トランジット・ノスタルジー

流れ落ちない砂時計に 君の目は反射して
泣いているように見えた のは 僕だったか
おざなりな明日は 溶けないビー玉が透けるだけ
アスファルトから スワロウテイルが抜け出す

新しい幸せを見つけて 戸惑っていた
バレエシューズの履き心地は 他人事のよう
孤独 飼い馴らした先で 手の平は空
少し昔の自分に戻っただけ

三つ隣のクラスメイトが好きだと言った
あの日の僕が馬鹿にした 古い映画
時間はあるだろう 君をからかう訳じゃないさ
あの日の君に向かい合いたいと 今思ったから

教室に集められた僕たちは 死滅回遊魚だった
開かない窓ガラスに張り付く 自我と自我
失ってゆく 回らない鍵穴が増えて
また一つ 触れられない部屋には 斜陽

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