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『医療制度改革案 最終版』医療費の問題は、国が医療機関を完全国有化すれば解決する


はじめに.

まず、今の医療制度においては、"病院を何処に置くのか?"、また、"病院がどれだけ医療従事者を雇用するか?"について、国は直接関与する事が出来ず、診療報酬を改訂するという間接的な方法によって、医療機関を統制しております。

しかし、私は、イギリスのNHSのように、国が、全医療機関を国営化し、直接医療機関をコントロールすれば良いのではないかと考えております。

ですので、今回のnoteでは、国が医療機関を国有化した場合、"どのようなメリットやデメリットがあるのか?""何故やるべきなのか?"について、まとめ、この改革案を提唱させていただきたいと思います。


1.医療費の削減は喫緊の課題である

医療費削減の取り組み 日本の医療費約42兆円、20年前の43%増

過去に投稿した記事においても、度々言及しておりますが、日本の医療費は右肩上がりで伸び続けており、特に、2025年問題と騒がれているように、2025年には、団塊世代がまとめて75歳に突入するため、さらに医療費が急増する事が、予想されております

そして、当然、医療費の増大は、基本的には、医療保険料から賄われますが、足りない分は、国庫から出しておりますので、国民が払う税金や社会保険料にも、大きな影響を与えるものとなります。


2.医療機関の国有化によって、大幅に医療費を削減出来る

過剰な治療で医療費が増大…日本の高齢者医療が抱える矛盾

直近(2020年)の医療費は、約43兆円という事ですが、過去のnoteでも取り上げた通り、この中には、純粋な医療費の他に、診療報酬によって間接統治する上で、生じてしまっている無駄な経費というものが存在します。

その一例として、医療機関が、診療報酬を荒稼ぎするため、大した症状でもないのに、患者を長期間入院させる"社会的入院"が挙げられるでしょう。

しかし、私が提唱するように、国が、直接全ての医療機関を管理し、運営する事で、そういった"社会的入院"等も無くなり、診療報酬で間接統治している現在に生じているコストを削減出来る事は、明らかであると思います。


3.医療従事者の待遇の問題も解決する

医療従事者の賃上げを 全医労地区協議会、松本などで訴え

現在、政府主導による賃上げ要請によって、各業界が賃上げに奮闘しております。

しかし、医療機関については、現状でも、診療報酬制度によって、医療の価格決定権を完全に政府に掌握されているため、自らの意思でサービスの値段を上げる事が出来ず、給与の低さについて、大きな不満を持っている医療従事者の方々が数多く存在いたします。

この点について、最も被害を受けているのは、公的病院とその医療従事者達でしょう。

所謂、開業医と呼ばれるような小さな民間の医療機関は、平均年収が高かったり、ゆとりのある勤務を行えたりします。

その一方、公的医療機関は、長時間労働が強要されるような過酷な労働環境の上、給与も少ない事で有名です。


医療機関の国有化で医療従事者の待遇は大幅に改善する!!

前述のように、現状の診療報酬制度の下では、民間の医療機関と公的医療機関の間では、医療従事者の待遇の点で大きな格差が存在します。

ですが、全医療機関の国有化が実現すれば、そういった格差を完全に解消する事が出来ます

その根拠としては、単純に、診療報酬制度によって生じている不均衡が解消されると言うものに加え、国内あるいは自治体内の病院の総数をコントロールする事が出来る事によって、病院の絶対数を制限出来るので、病院一個当たりの売上が高まると言う点も挙げられます。


4.当改革案のメリットとデメリット

改革のメリット

まず、医療費の抑制が図れますので、国民の将来的な税金や社会保険料の負担を軽減する事が出来ます。

そして、前述の通り、医療従事者の待遇は大幅に向上する事が見込まれます。


改革のデメリット

一方、デメリットとしては、まずは、国民の通院の便が低下する事が考えられます。

やはり、医療機関の国有化を行えば、単純に考えれば、"一つの自治体に何個まで"という制限が加わると思いますので、今のように、何処にでも医療機関があるという状況は、変わってしまうと思われます。


次に、医療従事者の求人の減少が考えられます。

当然、"一つの自治体に何個まで"という制限が行われてしまえば、余った医療従事者は失業してしまう事になるでしょう。


5.実際には、どのような制度運用となるか?

まず、あくまでも、"医療機関の国有化"というのは、改革の全体イメージ像であり、文字通りに全ての病院を国有化する訳ではありません。

ですので、実際には、既存の病院に、かなり強力な規制を掛ける代わり、足りない経営資金については、租税か社会保険料を財源として、補填をしっかり行うというものになるでしょう。

具体的に、病院の新規開業について、許可制を導入する事は必須で、その上で、病院経営の様々な指針については、個別具体的に、国が、指示出来るように、法的拘束力のあるマニュアルを作るというが、現実的だと思います。


本制度によって、あらかじめ、予算に上限を設定する事も出来る

今後、国の財政が更に逼迫した状態となる事が予想されますので、いずれは、医療に対する予算(支出)の上限を設定することも必要となってくると思います。

その場合においても、本制度に転換する事により、予算の上限をあらかじめ設定するという事が可能となります。

具体的には、"1日当たりの診療は何回まで"というように、予算を元に算出されたキャパシティを設定するというものです。

そして、そのキャパシティ以上の需要があった場合、そのキャパシティを越えた分については、基本的には、全額自己負担で、医療を受けてもらうという形になると思います。

勿論、予算に余裕があるのであれば、高額医療については、しっかりと費用が国が負担したり、その他のセーフティネットを設ける事は、必須であると思います。


当然、ハイパーインフレや預金封鎖等が起こるような事態は、想像したくもないというのが正直な感想ではございますが、そういった未曾有の危機のリスクが、年々高まっている事は間違いありません。

ですので、そういった状況下においても、少しでも、安定的な医療を提供できる体制を整る必要性は、十分に高いと思っております。


あとがき.

やはり、今の医療施設や介護施設と言うのは、ほぼ税金で運営されていると言っても過言ではないのにもかかわらず、開業し放題、業務内容も自由に決め放題、何でもやりたい放題の現行制度では、いくら税金を投入しても切りが無く、最良の結果は得られないと思っております。

なので、社会保険という形で、一円でも税金を投入するのであれば、それ相応の強い規制や統制を、直接的に行えるべきであると思います。


また、医療制度を考える上で、最も重要な事は、如何に、国民全員が、今まで通り、安価で、高品質な医療を受ける事が出来て、それが1年でも長く維持できるような持続可能性の高いものであるかという点だと思っております。

なので、それを踏まえると、診療報酬による間接統治というのは、生じるコストや労力の非効率性を考えれば、私の提唱する全医療機関の国有化の方に、軍配が上がるのではないでしょうか。


また、実際に、石破茂衆議院議員も、"日本の医者は、ほとんど税金によって、教育が施されているから、医療機関の国有化も考えなければならない"という趣旨の発言をしておりますが、私も、その点については、同意見を持っています。

加えて、今後、地方の更なる衰退が予想されますので、現状の自由開業制では、収益性等を考えれば、まず、成り立たないのではないかと思っております。


以上より、医療費抑制のための、医療制度改革案として、『全医療機関の完全国有化』が、最良の選択肢であると、結論付けさせていただきます。


参考文献.

・政府はどこまで医療に介入すべきか: イギリス医療・介護政策と公私ミックスの展望

・イギリスの医療制度改革


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