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シアスター・ゲイツ展 -01 何によって揺さぶられているのか
シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝 2024.4.24(水)~ 9.1(日)
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民藝、は関連本を数冊読んだことがあるだけで(理解はしていないと思う)まったく詳しくもないし興味も……と思いながら、シアスター・ゲイツ展にすっかり嵌った。
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封切翌日の4/25にはアーティストトークにも参加し、作家本人から作品について伺う機会も得た(ゲイツさんはとてもパワフルかつチャーミング)。
すでに5回は鑑賞し、作品世界と展覧会の構成に、ぐいぐい惹きこまれている。写真もたくさん撮ったのだけど、何をどう書き残しておくべきかが、なかなかまとまらなかった。
シンプルに、写真を多めに、記録しておきたいと思う。
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アフロ民藝って?
まず、耳慣れない「アフロ民藝」とは。
展示を観ればなにか(つながりを)感じる、それでいいと個人的には思うのだけど、言葉にするとこうなるようだ。
「アフロ民藝」は、シアスター・ゲイツがハイブリッドな文化の未来構想として描く、黒人の美学と日本の工芸の哲学を融合させた新たな美学のマニフェストです。ゲイツが長年にわたり築いてきた日本、中国、韓国の陶磁器の歴史との関係をたどりながら、日本の民藝運動と米国の「ブラック・イズ・ビューティフル」運動という2つの重要な運動を反映する、芸術的で知的な試みです。両運動は、ともに文化的な独自性が、近代化と欧米化という外的かつ支配的な圧力によって脅かされていた時代に、大衆への訴求、学術的な討論やプロパガンダを手段として活発になりました。
ゲイツは「アフロ民藝」について「フィクションであると同時に真理でもある」と言います。これまでの活動の集大成として、ゲイツのアートに大きな影響を与えた民藝運動を生んだ日本で本展を開催することは、文化がその国で、世界で、そして文化間で醸成されていく過程へのオマージュであり、証でもあります。
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神聖な空間
下のフロアガイドは、六本木ヒルズ森タワーの断面図。順路は、画面左下の「IN」から右回りに進み、「OUT」から出る。
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はじめの小部屋と、そこからつながる大きな展示室は、1つの空間として、インスタレーション的に使われていた。
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大きな展示室の床には、
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ふしぎな煉瓦のようなものが、きれいに敷き詰められている。
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常滑焼といえば、有名なのはこの急須だろう。そしてシアスター・ゲイツと常滑市は、深い深い結びつきがある。それも、展示を観ていくうちに明かされる。
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改めて、本展の魅力をはじめに俯瞰しておけば、下のようになる。
黒人アーティストによる国内最大規模の個展
グローバルなアートシーンで近年関心が集まるブラック・アート。なかでも高い注目度を誇るシアスター・ゲイツの過去の代表作から新作までを一堂に体験できる貴重な機会です。背景にある黒人史や黒人文化と併せて包括的に紹介する本展は、国内では過去に例を見ないスケールでの試みとなります。常滑市で制作された陶芸と彫刻が融合した大型インスタレーション、歴史的資料のアーカイブ、タールを素材とした絵画、音響作品、映像作品など、充実した作品群が展示されます。
ヘブンリー・コード
展示に戻り、音のインスタレーションといえば、本作。
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スピーカーから、まるで振動のように、ハモンドオルガンからの低い音が鳴り響いている。ライヴイベントも開催されており、たまたま、ヴォーカルを含めた音のパフォーマンスも鑑賞できたこともあった(パフォーマンスは撮影不可)。
ブラック・ライブラリー
本展に何度も足を運んでしまう理由のひとつが、このライブラリー&スペース。
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本は、自由に閲覧できる。
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この長椅子の座り心地は、格別だ。
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振り返ると、さきほどの展示室。
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ブラック・スペース
スペースのほうは、窓のある明るい空間だ。
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こちらにも、貴重な出版物を手に取ってくつろぐことのできる長椅子のセットがあり、
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壁には、ゲイツが手掛けてきたプロジェクトの成果が展示されていた。
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シカゴを中心とした建築プロジェクトなど、「空間実践」の代表的プロジェクトを紹介
世界的に知られているゲイツの建築プロジェクトから、2009年に設立した財団「リビルド・ファウンデーション」の活動を資料で紹介します。恣意的に隔離され、土地の所有や投資などの平等な権利を与えられなかった黒人が多数を占めるシカゴのサウス・サイド。ゲイツは、この地区の廃墟となった40軒以上の建物を、誰もがアートや文化活動に参加できる空間に作り変えてきました。
リビルド・ファウンデーションの活動には、黒人の歴史と文化を記録する重要なコレクションの管理、保存、展示も含まれます。たとえば、黒人の生活や暮らしについての雑誌『エボニー』『ジェット』を発行し、20世紀後半に全米の黒人社会で多大な影響力を持ったシカゴ拠点の出版社ジョンソン・パブリッシング・カンパニー(JPC)のアーカイブや、「ハウスのゴッドファーザー」として知られるDJ、故フランキー・ナックルズ(1955-2014年)が所有していたレコード・コレクションなど、文化的・歴史的に貴重な品々を地域住民に公開し、活動への参加を呼びかけています。
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入口には、アート作品が展示されており、それが消防車のホースらしいと気が付き、
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説明を読んで、消防ホースに込められた意味を知った。
廃墟に響くアカペラ
力強い歌声が、展示室の外にまで聞こえてくる。
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取り壊された教会、廃墟。その取り壊しを象徴するかのような、外された扉を床に打ち付けるパフォーマンス、そして別れを惜しむようなアカペラの歌声。
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破壊された教会の細部が映し出され、歌声がそこにかぶさる。
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揺さぶられ続ける
決して、観ていて気持ちが沈むようなものではないのだけど、訪ねるといつも、自分の奥底が、揺さぶられるのを感じずにはいられない。
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それが民藝ということなのかもしれないけれど、正直なところ、今まで民藝というジャンルには、正直、あまりピンとこなかった。自分のなかに入ってこない、理由があったのだと思う。
あと2回ほど、紹介を続けていきたい。
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