ひなこ

美味しいものと空想がすき。

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【エッセイ】そっとレモンをおいてくる

 高校生の頃、現国の時間に梶井基次郎という小説家が書いた『檸檬』という作品を習った。この作品を初めて読んだ時、こんなに面白い物語を書ける人がいるのかと感動したものである。主人公である「私」の心は、「えたいの知れない不吉な塊」に終始圧えつけられていた。元気だった頃の「私」は丸善で色々な商品をみることが好きだったのだが、この頃はどうにも足が遠のいている。好きな事といえば、みすぼらしい裏通りを眺めたり、おはじきをなめることぐらいであった。そのように欝屈としている「私」は、偶然通りか

    • 掌編小説 恋

      「なぁ女の子にモテるには何したらいいと思う?」 椅子をぎっこんぎっこん鳴らせながら進が問いかけてくる。 「モテる。勉強、運動頑張るとか?」 「俺努力とかそーいう汗臭いの苦手なんだわ」 「バンドを組んでみるとか」 「楽器できないし」 「とりあえず大事なのは清潔感だと思う。男も女も」 「風呂ぐらい毎日入ってる!」  ますます椅子を鳴らしながら進は不機嫌そうに頬を膨らませる。 何も言えん。俺はそんな進は放っといて教科書を纏めると通学バッグに入れた。進は今恋をしているのだ。隣のクラス

      • 掌編小説 ある女の一生

        「あなたと家族とはみな方舟にはいりなさい。あなたがこの時代の人々の中で、わたしの前に正しい人であるとわたしは認めたからである」創世記7 旧約聖書  私は完璧だった。運動も勉強も人より秀で、将来の夢は学者になると固く信じていた。私は最初から大人だった。クラスメートの誰とも話が合わず、大人の読む本を読みたがった。私は私であることに概ね満足していた。ただ一つ気になること以外は。  私が好きになる相手がいつもずっと年の離れた人であること以外は。ある時は50のおじさんを好きになった

        • 掌編小説『機織り娘と川の神様』 

           ある村にとても働き者の娘がおりました。母親が早くに流行り病で亡くなり、男手一つで大事に育てられました。「今までずっと育ててくれたおっとうに恩返しせねば」  娘は朝もはよから川へ洗濯に行き、ごはんを炊き、機織りに勤しむのでした。娘の織物はそれは見事なもので美しい着物となり父親はそれを町に売りに行き親子は仲睦まじく暮らしていました。  それを妬んだのは隣町に住んでいる庄屋の娘でした。「大体機織りのための生糸はどこで手に入れているのだろう。元は貧乏ぐらしの2人だもの。元手がな

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        【エッセイ】そっとレモンをおいてくる

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          個人的にエロいのよみたいという思いで書いているコマドリ。フォロワーさんがエロシーンに尺を取るのは単なる尺伸ばしと言われていてなるほどなぁと思う。ちょっと臭わすぐらいが淫靡かつエロスだと私も思う。

          個人的にエロいのよみたいという思いで書いているコマドリ。フォロワーさんがエロシーンに尺を取るのは単なる尺伸ばしと言われていてなるほどなぁと思う。ちょっと臭わすぐらいが淫靡かつエロスだと私も思う。

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか 六

           朱美が箱根から帰ってきて2週間がたった。正人は土産に温泉まんじゅうを貰ったぐらいで、疑心などはおくびにも出さず普通の日常を心がけるように努めていた。朱美がトイレに立った隙にスマホを覗いてやろうかとも何度も思ったのだが、相手を信じる気持ちがそれを留まらせていたというよりもただ単純に怖かったからである。朱美にそれがバレて何も問題がなかった場合。捨てられるのは確実に自分の方だからである。  思えば朱美に惹かれたのは最初は声であった。その後に優しい性格。料理が上手いところ。セック

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか 六

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか 五

           朱美が旅行を楽しんでいるその頃正人も久方ぶりの一人の時間を謳歌していた。食べたいものをケータリングで好きなだけ取り寄せ、朱美がいると観ることの出来ないホラー映画を存分に楽しみ、あとは惰眠を貪った。それでもやはり朱美が恋しくなると彼女の香りを思い出しながらマスターベーションに勤しむのだった。朱美にはまり込んだのは自分の方で、女郎蜘蛛に羽虫が絡め取られるように彼女のことを思うと体がどうにも切なく底無しの快楽を前に身も心も焼け焦げるようであった。ふと行為に没頭する中で朱美はこうい

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか 五

          掌編小説 麻雀酔夢譚

          「きたーみてこれすごくない?」 「やっぱ陽翔がいると調子いいなぁ俺!」 「桜井さんこれで満足ですか?」 「いや、すまんな出来れば4人でと思って君を呼んだんだが」 「俺は運ゲーとことん弱いんですよ!」 「よーしもう半ちゃんやろうぜ!」 「よっしゃ。いいな 次はデカピンにしようぜ」 「聞けよぉ」 「藤堂、桑野あまりいじめてやるな」 「いや俺はほんとにもうここまで。この後予定あるし。これ吸ったら帰る」  陽翔がそう言って煙草をくわえようとしたとき、急に目眩が襲ってくるのを感じた。

