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短編小説 アザを増やす女の子

僕は一目惚れをした。相手は同じ塾の女の子、歳も性格も名前すらわからないそんな子を好きになった。髪は肩まであって目は大きくて顔は丸くて小さくて声は少し高めの女の子。

その子とは毎週火曜日と木曜日に塾で会う。最初は横目でチラチラ見ている程度だったが、その子のことが気になり過ぎてつい声を掛けてしまった。

[か、可愛いですね]

ミスった絶対にミスった嫌われてしまった。僕はそう思っていた
だが彼女は驚いた顔でこっちを見た後少し笑いながら
[私、可愛いですかね?]
予想しなかった返事に僕は少し固まってしまった
[えっと,はい]
彼女は嬉しそうな顔で
[ありがとうございます!]
そう言ったとても可愛かった。
そこから色々話をした趣味や休みの日は何してるとか将来の夢とか好きなタイプも聞けたどうやらその女の子の名前はゆなと言うらしい可愛らしい名前だ。ゆなには三つ上のお兄ちゃんがいるらしい少しヤンチャな性格をしてるが優しい人だと言う
その日は僕はとても嬉しい一日だった

それから僕は塾でゆなと会うたびに話しかけるようにした。LINEとインスタも交換した。

距離はだんだん縮まっていた

そんな時だった

今日彼女は塾に来なかった
僕はまず曜日と時間を確認した火曜日の19時いつもならとっくに来る時間だ
僕は熱とかかなとか思いつつ少し悲しかった

そして木曜日、僕とゆなが塾で会う日だ
僕は少し早めに行き彼女が来るかなと思って待っていた
すると扉が開きおしゃれな格好のゆなが入ってきた。僕は嬉しかった。
僕がゆなの方を見るとゆなと目があった
するとゆなは僕の隣の席に腰を下ろした

僕は聞いてみた火曜日来なかった理由を
どうやら家の用事らしいすこし気になったがあまり深掘りはしなかった
それから少し話をしているとゆなのおでこにあざがある事に気づいた。髪で隠れていたがかなり酷い。僕は彼女に聞いてみると

[火曜日に外歩いていたら電柱にぶつかっちゃって]

僕は電柱にぶつかる事なんてあるかと思いその言葉をあまり信じれなかったが嘘をつくと言う事は隠したいって事だと思い心配になりながらも笑い流した

それから毎回塾で会うたび彼女の痣が増えていった。足や腕、顔にも少し増えていた僕はその度に心配した。僕はふと思った彼女は痣を隠したくないのかと思ったなぜなら服装が短めだったからだ。別に夏はほぼ終わり気温もそれほど高くない長袖や長ズボンなどを履けばいい、そして僕は彼女に聞いてみたが彼女は

[おしゃれな服が全部こんなのしかなくて、そろそろ冬服のおしゃれなやつ買いに行こかな]
そういうとゆなは俺の方を見て
[そうだ!私と一緒に買いに行こう!]
もちろん僕は行くことにした
わざわざ僕を買い物にさそったて事は僕の事が好きってことかなと思って少し勘違いしそうになった。

それから数週間が経った
あれから痣の数が減ることはなかった、流石に僕も心配になって彼女に聞いてみようと思っていると彼女が塾に来た
すると彼女は左腕に包帯を巻いていた、おそらく骨折しているようだ。
僕は彼女の所まで行き声をかけた
[大丈夫!骨折したの!?]

[う、うん]

[大丈夫?何があったの?]

[まぁ色々あってさ!それよりさ塾終わり少し公園行かない?]

[い、いいけど]
そこから僕は公園で何が起こるか何を言われるかわからなくて色々想像してうきうきしたり心配したがやっぱり彼女の怪我の事が気になっていた。
そして塾終わり僕らは公園に行った
近くのベンチに2人で座ったするとゆなが

[あ、あのね見て欲しいの]

そういうと彼女は服をめくってお腹を見せてきた。
そこにはびっくりするほどひどい怪我があった
何かで斬られたような怪我、周辺は紫黒くなっていた
僕はゆなに聞いた

[大丈夫!?何かあったの?]

