【Vol.12】野口シカの手紙
今回は、ある手紙をご紹介したいと思います。
私が小学校3年生の時に密かに想いを寄せていた女の子からこっそり渡された「缶ペンケースは静かに閉めてください」という手紙ではありません。
20年近く前に出会って、私のマーケティングに関する考え方を180度変えた手紙です。
この出会いがなければ、今の仕事を続けてなかったかもしれません。
それが、黄熱病の研究で有名な《野口英世》のお母さんである【野口シカ】さんの手紙です。
マーケティングの世界で今なお、
《文章を書く上でテクニックよりも大事なこと》
の事例として取り上げられるこの手紙。
いったいどんな内容なのでしょうか。
■野口英世について
まずはこの手紙の背景についてお話しします。
2024年7月までの千円紙幣でお馴染みの野口英世。
赤ん坊の頃に囲炉裏に落ちて左手に大ヤケドを負ったにも関わらず、後に細菌学者として世界的な名声を得たことは、伝記などでご存知の方も多いと思います。
その事故を自分の不注意のせいだと感じた母シカは、昼夜問わず懸命に働き、貧乏な家庭ながら英世を立派に育て上げました。
過酷な労働だったにも関わらず、シカが弱音を吐くことは一切なかったと言われます。
やがてアメリカのロックフェラー研究所に招かれた英世は、蛇毒や梅毒、黄熱病の研究に打ち込みます。
そして日本を離れて十数年経った頃。
日本に残してきた母「シカ」から一通の手紙が届きました。
元々字の読み書きができなかったがシカが、息子がいない寂しさに耐え切れなくなって懸命に書いたと言われる手紙・・・。
それが【野口シカの手紙】(1912年)です。
詳しい訳文は後で載せます。
まずは原文のまま読んでみてください。
(※部分は注釈)
■野口シカの手紙
■意訳
お前の出世には、みんな驚きました。
私も喜んでいます。
中田の観音様に毎年一晩中籠もってお祈りしました。
勉強はいくらしても、きりがありません。
烏帽子(近所の地名)の人から、お金の督促をされて困っていますが、
お前が帰ってきたら、申し訳ができるでしょう。
春になると、みな北海道に行ってしまい、
私も心細くなります。
どうか早く帰ってきてください。
(お前に)お金をもらった事は、誰にも言いません。
それを聞かせると、みんな飲まれてしまいます。
早く来て下さい。
早く来て下さい。
早く来て下さい。
早く来て下さい。
一生の頼みです。
西を向いては拝み、東を向いては拝んでいます。
北を向いては拝んでいます。
南を向いては拝んでいます。
一日(ついたち)には塩断ち(注:神仏への祈願や病気治療のため、ある期間塩けのある物を食べないこと)をしています。
栄昌様(隣家の修験者)に一日(ついたち)に拝んでもらっています。
何を忘れてもこれは忘れません。
写真を見ると抱いています。
早く来てください。
いつ帰るか教えて下さい。
この返事を待っています。
寝ても眠れません。
■野口シカの手紙に教えられたこと
何度読んでもグッと来ます…。
意味が分かった上で改めて実際の手紙を見ると、そこから伝わる想いの迫力に圧倒されます。
字がほとんど書けないため、ミミズの這ったような字です。
日本語としておかしい箇所もたくさんあります。
でも
【なんとしても伝えたい想い】
があれば、100年後の私たちの心にまで届く。
20年ほど前、●●マーケティング、▲▲の法則、★★万円売上アップした成功実例といったテクニック論に凝っていた私は、この手紙を見て【人の想いに勝るテクニックは無いんだ】と衝撃を受けました。
もちろん、テクニックはあった方が便利です。
これは間違いありません。
でもこうしたテクニックがいくら束になっても敵わないのが、「私は誰に何を伝えたいのか?」という《想いの強さ》だと気付かされたのです。
最新のマーケティングやSNSの活用も大事です。
でもその前に、まずは皆さんの内側から溢れ出る想いをカタチにしてみることが先決。
「いや…うちにはこんなアツい想いはないから…」
と言われる工務店さんも多いのですが、そんなことはありません。
気づいていないだけで、どんな工務店さんにもお客様に伝えるべき【想い】はあります。
そして、それをアブリダスのが弊社の仕事です。
何を伝えればいいのか分からない…という方は
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★今日のまとめ
アツい想いはテクニックを蹴散らす。
あと、よく調べると野口英世はなかなかクセが強い(笑
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