          掌編小説 麻雀酔夢譚

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか 四

           寝室が別けられ四ヶ月たった。正人は当然のことながら別れることも考えたのだが、どうしたことだろう。今や朱美のことをどうしても手放し難く別れをどうしても切り出せずにいたのだった。どうやらあの女のことを本気で、いやそんな生易しいものではなく今や自分の身体の一部のように愛してやまないのだった。古風で男に付き従いながらも自分のペースを絶対に崩さないあの女のことが。正人も男だから体の欲求には抗えないのだが、二人の濃密な交わりを思い出しては一人でこっそり処理をした。  夜の交わりがなく

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか 四

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか 三

           明美と付き合って2年の歳月が流れた。明美はあの日正人に言われた通りキャバクラ勤めを止めず少数ながらも根強いファンを獲得し今では店のNo.3の地位を獲得するまでに上り詰めた。それというのも明美が勤めで貯めた金で目の整形に乗り出したからである。おかげで顔の造作がぱっと見で地味な顔立ちからより男好きのする派手な顔立ちに変化しこれが多くの男達を結果的に喜ばせることになったのである。その目の手術は正人が1週間程出張で自宅を留守にしていた影で秘密裏に行われ最初の二三日明美は「ものもらい

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか 三

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか二

           明美とはすぐにお互いの家を行き来するようになり、告白から3週間後には明美は正人の家に荷物をまとめて引っ越してきた。いわゆる同棲である。明美は料理のうまい女で彼女が初めて台所を借りて作った肉じゃがはそれはもう絶品で正人はなんべんもお替わりしたのだった。食後に明美の淹れてくれたお茶を飲みながら正人はしみじみと幸せを噛み締めたのだった。  明美は顔の作りは地味だが優しいし、料理はうまいし、それに何と言っても床上手なのだ。どこの誰にたらし込まれたのか知らないがミミズ千匹、数の子天

          短編小説 コマドリは二度鳴いたか二

          【短編小説】コマドリは二度鳴いたか一(回数未定)

          前に書いた小説の一部。完成させたいのだけど続きが思いつかない。書き終わりたいのでもう一度あげることにする。  正人はふいに喉の乾きを覚えて目を覚ました。横では恋人が安らかな寝息をたてて眠っている。宮野朱美。付き合って半年になる俺の恋人。起こさないようにそっとベッドから抜け出すと台所に向かった。ミネラルウォーターを口に含むと急に頭が冴えてきたので、ベランダに出て夜風にあたることにした。  朱美とは職場の後輩から誘われたキャバクラで知り合った。ちょうど彼女と別れたところで正人

          【短編小説】コマドリは二度鳴いたか一(回数未定)

          【掌編小説】レモンソースで召し上がれ

           その日、菜奈ちゃんは泣きながら帰ってきた。僕のいるリビングを通らず風のように二階にかけ上がってしまったのでその横顔をチラッと確認しただけだったのだけど、確かに泣いていたように思う。そして自室のドアをガチャリと閉めたままの状態で今現在に至る。あの菜奈ちゃんが泣きながら学校から帰って来るなんて。菜奈ちゃんは本来とてもしっかりした女の子だ。それは彼女のことをずっと側で見守ってきた僕だからこそ胸をはって言い切れる確かなことだった。  僕はいてもたってもいられなくなってしまったのだ

          【掌編小説】レモンソースで召し上がれ

          日記 最近のこと

           作業所に通っている。何の仕事をしてるのかというと野菜をつめたり、部品を組み立てたりしている。いわゆる内職みたいな作業である。あれだけ勉強してトップの成績を収めても病気になってしまえばこんなものである。ほんとは本人が一番悔しいのだ。でも障害があればあったなりに自分にできることをするしかないのだと言い聞かせて作業にあたっている。  グループホームでは週一でお話会というのがあり、色んな話をするのだけど病気があっても結婚している人が外部から来てお話されるので私はどうしても羨ましく

          日記 最近のこと

          掌編小説 私を月まで連れてって 前

          「雅子(みやこ)、数学のノート貸して」 「またぁ!?あんた少しは自分の力で宿題やってきなさいよ」 雅子はしぶしぶノートを差し出す。 「ありがと!あのセンコ宿題ほかすと掃除当番押し付けてくるから。おかげで助かった」 そう言って慎二はノートをパラパラとめくると該当箇所を丸写しする作業に取り掛かった。  岡崎慎司。幼稚園の頃からの腐れ縁である。中学2年生にもなって宿題の一つも自分で完遂してこないなんて。雅子はほぅとため息をつくとバスの時間に遅れないようにと教科書やノートを通学バッ

          掌編小説 私を月まで連れてって 前

          【散文】可愛い心で

          詩をよもうとする心を私は可愛いと思う 自分をいとおしく思う 詩のなかにこめられた思いは私を自由にする 自由を感じると同時に孤独な心を思う  孤独な心をのせて私はそっとうたおう 世界に開かれるために

          【散文】可愛い心で