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経営者は、如何にして矛盾を止揚するのか?

さて、ドイツの哲学者ヘーゲルが唱えた「矛盾の止揚」とは、互いに対立するかに見える両者に対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合することで、より高い次元の答えを導き出すことです。

そして、矛盾は、会社の至るところで認められます。

つまり、経営は「矛盾の止揚」の連続であり、経営者には、常日頃から
「矛盾の止揚」が求められている、と言えます。

残念ながら、この「矛盾の止揚」には、安易な近道はありません。

対立する矛盾に対して向き合い、より高い次元の答えを導き出すには、ひたすら考え、独自の「答え」を見出すしかありません。

そして、その「答え」を見出すためには、ブレない考え、いわば、「思考の軸」が必要となります。

経営の場面で、その「思考の軸」を築くのを手助けしてくれるのが経営学です。

ところが、よく「経営学は使えない」という言葉を聞きます。確かに、経営学は答えを提示してくれるものではありません。

あくまでも「思考の軸」として、考え方を示してくれるに過ぎません。

そして、経営学は領域も幅広いため、体系的に学ぶための時間も要します。よって、毎日が忙しい経営者にとって、そのような経営学に頼るのは、非現実的であると感じます。

では、忙しい経営者は、どのようにして、日常的に「矛盾の止揚」をしていくのか?

そのやり方が「対話」です。

つまり、一人で考えるのではなく、社員や幹部との「対話」により、「矛盾の止揚」を実現するのです。

中世の哲学者であるプラトンの著作の大半は、対話篇の形式を取り、一つの主張に疑問を投げかけながら問答することで、より妥当な真理に近づく姿勢を取りました。

このプラトンの対話篇を現代の経営で表現するなら、経営の神様と呼ばれた松下幸之助の「衆知を集めた全員経営」と言えるのではないでしょうか。

「一人で悩み、考え抜く」のも、一つのやり方です。
「社員と一緒に考え、対話を通じて答えを出す」のも、一つのやり方です。

あなたは、どちらのやり方で、「矛盾の止揚」をしていきますか?


そして、番外編が「コンサルタントと対話する」というやり方。ここで重要となるのが、やはり「対話」というキーワード。

一般的には、コンサルタントは、「正解」を教えてくれる専門家と考えられるかもしれません。

たしかに、コンサルタントは、一方的にレクチャー・ティーチングされる方が多いのが実情だと思います。

しかし、これからのコンサルタントは、クライアントと教える側、教わる側の上下の関係ではなく、他社の事例を提示しながら、クライアントの経営者と一緒に「答え」の導き出す、対等なパートナーという立ち位置が必要と考えています。

昨今の時代の変化が激しい環境では、絶対の「正解」はありません。

確かに、過去の事例で解決できることも多々あるでしょう。でも、会社が変われば、経営資源も異なります。その結果、全く同じ方法が再現できる可能性は低いと考えるのが自然です。

必ず、会社毎にできる・できない、があるハズ。「ウチの会社なら、これならできる」という「答え」を導き出さない限り、過去の方法論は絵に描いた餅です。

特に、人事制度は、社内でノウハウが蓄積しない分野です。ですので、ご自身で一人で悩んでも「答え」を出すのは困難です。また、社員と対話することでも「答え」を導き出すのは難しいです。

社内での人事制度構築を検討される経営者もいらっしゃいますが、この辺りを留意して頂き、是非、人事制度構築時の「矛盾を止揚する」方法として、番外編の「コンサルタントと対話する」をご検討下さい。

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