ゆなはそれを聞くと口を開き色々と喋ってくれた

[実はね誰とは言えないけど暴力を振るわれたりしていたの名前は言えないけどとても怖くて…]

[大丈夫!誰にやられたの教えて僕が絶対に守るから]

[誰にかは言えないし、守らなくてもいいから塾を辞めないで欲しい]

僕は前、ゆなに塾を辞めようか迷ってる事を話していたんだ
成績は上がらないしお金も減って行くせめて塾を変えようと思っていたが彼女の言葉を聞くともちろん

[やめないよ!絶対に少なくとも君が幸せになるまでは]

ゆなは安心した顔で

[ありがとう]
そう言ってゆなは帰って行った

僕は守らなくていいとは言われたもののやっぱり気になってゆなの後を追ってみた

だが何も起こらずゆなは家の中へ帰って行った少し心配になりながらも帰ることにしようした時だった。

ゆなの家から知らない男がでできた。そいつはガッチリした体で髪は坊主の怖い顔をした人だった。

僕は思ったきっとあいつがゆなに怪我を負わせているんだとそう思った瞬間パニックになっていた。

念の為だと思って公園の端に置かれていたレンガを手に持ち男の背後に移動して
男の後頭部をレンガで殴った
男は頭を押さえながら太い声で叫んでいた
僕は余計にパニックになってしまい何度も何度もレンガで叩いたらパトカーの音が鳴っているのに気づいた。
男は叫ぶのをやめていた死んでいたのだ。
僕は慌ててゆなの家の庭へと隠れてしまった。
なぜかわからないが焦りや不安は無くなっていってた。ゆなが幸せならいいと思った。警察からは隠れるけどバレたら捕まってもいいかと思っていた。するとゆながなぜか庭に出てきた。
僕はゆなの顔を見ると安心した
ゆなに向かって僕は
[安心して君をいじめる奴は僕が殺したから]
それを聞くとゆなは少し笑顔になりながら
[え?そんな人居ないよ!だって痣とかお腹の傷とか私がやったもん!実はね私あなたの事が大好きで痣を作ったり怪我をしたりしてたの、すると必ずあなたが心配してくれるもん!だからわざと痣をつくったりしてたの!多分あなたが殺したのお兄ちゃんじゃないかな?]
僕は理解できなかった。ゆなが自分でアザを増やした女の子だった事や僕が殺したのが何も悪くないお兄さんだった事そして1番理解できないのは
[なんでお兄さんが殺されたのにそんなに笑顔で話してるの?]
そう聞くとゆなは
[だってあなたが私のために人まで殺してくれたのが嬉しからだよ]
僕はなんて返せばわからなくて黙っているとゆなが追い討ちをかけるように喋り掛けてきた
[初めてあなたが私に喋り掛けてくれた時可愛いって言ったよね?今でも思ってる?私と付き合ってくれる?]
僕は思ったゆなはやばいやつだと自分の兄が殺されても好きな人が自分の為にやってくれたなら笑顔でいられるそんな人だ。だけど僕がゆなを好きになった理由もわかった僕も好きな人を守るタメに勝手に悪い人だと決めつけて人を殺したんだ。お互い好きな人の事なら狂ってる僕はそう思ってゆなにこう言った
[もちろん僕と付き合いましょう]
その時だったゆなの家にインターホンがなった
ゆなは居留守をしようとしたが僕は警察の所へ行こうと思った。そしてゆなに一つお願いをした。
[ゆなは俺が捕まっても俺が勝手にゆなの家に隠れたってちゃんと言えよ。]
兄が殺されても笑顔に入れる奴だ俺が捕まったら一緒に殺して家に隠れさせたとか言って捕まろうとするだろうからな
ゆなは嫌がっていたけど何度もお願いして約束を守ってくれることになった
そして僕は警察官の所へ行って

[僕が殺しました]
そう言ったそして僕はパトカーに入ろうとしたが一つゆなに言い忘れていた
困ったと思って周りを見るとそこにはゆながいた
そして僕はゆなにむかって
 
[冬服一緒に買いに行こうな!]
 
そう言い残し僕はパトカーの中に入っていった
 
僕は一緒忘れない僕に心配されたいと言う理由でアザを増やした女の子の事を


#創作大賞2024

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