小さな生態系,種を蒔く - [生景-2024](-6/2)
某日、青山。
華やかな表通りから入った小さな建物に、その小さなギャラリーはあった。
生態系を思わせるインスタレーション
扉を開けると、
そこに広がっていたのは、こんな「世界」。
作家さんの一人が在廊していて、話を聞くことができた。
世界そのものが一つの作品
かぎ針編み、針金造形、陶芸。3人の作家たちが、1つの世界を造り上げる。ラフスケッチもお見せいただいた。
すべて人工物であるのに、生命に満ちた空間だ。
深い森の中にいるような気分になってくる。
ツキノミ草
創作された植物たちは、この空間そのものからエネルギーを得ているかのように、生き生きとしている。
展覧会は「出逢いの場」
空間として完璧なので、言葉が出てこなくなってしまっていた。
こうした展覧会、個展は、作家にとって、作品発表の場であり販売の場でもある。個展では売却済を示すシールが作品近くに貼られていることもある。でも、ここまで完璧な空間があると、その中の一要素を購入して別の環境(自宅)に移してしまうのは、果たしていいことなのかとも思えてくる。
作家としてそのあたりはどうなのだろう? 好奇心から伺うと、「気に入った作品を、この世界から切り離して購入いただくのは、もちろん構わない」という答えだった。ただ、「積極的にここで売りたいとは思わない。作家の意見はそれぞれ違うと思うが、自分はプライスリストそのものも作っていない」と。
その方曰く、「展覧会とは発表の場であり、出逢いの場」。ここから、訪れてくれる人との関係が始まる。観ていただければよいと。
作品から言葉にならない何かを感じ、それを自分のなかに含んで持ち帰り、あるときふと、同じ作家の名前をどこかで見つけて関係性が蘇る。
展覧会を鑑賞するというのは、その種蒔きのようなものなのだろう。
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