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DAY 30:「花言葉は、」 JUTTA HIPP / with zoot sims / blue note 1530

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すみれは素敵な花だと、いつ見ても思う。


娘はすみれの柄の入ったズボンを
はくことが多い。
カラフルな花柄のズボンを履いて、
ちいさなおしりをふりふりさせながら
ハイハイするその姿に
父はいつも目尻が下がってしまう。

夕食にはひじきの煮物が出た。
妻よ、いつも夕食を作ってくれて、ありがとう。
試しに娘に食べさせてみると
その味が気に入ったのか、
やたら欲しがるようになった。

最近は娘も主張できるようになり、
欲しいものに手を伸ばしては
「んんっ!!」
と声をあげる。

あんまり時間がかかるようだと叫ぶ。

それも微笑ましい。楽しい食卓だ。

娘がフォークやスプーンを使えるよう
手に持たせているのだが、
まだまだ定着せず、
どうしても、手づかみ食べをしてしまう。
さらにその手を顔や頭に持っていって
ぺたぺた触るものだから、もう大変。


今夜はひじきがメインなので
髪の毛にひじきが混じり、
娘の頭からひじきが生えている
みたいになってしまった。


ハゲたオヤジとしては
ひじきでもいいから
オレの頭から生えて欲しいと
思ったとか思わなかったとか。


結局、ひじきやごはんまみれの娘は
もう一度お風呂に入ることになり、
同じようにひじきまみれになった
花柄のズボンも、
揉み洗いして、洗濯することになった。

子どもたちが寝静まってから、
眠れない夜に、ひとりレコードをかける。

今夜は

「JUTTA HIPP / 
 with zoot sims / 
 blue note 1530」

だ。ジャケットが、まあ可愛らしい。

好きなレコードなので、
キング盤と東芝盤を両方持っている。
聴き比べる楽しみもある。
どっちも素晴らしい音だ。

控えめなJutta Hippのピアノと、
ふくよかなZoot Simsのサックスが
夜の雰囲気を良いものにする。


洗面所で花柄のズボンを洗っていると、
「コートにすみれを」
が聞こえてきた。

しばし手を止めて、耳を傾ける。

ズボンを揉み洗いしながら
聴くような曲じゃないけど、
私の生活には、
これが合っているのかもしれない。


聴こうと思えば、いつでも聴ける。
その気になったら、
ウイスキーと一緒に聴けばいい。

今日はたまたま、洗濯してるだけ。
娘の服を洗いながらかけるジャズも、悪くない。


洗濯しながら、いろいろ思いを馳せた。


娘が大きくなったら、すみれ色の洋服か、
それとも小物か何かを
買ってあげようか。妻とお揃いにして。

本を読むのが好きになったら、
押し花にして、
栞を作ってあげてもいいかもしれない。

それとも、
やっぱり普通のコートを欲しがるだろうか。
コートなら、
バーバリーのトレンチのような、定番がいい。

いつの時代も色褪せないような、そんな服。


それもやっぱり、
妻とお揃いにしてあげられるといい。


贈るときに、
ポケットにそれぞれ一輪、
すみれを挿して。


そして、この曲をかけたら。


夜、おとうさんは洗面所で洗濯をしながら、
こんなメルヘンなことを考えるのである。


でも、いつかそんな日がきたらいい。



すみれの花言葉は「愛」だから。



洗濯が終わった。
レコードのA面も終わり、
裏返して、B面をかける。

その、B面の最初の曲は

「恋をしたみたい」

だった。

そう、私は今、恋をしている。

ここまでお読みくださり、
ありがとうございます。

今後も、
あなたのちょっとした読み物に、
私のnoteが加われば、
とても嬉しいです。

今日があなたにとって
いい、いちにちでありますように。

アイ

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