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Kenichi Nakaya 作品展[虚歪民藝]@銀座 蔦屋書店(@GSIX)

 「Kenichi Nakaya 作品展『 虚歪民藝』(きょわいみんげい)」(06月09日まで)。終了間近になってやっと足を運べた。展示場所は、GINZA SIX内の銀座 蔦屋書店 スターバックス前。

民芸品→アートへの変換

 興味を惹かれた理由は、サイトにあった下の紹介文だ。

(前、中略)消えゆく『民芸』が、いま様々な場所で再び注目されています。ただ、昔ながらの民芸品は、好ましくも飾りにくいという感覚もあるでしょう。工芸と工業、アナログとデジタル、過去と未来を絶妙なさじ加減で融合させ、民芸品をアートへと変換していく作者のアイデアと手法を、ぜひ間近でお楽しみください。

銀座 蔦屋書店 イベントページ より

 「昔ながらの民芸品は、好ましくも飾りにくい」。短いながらも説得力がある。たしかに心惹かれるところはあるが、個性が強すぎるということなのか、自宅のリビングに置けるかというと悩ましい。

信楽焼のタヌキ、木彫りのクマ、そして

 民芸の、アートへの変換。そこをとっかかりとして作品を鑑賞すれば、まずは「ああ、あの…」という既視感が。

 たとえば、こちら。名前はすぐ出てこないかもしれないけれど、見たことは必ずあるはずの、設樂焼のタヌキ。ただし、グリッジ化しているが。


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 古代インカの黄金のなんとか展…に紛れていそうな? タヌキ。


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 民芸つながりとなれば、次は北海道土産の定番?木彫りのクマの登場だ。モザイク風に解像度が下がっているものの、もちろん、お約束の鮭は忘れていない。


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エフェクトがかかる招き猫

 そして、鑑賞者は作家によって明らかに、先回りされているというか…。こう来たら次は…的に当然出てくる、招き猫。しかもエフェクトがかかってこんな姿に。


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既視感×既視感

 スタバの前のコンパクトなスペースに、展示即売的に(実際値段も付いているわけだが)ディスプレイされた作品たち。

 思わず足を止めたくなるこの存在感って何だろう。その答えは「二重の既視感」だ。

 まず、民芸品という共通言語。日本での生活環境のなかで、どこかで目にしている。一体誰からもらったのか、「昔からあった」風に、自宅にもあったかもしれない。

 うっすら記憶しているそれらをベースに、コンピュータ画面、遺跡からの出土品、粗いデジタルっぽさ、エフェクト…。それはそれで、最近の日常のなかで既視感がある。

脳の補正作業でつながる過去と現在

タイトルの「虚歪民藝(きょわいみんげい)」とは、その長い時を経て虚ろに歪みながら形を変え、意志を伝えようという試みとして、作家の中でネーミングされたもの。ノスタルジーなモチーフを通じて過去と未来を浮遊しながら、見るもの各々が脳で補正作業をしているような感覚を得られる作品シリーズとなっています。手作りのデジタルバグ、温かみを感じる立体物、サイバーパンクな未来感など、人によって感じ方は様々で、アートの楽しみ方の自由度をさらに押し上げます。

同上

 種明かし的に、再び解説文に戻ると、やはり作家の意図の中で踊っていたことがわかる。

 脳の補正作業によって、1つの作品を通して脳内のデータが、過去から現在へと面白い繋がり方をする。そこには快がある。

 気になって銀座に足を運んだ、その価値があった。



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