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ファンクに、哀愁に

「カリフォルニアはいろんな事を象徴する。美しい要素も醜い要素もある。     
パワー、エネルギーもあるし、たくさんのアーティストを生み出している。だから自分たちの活動を表現するにもいい言葉だと思ったんだ」

アルバム「カリフォルニケイション」  ライナーノーツより

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下レッチリ)のヴォーカル、アンソニー・キーディスの「カリフォルニケイション」という言葉の意味をインタヴューされた時の引用だ。

「カリフォルニケイション」という言葉はバンドの造語であるらしい。

1999年に発売された「カリフォルニケイション」はレッチリのバンド史上、商業的にも最も成功を収めたアルバムである。

今でも時々聴き返している、お気に入りのアルバムだ。

買った当初(2000年)は、レッチリの事をあまり知らず、名前のイメージからしてバリバリのハードな曲ばっかのバンドなのかなと、変な先入観を持って聴いたもんだから多少面食らった記憶がある。

だが、まあ聴けば聴くほどにハマってしまって、それ以来レッチリが大好きになった。

ファンクにグルービーに、だがメロウで泣きの美メロも聴かせてくれる。

そんな稀有な名作だ。

色々なエモーショナルな面も包括した「カリフォルニケイション」は、正しく冒頭で紹介したアンソニーの言葉通りのアルバムなのだと思う。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ。


左からべ-スのフリー、ヴォーカルのアンソニー・キーディス、
ギターのジョン・フルシアンテ、ドラムのチャド・スミス

1983年にバンド結成する。

当初はアンソニーとフリー、ギターにヒレル・スロヴァク、ドラマーのジャック・アイアンズというラインナップだった。

バンドはメンバーが参加したりしなかったりという時期もあったが、1987年にアルバム「ジ・アップリフト・モフォ・パーティー・プラン」をリリースした時に結成当時のメンバーで制作される。

1988年にギタリストのヒレルが薬物中毒で亡くなってしまい、ドラマーのジャックも脱退してしまう。

1989年に新メンバーでジョン・フルシアンテとドラムのチャド・スミスがバンドの加入する。

以後バンドメンバーはジョンが脱退したり、他のギタリストが加入したりしてラインナップが変わったりしているが、基本アンソニー、フリー、チャドの3人はずっとバンドにいる。

そして2023年現在はバンドメンバーはアンソニー、フリー、チャド、ジョンの4人で活動をしている。

ちなみにこの2023年にレッチリは来日公演をしている。

東京ドームと大阪城ホールだったかな。

2019年のサマソニで見て以来なんで、是非とも単独の公演を見てみたい!!っと意気込んでチケット申し込みをしてみたものの…

あえなく落選…。

何回落選したっけ(笑)

さすがに世界最強バンドの名は伊達じゃないなと、チケットを取れなかった悔しさを無理やり納得させていた。

そんな自分の話はさておいて…。

レッチリは1991年に「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」という傑作アルバムを発表する。


タメの効いたグルーブを聴かせ、時にハードに、時にメロウに曲を聴かせ、切れ味良く、かつ抑揚を効かせたアンソニーのヴォーカルも冴えわたり、ジョンのギターとフリーのベースの絡まり方が心地良い。

この先のレッチリサウンドの核になるフリー、チャド、ジョンの最初の極みの形ともいえるのかな。

アルバムからはバンドの代表曲になるラップとファンキーなメロディが印象的な「ギブ・イット・アウェイ」、「サック・マイ・キッス」、名バラード「アンダー・ザ・ブリッジ」などが収録されている。

特に1曲目に収録されている「パワー・オブ・イコーリティ」の「スイング…!」とアンソニーの掛け声から始まる出だしからして好きな曲だ。

「パワー・オブ・イコーリティ」のライブの動画。本当に最高です。

「ギブ・イット・アウェイ」のプロモ。アンソニーの「ガチガチ…」の歌詞が最初凄く印象に残っていた記憶がある(笑)。

さて、バンドはそのまま順風満帆とはいかず、アルバムの功労者ともいえるジョンが薬物中毒の影響で脱退。

新たにギタリストにデイヴ・ナヴァロを迎え新体制をスタートさせたが、アルバム1枚をリリース(1995年)したが、1997年にデイヴは脱退してしまう。

さらにアンソニーが再びドラッグに手を染めたり、バイク事故で骨折したり(1997年のフジロックで右手にギブスをして、大嵐の中でのライブは伝説)と、中々に浮き沈みのあった頃でもあった。

そんな中、ジョンがフリーの誘いを受けて再びレッチリに復帰する。

やはりレッチリのサウンドにはジョンのギターが必要不可欠だったということか。

エモーショナルに、切れ味の良い、鳴きの効いたギター…。

そして1999年、名作アルバム「カリフォルニケイション」は名プロデューサー、リック・ルービンのもと発表される。


「カリフォルニケイション」 ジャケット



アルバム内ジャケット 再び集いし4人の絆のようなもの感じる印象深いジャケ。


カリフォルニアで産声をあげ、バンドのルーツともなっているカリフォルニア。

その名を用いた造語をアルバムジャケットにする事は何となくではあるが、再びアンソニー、フリー、ジョン、チャドの4人でバンドをやることに対する覚悟みたいなものさえ感じる。

ちなみに調べた所、カリフォルニアは地中海性気候に属しているそう。

乾燥した暖かな夏と雨の多い温暖な冬が特徴だそうです。

言った事ないから分からないですが…。💦

観光シーズンで旅行者が多いのが6~8月の夏だそう。

ジャケットの海とプールサイド、そしてプールの水の色が夕日の空色になっているのが、何となくではあるがカリフォルニアの夏の1日の特徴みたいなものを表しているんじゃなかろうか。

