『人間の建設』No.36 人間の生きかた №4〈数学者と小説〉
おもしろいお話です。まず、「数学が壁に当たって、どうにも行き詰まる」と岡さんが言います。岡さんでも行き詰まることがあったんだということですね。
つぎに、そんなときに「好きな小説を読むのです」と岡さんが言います。へー、ドストエフスキーの『白痴』なんかを読むんだ、と今までの話の流れでそう思います。
小林さんも、岡さんが数学で行き詰まると言う話を聞いて意外な感じがしたようですね。
岡さんの次の言葉もおもしろい「行き詰まるから発見するのです」。そうか、とことん考えてそれ以上進まなくなったら、一旦そのことから離れて別のことをする。と、奇跡が起こる!
これは、無意識の領域では「そのこと」が継続している、ということかもしれません。日中の出来事や思考のカオス的な蓄積を、眠っているうちに脳が整理する過程が「夢」というものだという話を聞いたことがあります。
次に小林さんが、数学と物理学の発達の相関について質問します。岡さんは一応「そうですね」と返事します。でも、これは生返事のような格好で、数学上の発見について言い足りなかったことを補います。
西洋人の発想では「自我の努力」によらなければ「知力」は働かないのに、数学上の発見はそうでないと不思議がっているポアンカレのことば。岡さんからすれば、不思議でも何でもないというわけです。
‐―つづく――
※mitsuki sora さんの画像をお借りしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。記事が気に入っていただけましたら、「スキ」を押してくだされば幸いです。