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ガラスケースの中の暴力,生命-アンゼルム・キーファー[Opus Magnum]展

 某日、表参道から青山通り。

 アンゼルム・キーファー「Opus Magnum」展(-7/13)へ。


 ガラスケース内で展開する立体作品と、水彩画が展示されている。



"鎮魂"の芸術家 アンゼルム・キーファー

 アンゼルム・キーファー。ドイツの歴史上の記憶を揺り起こしたと、下の記事にある。

 6/21より、ヴィム・ヴェンダース監督によるドキュメンタリー映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』も公開。

アンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造する、戦後ドイツを代表する芸術家。1991年、高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門を受賞。ヴェンダース監督と同じ、1945年生まれであり、初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど"タブー"に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。1992年からは、フランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、"傷ついたもの"への鎮魂を捧げ続けている。

同上

 また来年2025年には、世界遺産・二条城の二の丸御殿台所・御清所や城内庭園で大規模展覧会が開催される予定だ。


ガラスケースの中の世界

 ギャラリー、ファーガス・マカフリー 東京は、自然光が射し込む明るい空間だった。

 作品の背景に、木漏れ日が映りこむ。


Mohn und Gedächtnis/粟と記憶―パウル・ツェランのために

 アンゼルム・キーファーと詩人パウル・ツェラン。二人の関係について研究した本も出版されている。


暴力と性

 入口を背に、向かって左側の展示室には、

Bermuda/バルミューダ

 まず、バルミューダ・トライアングルを連想させる作品、

 そして、はっと目を引くような作品たちがあった。


Thor–Mjölnir/トール―ミョルニル

 シュミーズと鉈。


Mater Inviolata/汚れなき聖母

 全裸で開脚し、その前に貞操帯とおぼしきオブジェが置かれた「聖母」。画面前方の焼け焦げたようななにかも気になる。


danae/ダナエ

 ダナエ(ダナエ―)といえば、

 個人的には、非常にモヤモヤするストーリーでもある。

 もちろん、クリムトの美しい絵画もあるけれど、

 もしかしたら、この作品のほうが、本質的なのかもしれない、と感じる。

 残酷で美しい。目が離せない。


Hexenwaage/魔女の秤

 タイトルから「秤」=魔女狩り、をおのずと連想する。

 魔女の疑いを持たれたら、どんな弁明をしても魔女とされる。よってこの秤がどちらに傾くかは大きな問題でなく、載せられた時点で運命が決まっている。

"Opus Magnum"

Die Palette des Malers/画家のパレット

 展示室の奥には、本展の作品のなかにあって珍しい、色のある作品があった。


 展覧会のタイトル「Opus Magnum」-ラテン語で「人生の最高傑作」。





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