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特技、十人十色

夕食後、一息つく時間が好きだ。

卓上の食器を全て下げて、
飲み物だけは淹れ直し
椅子に深く腰掛けて、
頭をぼーっとさせる。

わかちゃんは、
椅子に座っているよりも
床に寝転がっている方が好きなようで、
今日も半裸で
フローリングの上に伸びていた。




ブリッ




静寂な空間に、
突然大きな音が響いた。





ブリュリュッ



「・・・噓でしょ!?」
私は思わず、わかちゃんを凝視する。

「違う!これはそうじゃないの!」
わかちゃんが焦って反論する間にも、
不吉な音は止まらない。


ブリリッ

「どういうこと!?信じられない!」


しまいには、止まらない音に
おかしくなってわかちゃんも笑っている。


「違う!違うの!
これは、背中が鳴っているの!」


よ~く目を凝らしてみると、
音源はお尻よりも少し上、
背中とフローリングの間で
鳴っているようだ。


「太っている人は、
こうなっちゃうの!特技!!」


私に抗議しながらも、笑うと
その振動で背中に空気が出入りし
意思とは無関係に鳴り響く音に
さらに笑っている。


それを特技だと…!?
特技ってもっとこう、
かっこいいものではないのか…!?


そんなわかちゃん、
ついに週1ボクシングを目標に掲げた。
素晴らしい!
私は、喜んで応援する。








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