう言って煙草をくわえようとしたとき、急に目眩が襲ってくるのを感じた。

          掌編小説 麻雀酔夢譚

          掌編小説 しろくま騒動記

           修学旅行で寄った天文館はむじゃきで食べたしろくまの味が未だに忘れられない。ミルク味のパウダースノーみたいなかき氷に色とりどりの果物やお菓子が添えられた鹿児島名物しろくま。お店の2階に通されて皆でワイワイ言いながら食べた思い出の味。未華子はじゅるりとツバを飲み込むと帰りにコンビニでカップのしろくまを買うことに決めたのだった。  そんな穏やかな午後を過ごしていた未華子たちの預かり知らないところ、遠い遠い北極という地では観測隊の隊員たちがしろくまの親子を仔細に観察していた。母ク

          掌編小説 しろくま騒動記

          掌編小説 ヤンキーとクラシック

          「先生内緒にしとくからこの中で火持ってる子いたら貸してくれない?」 理科の実験中に担当教諭がこういうもんだから俺はんっとライターを差し出した。 「中島くんありがと。でもほんとは持ってちゃダメだからね」 先生は慌ててその場を取り繕うとアルコールランプにそっと火をつけた。  ここは男子校の二階。桜の木の枝が窓に届かんばかりに満開に花を咲かせている。俺、中島篤人は今日は珍しく授業にフルで参加している。昨日の夜おふくろから「頼むから授業をきちんと受けて学校を卒業してくれ」と泣きつか

          掌編小説 ヤンキーとクラシック

          掌編小説 ソルフェージュ

           誰もそれを受け取る者がいなければ詩人がたとえ言葉に思いを込めてもそれは単なる独り言にしかすぎないー。    まるで命を削るような聴音だな、山崎は眼の前の生徒星野智子を見ながらそう思った。星野は山崎の音楽教室に通う高校2年生である。彼女は将来声楽家を目指し東京の音大に進むことを目標としている。背も高く大柄、よく通る声をしている彼女は確かにその素質が十分にあると音楽教師の目から見ても思う。あとはいかに基礎教養を身につけるかである。それがなければ音大進学の道も怪しくなってしまう

          掌編小説 ソルフェージュ

          #Pokekara で『#赤いスイートピー』を歌ってみたよ!聴いてみてね!私のIDは3112102113。再生ページURL:https://u.pokekara.com/mv/1783846638799409152?u_share=u1777920103404339200

          #Pokekara で『#赤いスイートピー』を歌ってみたよ!聴いてみてね!私のIDは3112102113。再生ページURL:https://u.pokekara.com/mv/1783846638799409152?u_share=u1777920103404339200

          掌編小説 春雷

           君を今すぐ迎えに行ければいいのに。写真の中で泣いてるみたいに笑っている君を。ずっと見てきたのだ。  朝8時30分直哉はいつも通りに出社する。ここはとある自動車メーカーの資材部。直哉はここで部品の値段交渉や発注を担当する部署に配属され今年の春で丸3年が経過していた。仕事にもようやく慣れ直哉の下にも後輩がつくようになった。面倒見が良く仕事も出来る直哉は社内での評判も上司の覚えも目出度く、直哉はそんな自分の立ち位置に概ね満足していた。  ただ1つ気がかりなことを除いては。直哉

          掌編小説 春雷

          掌編小説 貧しき人たち

           その画家は何年も何年も悩んでおりました。人生の大半の期間を芸術に捧げてきたものの芸術界における評価は散々で泣かず飛ばず、明日のパンを得るお金にも苦労するような生活を何十年と強いられてきたからでありました。一度でいいから自他共に認められる作品を生前のうちにかきあげたいとここ数年は寝食を忘れるほどにのめり込み、親兄弟に借金してまでなりふり構わずにその道に邁進しておりました。  ある時画家は気晴らしに町へでました。そこで画家はパンを盗み取りする少年を見かけました。店主には気づか

          掌編小説 貧しき人たち

          掌編小説 シンディ姫と7つのエメラルド

           あるところにとても美しいお姫様がいました。名をシンディといいました。シンディは7つの誕生日に東方からやってきた3人の博士にある予言を受けました。 「姫が18の誕生日を迎えられる頃、西の方からある魔物がやってきて姫をお后にと望む動きがあります。大事な姫が危険な目に合わないよう私達は7つのエメラルドを置いていきます。命の危機を感じたときにはこのエメラルドを魔物にかざすのです。きっと姫を守ってくれることでしょう」  国王は博士たちを信じ、シンディをなるべく危険な目に合わせない

          掌編小説 シンディ姫と7つのエメラルド

          折り紙で猫といちごを折ってみた。真ん中のカニパンはセリアで買った。これむにむにして甘い香りがするんだ。猫ちゃんが興味津々。

          折り紙で猫といちごを折ってみた。真ん中のカニパンはセリアで買った。これむにむにして甘い香りがするんだ。猫ちゃんが興味津々。

          日記 サイゼより愛を込めて

           この頃短歌にハマっている。今日詠んだのはこれ。    サイゼで 生まれる恋は ミラノ味 二人の愛は プライスレス  サイゼリヤで喜ぶ男女、特に女の子の方は男から安く見られがちというツイートが前にバズってて「楽しければそんなのいいのに」と思い、そこからこの短歌は生まれた。私ならサイゼ嬉しいけどなぁ。  世の中お金持ってる男女ばかりではないのだからそんなこといちいち批判しなくてもなぁと思う。財布じゃなくて心が貧しいように思える。2人が楽しいならそれでいいじゃない。ね。

          日記 サイゼより愛を込めて

          掌編小説 三拍子に思いを込めて

           近所の小夜子お姉さんはいつもすらっとしたジーンズ姿で美しい黒髪をなびかせて僕の小さな胸をドキドキさせる。彼女はこの春から新社会人だそうだ。  僕は今年から中学1年生。取り立てて可もなく不可もない普通の中学生である。一つ特技があるとすればピアノが弾けることぐらいだろうか。これは母さんが半ば無理矢理習わせた教育の産物である。小学2年のときから始めたからかれこれ5年間は続けていることになる。5年も続けていれば特段才能はなくても何となくは弾けるようになるものである。  週一レッ

          掌編小説 三拍子に思いを込めて

          短歌 野辺の花 我が身を重ね 眺め入る 強くあれよと 思い候 野辺に咲く花に自分を重ね熱心に眺める。強くあってくれよと思ったのである。 昔は薔薇になりたかったけどかなれなかったのでタンポポみたいに強く生きようと思う。

          短歌 野辺の花 我が身を重ね 眺め入る 強くあれよと 思い候 野辺に咲く花に自分を重ね熱心に眺める。強くあってくれよと思ったのである。 昔は薔薇になりたかったけどかなれなかったのでタンポポみたいに強く生きようと思う。