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企業の大企業化に対抗する政策はどう打つべきか?

まず、企業というのは、放っておけば、競合を次々と潰して行ったり、優良な事業を買収したりして、肥大化していってしまいます。

そして、最終的には、戦前における財閥のように、誰も手出しが出来ないようなコンツェルンが誕生してしまうでしょう。

そうなってしまえば、新規参入が行われなくなったり、そのコンツェルンが牛耳る業界においては、完全に経済が停滞する事になります

ですから、本記事においては、そういったコンツェルンが生じてしまった場合において、どのような政策を用いて、その状態を解消するべきかについて、論じていこうと思います。


1.Microsoftはその成長の過程で競合他社を尽く潰してきた

まず、Microsoftというのは、その成長の過程で、様々な競合他社を蹴落とし、廃業に追い込んできたという歴史を持ちます。

例えば、webブラウザで有名なnetscape社がその一例と言えるでしょう。

更に、そういった事を行ってきたのは、何もMicrosoftに限った話では無く、Google等の他の大企業も、現在のサービスの内容を見るに、同様の事を行ってきたと予想されます。


そして、そういった事情背景を踏まえ、保有する特許や資本の差等を考えれば、ベンチャー企業などが、そういった大企業が牛耳っている分野に参入する事はほぼ不可能であると考える事が出来ます。


2.GHQによる財閥の解体

GHQは、日本を民主化するために、「財閥解体」「農地改革」「労働改革」の三大改革を行いました。

ようは、日本国民一人一人を豊かにし、教養を身に着けさせる事によって、"アメリカに戦争を挑もう"なんて、馬鹿な真似を金輪際起こさせないようにしようた訳です。

実際、その目論見は成功し、現代においては、情報も発達している事から、日本がアメリカに戦争で勝つ事は、ほぼ100%不可能であると、日本国民は自覚出来ております。


そして、本題の「財閥解体」の話に移りますが、GHQの指揮の下、日本は、過度経済力集中排除法という法律を制定し、次のような措置を取りました。

その結果、三二五社ほど指定していろいろと再編成計画などを考えさせたうえで、結果的には一八社だけについて分割などの措置が実行されました。
代表的な例は日本製鐵が八幡・富士に分割され、三菱重工業が地域的に東・中・西の三重工に分割され、王子製紙も分割されました。
それから東芝は分割の対象になりましたが、工場などをいくつかの子会社に分離してすませました。
こうして一一社が企業を分割し、そのほかが工場や施設の処分や保有株式の処分によって経済力が集中している状態を排除していくことになります。

財閥の時代 (角川ソフィア文庫)

そして、GHQによって目を付けられていた、三井物産三菱商事の2社は、同法律に依らず、GHQの指令によって、直々に解体される事となりました。

あの巨大な製鉄会社であった日本製鐵ですら2つ、三菱重工業で3つという程度だったのに、物産や商事は部長クラス以上の人が2人以上集まって新会社を作ってはいけないというところまで細かく規定され、三井物産は220社、三菱商事は130社に分割され、合計約350社に解体されました。

財閥の時代 (角川ソフィア文庫)


3.財閥の解体によって、戦後の日本の好景気がもたらされた可能性がある

2章で述べた通り、戦前の財閥というのは、三井物産三菱商事の2社に限っては、それぞれ、220社や130社もの企業が合併した非常に大きな企業であったという事です。

ですから、私は、"財閥の解体が、戦後の企業間の競争を加速させ、戦後の好景気に大きな影響を与えたのではないか"と思っております。


まとめ.

財閥の解体については、当時解体対象となった企業グループが、今現在においても、普通にグループ企業として存在している事から、あまり意味が無かったとする意見もあります。

しかし、私は、100社~200社を合併したような大企業が、戦後のスタート時点で、そのまま存続していたら、日本の未来は確実に異なっていただろうと思っております。


そして、現代の話に移りますが、一般的に、現在の日本産業の内、どの業界においても、必ず大手三社がシェアを牛耳っているとされております。

それ故、どの業界においても、新規参入が起こりにくい状況にあるとは言えますが、まだ競合の存在があるため、独占による業界の停滞が起こっているとは、言い切れません。

ですが、仮に、その競合が潰れたりしてしまった場合等は、政府が対応する必要が生じると思います。

また、政策的な判断により、ある一部の業界を活性化したい場合は、業界の成長を加速させるため、施策を打つ必要が生じるでしょう。

そこで、GHQが行ったような"分社化の促進"、あるいは"強制力の伴った分社化"という手段は、有効な一手になり得ると言う事が出来ると思います。


参考文献.

・ビル・ゲイツ: 巨大ソフトウェア帝国を築いた男

・財閥の時代 (角川ソフィア文庫)


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