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溢れる

詩を書いていた
スラスラと
よくできたと満足して
にっこり笑った

だけど
書いた文字が読めない
確かに
わたくしの作り出した詩

使い慣れた日本語なのに

そこに並ぶ言葉の列が
全然響かない

おかしい
確かに
できたはずなのに

ある瞬間
言葉が崩れた

積み上げられた積み木が崩れるように

待って
何が書いてあったのか
理解できてないのに

そこには
わたくしの最高傑作があったのに

もがき
泣き
叫ぶ

崩れた言葉が積み上がる
もう
意味をなさない言葉の山の中で
ため息ついた

頭を抱えて
目を瞑った



崩れ落ちる音

聞き覚えのある音

あ!
目覚ましだ

崩れ落ちた言葉の悲鳴は
目覚ましの音だった

光が刺した

全てが夢だった

部屋の隅
夢に戻れなかった言葉が
そっと囁いた

“元気だせよ”

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