そしてこのジャケット通りに青空の「明るい」部分と、黄昏時の「哀愁」のような部分を携え楽曲は構成されている。

そういえばロサンゼルスもカリフォルニア州。

話題が飛んでしまうが、エンゼルスはロサンゼルスが本拠地の球団。

その気候に大谷選手も気に入ってるとか。

だとしたら、同じロサンゼルスに本拠地を置く名門球団「ドジャース」に移籍するって話、あながち一番信憑性があるかも。

何よりもプレーオフの常連だし…

移籍か、残留か…

気になるところですよね~。

話を戻して「カリフォルニケイション」。

1.アラウンド・ザ・ワールド

バリバリに音圧の激しいフリーのベースと、ジョンの速弾きするギターが絡み合いアンソニーの叫び声で始まる印象的なオープニングナンバー。

ギターの小気味良いリフとベースラインがアンソニーのラップを引き立てていて、PVと同様についつい体を動かしたくなるファンキーなナンバー。

やはりこのロック的なファンクネスを感じさたらレッチリは当代一なんじゃいかと勝手に思っている。

っにしてもPVの印象って強烈ですよね(笑)

2.パラレル・ユニヴァース

ジョンとフリーが小刻みに音を鳴らし、リズムを作っていき、チャドのスネアの丁寧な音との間を取り持つ感じや、サビの盛り上がりとか最高ですよね!

「俺はカリフォルニア・キングだ」っと歌うアンソニーのヴォーカルも盛り上がって良い感じです。

カリフォルニア・キング…

何かカリフォルニアに対するバンドの敬意というか…

意味深ですよね。

3.スカー・ティッシュ

1.2曲目とは変わってギターの憂いを帯びた調べで始まる印象的なナンバー。

ちなみにこの「スカー・ティッシュ」という言葉はアンソニー・キーディスの自伝のタイトルにもなっている。

そしてスカー・ティッシュは、アンソニーがヘロイン注射をくり返して出来た傷跡の事とも言われる。

哀愁を漂わすメロウなナンバーは、意味の深いナンバーでもあるのかな。

アンソニーの軽やかに韻をような踏む歌い方が好きな、お気に入りのナンバーだ。

4.アザーサイド

どれだけ、自分はどれだけ滑るのか?

そんな感じで始まる曲は3.の流れを受けた秀逸なナンバー。

最初聴き始めた時に一番好きな曲になった。

曲の途中でリズム感が少し変わり、言葉を畳み込むようにして歌うアンソニーの歌い方や、リズム隊の少し原始的なリズム感が癖になる箇所でもある。

そしてサビの部分でのジョンのコーラスも沁みる…。

6.ゲット・オン・トップ

7.カリフォルニケイション

表題になっている「カリフォルニケイション」。

ジャケットにある黄昏時の黄金色の空模様が似合いそうなメロウなナンバー。

ジョンのギターの音色も憂いを帯びたマイナーな感じで、ひどく心をくすぐってくる。

しかし、PVはコンピューター・ゲーム内でバンド・メンバーが右往左往している様が主に描かれている。

冒頭で紹介した「カリフォルニケイション」のアンソニーならではの注釈。

何となく澄み切った青空のような時や、コンピューターの中での非現実的な部分や、あくせくしているような色々な部分が詰まった「カリフォルニケイション」と、バンド活動を示唆しているような、レッチリの代表的な曲だ。

7.イージリー

6.とは打って変わって軽快なナンバー。

「簡単に…」っというメッセージ性。

どこか粘っこさも感じさせる曲で、アンソニーの声も「EASIRY…」の部分の歌いまわしが印象に残る。

途中のジョンのギターソロも、西海岸の沈みゆく太陽をイメージしたような雰囲気(!)を連想させる。

8.ポースリン

9.イミット・レマス

10.アイ・ライク・ダート

11.ディス・ヴェルベット・グローブ

12.セイヴァー

13.パープル・ステイン

アルバム後半に収録される調ファンキーなナンバー。

やっぱりこういう曲をプレイしているレッチリはとんでもなくカッコイイ。

ギターとベースの独特なタメと、アンソニーのリズム感と淡々と歌う感じのラップや、チャドの曲全体にある、独特のリズム感を支えるドラミングなど秀逸なナンバーだと思う。

15.ライト・オン・タイム

14.からの流れが後半の盛り上がりのヤマ場を作っている気がする大好きなナンバー。

動画だと冒頭にクラッシュの「ロンドン・コーリング」をプレイしているんですよね。

ライブ動画など見ているとよくジャムったりして曲に突入していくスタイルが多いレッチリ。

やっぱり、また生でライブが見たみたい(笑)

16.ロード・トリッピン

アルバムラストを飾るドラム抜きの、アコギのアルペジオの調べが印象的な落ち着いた余韻のあるナンバー。

アンソニーの声もトーンを落とし、曲調に合わせていていい感じだ。

PVの雰囲気もあり、ファンクなナンバーや、剛柔織り交ぜたアルバムの曲達を、上手く締めくくっている気がする。

ちなみに、「ロード・トリッピン」とは車での長旅の事を指すらしい。

 「カリフォルニケイション」という長旅を締めくくるには打ってつけの曲という事か。

っといた感じで好きなアルバムレッチリの「カリフォルニケイション」を振り返ってみました。

今聴いてみても素晴らしいと思うし、強さと弱さみたいなものを上手く示したのかなと感じる次第。

そのメロウ、哀愁という部分では秋のもの悲しい部分にも通ずるのかなと思ってしまう。

アルバムのジャケットのように、明るく、だが黄昏時も忘れないような…。

好きなアルバムだ。

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