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弱い彫刻,強い絵画 -安井鷹之介「HOE」@六本木ヒルズ

 冬の快晴、六本木ヒルズ。

 この案内に心惹かれて

 安井鷹之介「HOE」へ。

安井鷹之介「HOE」2024.1.19(金)~ 2.4(日)
@六本木ヒルズA/Dギャラリー(六本木ヒルズ ウェストウォーク3階)



彫刻? 絵画?

 でこぼこした波が立ったような、立体的な表面が特徴的な絵画。そしてこのように印刷物となったとき、作品の特徴はより強調される。

 絵画、いやもしかして彫刻なのだろうか? という疑問がわく。

「石膏」と「布」で造形した彫刻や平面作品を制作する一方で、宮城県石巻市雄勝町(おがつちょう)にある「海岸線の美術館」にて、壁画を制作してきた安井。
本展では、2023年、インドと東北の雄勝町で過ごした安井が、滞在経験をもとに制作した彫刻作品やペイティングを展示します。

※「海岸線の美術館」は、東日本大震災後に雄勝町の沿岸を囲うように建てられた高さ最大10メートル、長さ3.5キロメートルの巨大な防潮堤に毎年壁画を描き、新たな風景を生み出すというアートプロジェクト。

(後略)

安井鷹之介「HOE」 より

遠目&間近、両方で楽しめるペインティング

 遠目には、まるで点描画のように見えるペインティング。凹凸のある表面は、近寄ってみるとより迫力がある。


防波堤の様子を連想

 これらの長方形をしたプレートは、防波堤などの表面を覆っているものだと思うので、海辺に延々と続いていく防波堤の様子を想像したりもした。


やわらかな彫刻作品

 「石膏」と「布」で造形した彫刻、と種明かしされると、なるほど、このやわらかさとやさしさはそこからくるのか、と納得する彫刻作品。

安井鷹之介
2019年東京藝術大学彫刻科卒業。
ミケランジェロやロダンなど古典から近代までの彫刻を深く掘り下げて学び、一方で主に欧米の現代アートの潮流に触れる。石膏と布を用いて作る立体や平面作品を「弱い彫刻」として制作する一方、近年では東日本大震災後に建設された巨大防潮堤に壁画を描く「海岸線の美術館」プロジェクトも行っている。

同上

 「弱い彫刻」という呼称が、しっくりとくる。


海岸線の美術館

 作家の活動について紹介した、雑誌記事が展示されていた。

〇所在地:宮城県石巻市雄勝町上雄勝2丁目22
〇開館時間:0:00〜24:00
 野外美術館につきいつでもご覧いただけます。

海岸線の美術館 より

 ところでさきほどの引用は、作家の言葉で締めくくられている。

漁村のお爺さんと芸術家である自分に、なんの違いがあるのか。
安井鷹之介

同上



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