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引力のある人


最近は暗い方に思考が傾いていた。

近い将来、まだ若くて可愛いうちに死んでやるんだ、なんて思ってしまうこともあるけれど、
思いがけず光明が差すことがある。

先日、職場の人懐こい読書家の同僚が
私の影響を受けて海外の古典文学を買ったんだと
話してくれたことを思い出していた。
私なんかよりよっぽど、彼女の方が本読んでるのに。


すごく嬉しかった。
休日も、私のこと考えてくれたんだ。

おい、メンヘラみたいなこと言っちゃったよ。
弁解せずとも十分メンヘラだけれども。

少し彼女の話をする。

私の職場はあまり人に干渉せずプライベートに突っ込みすぎない人間が多い。自分も含めて。

そんな中でも彼女は、
「ちょっと一緒に帰りましょうよ」と、
わりと踏み込んでくれるタイプ。

雨が降らない限り休憩室ではなく外で昼食を取っている、と私が話したら、「なに1人でピクニックしてるんすか」と笑ってくれる。

人伝てに聞いたことだが、彼女は私をいじるのが楽しいらしい。笑った顔は小悪魔しかり、元気な上に可愛い。モテそう。けれど声がデカい。

先日は、MBTIは何かと尋ねられ、彼女自身も自分の話をしてくれた。聞いて聞いて、という勢いのある姿勢がまるで犬のようだった。よく、猫派は内向的、犬派は外交的なんて話を聞く。私は実家に猫がいるが、案の定、彼女はトイプードルを飼っている。

とにかく、溌剌でオープンな性格なのだ。
だから、読書が趣味だということも、人間関係リセット症候群の常習犯だということも、良い意味で意外だった。社交家の鏡だろう、と思うような人だから。しかし彼女にだって、表に出さないだけで色々あるのだろう。

彼女を見ていると、元気に振る舞うことが利他的な行動であることを実感する。決して能天気とかではなく、そこには意志を感じる。

人を気にする前にまず自分が楽しむ、みたいなことを、大学時代ある先輩が言ってたっけ。

そんな彼女が、私を何か面白いなと思って何かと構ってこようとすること、とても嬉しい。
それから、シンプルなことだけど、
元気をくれてありがとう。

いつも退勤後は疲れたやさぐれ顔で帰っていたのに、彼女のことを思い出すと今の職場も楽しいと思える。
気づけば、頬を綻ばせながら帰路についていた。


自分が重力に甘んじて暗がりに落ちて行こうとすると、ツンと袖を引っ張ってくる存在がいる。
引力のある人。
また、こうして現れる。
生きることの楽しさを思い出させてくれる。

また喋ろうね、もっと仲良くなっちゃお。
なんて思うけど、あまりグイグイ来られると逃げてしまうことがある性分らしいので、私は今の感じでいくね。

程々の距離感で。
程々の距離感でも安心を感じて楽しい存在がいるって、滅多に無い。素敵なことだよね。

人嫌いなくせに、
人のおかげで元気。
私も与えられる人間になりたいね。

読んでくれた方がいたら、ありがとう。

おやすみなさい!





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