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朝寝とんかつ
2020年6月22日 11:10
間もなく一歳になる息子が、うっかり夕方に寝てしまった。寝る準備を終えて、気づけば時刻は二十時半。目標就寝時間は二十一時。いつもなら三十分あれば寝てくれるが、きっと今夜は寝つきが悪いだろう、と覚悟はしていた。そして、私はその覚悟を胸に、電灯のリモコンに触れた。この時、まさかこんなに激しい寝かしつけになるとは、思いもよらなかった。 ピッ。リモコンのスイッチを押すと、部屋の灯りが常夜灯に切り替わっ
2020年6月21日 14:12
催眠――眠気を催させること。催眠術――相手を半ば眠らせ、暗示を受けやすい状態にさせること。催眠術師――催眠術を行う者のこと。 時は令和。あるところに、二人の催眠術師がいた。一人は姉よ二歳女児、もう一人は弟の○歳男児。二人の姉弟は、生まれた時から催眠術師の素質を持っていた。まだ幼い姉弟には暗示を行うことは難しいが、眠気を催させることには長けていた。 姉弟は大人たちをいとも容易く眠りへ誘う。そ
2020年5月31日 00:59
乳児は眠る。日に何度も眠る。眠ることが彼らの成長の一助となるのだ。ここにもまた、強い睡魔に襲われし男児がいた。そしてその子を寝かせるまいと必死に挑み続ける母親の目は、既に死んだ魚のそれのように暗く澱んでいた――。 時は令和、新時代の幕が開けた頃。季節は梅雨、その晴れ間。一人の男児が元気な産声を上げた。髪は少なく、顔はマイルドなゴリラのような顔をしていた新生児であった。私の息子である。生まれた